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いろんな失敗学の本はありますが、人類は過去の失敗から学ぶのが苦手という残念な事例が満載です。
それが、皮肉たっぷりというか、右斜め45度から切ったと思えば左45度からもと、独特な言い回しで展開されて、、、。
第2章くらいからだんだん文体にも慣れてきて引き込まれるように読めました。
日本ではあまり紹介されてない手痛い失敗も多く、視野が広がった気分です。
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ニヤニヤがとまらない。
とりあげられたネタはどいつもこいつも悲惨で、暗澹たるものなのに、実に気の利いた皮肉と悪態のおかげで笑いに昇華されていく。
不謹慎ダ、という批判もあるだろうけど、ヒトは未熟で失敗を繰り返しながらもちょっとずつマシになってる(はず)、という筆者の希望と想いが伝わってくるから許しましょう。よくやったね。
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ヒューリスティックを下地に、世界史に残っている人類の失敗を、面白く紹介している。ただし、個々の失敗を認知心理学の観点から分析することはしていない。科学の分野だと、有鉛ガソリン(ノッキングの解決に、もっと簡単な解決方法があるのにお金のためにわざわざ有害な鉛を利用した。)とフロンガスという環境問題を1人で巻き起こした、トマス・ミジリーが印象に残る。政治や外交に関する失敗の歴史は特に印象に残る。君主がいかにデタラメな統治を行ったかの例は、山ほどあるということがよくわかる。作者の「自国がつねに民主主義でいて当たり前と思ってはならない。」と言う言葉はとても共感できる。犬を市長にしたカルフォルニアのスノール市、「狂った男」ブカラムを大統領にしたエクアドル。そしてヒトラー。ヒトラーの統治能力のなさの事例はとても面白い。戦争に負ける人物には共通点がある。失敗や失敗の恐れを認めないことだ。
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20-21世紀を生きる人類は,最後から2番目、3番目、4番目の木を切り倒したイースター島民と同類かもしれない。
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人類の歴史上のいくつかのトピック(事件・転換点)を取り上げて、そこで(結果的には)“誤った判断”を下した背景・要因等を著者なりの切り口で紹介しています。
選ばれたトピックは、後世への影響という視点から見て必ずしも“重要”なものばかりではありませんが、誰もが興味を抱きやすいネタが選ばれていますね。
「著者なりの切り口」のひとつは “行動経済学”的な視点(さまざまな認知バイアス)なので、失敗の必然性に関しても “さもありなん” という印象を受けます。
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駄目な人間を見て安心できる本。我ながらすごく駄目なこと言ってる気がする。あまり知られていない歴史的事実が勉強になるのもさることながら、ちょくちょく挟み込まれるユーモアのセンスが好き。
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世界の歴史はとんでもない失敗の繰り返しであり、その失敗例をユニークに、また面白く学べる一冊である。
個人的に面白かったもの
・イースター島の先住民はモアイの作成、搬送の為沢山の木を伐採した。しかし、イースター島は地理的風土的に木は育たず、一度伐採したら2度と生えてこず、雨風にやられ、地滑り等を起こし、村は倒壊した。
・ナポレオンはロシアも手に入れようと進軍したが、
ロシアの極寒にやられ、破滅に向かった。ヒトラーもナポレオンの戦略を参考にしつつ、勢力を拡大しており、ロシアに進軍した。しかし極寒にやられた。ナポレオンの戦略を参考にしたにも関わらず。
・毛沢東は、スズメが貴重な穀物を食べるからと、スズメを駆除した、中国人全員がスズメ駆除に勢を出した。結果、スズメはかなり居なくなった。しかしスズメの餌であるイナゴが大量発生し、より穀物の被害はより甚大となった。
・コロンブスはアラビア式のマイルで1マイル2キロ前後のところ、1.48マイルと勘違いした。この計算によって、世界が実物大の約4分の3しかないと思い込んだ。コロンブスがカリブ海諸島にたどり着いたのは偶然の産物である。1999年、NASAは火星に探査機を送ったが、測定単位を混同し、計算ミスを犯して火星に衝突した。
これらは一例だが、歴史から見ても私達は常に「初めて」の時代を生きている。その初めての事は過去の歴史から解決策が見つかるかもしれないし、そうでないかもしれない。初めての事に人類が直面した時、人類は慌て、困惑し、大きな間違いを犯しやすいと感じた。これからの時代はAI(ほとんどの本にこのワードが出てくる)が台等してくるが、この初めての事に関し、人類が大きな間違いを犯さない事を願ってやまない。
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タイトルから『失敗学』の本かと思ったけれど、雑学めいた面が強いかも。軽い語り口で、失敗に学ぶというよりも「人間って懲りないなあ」と茶化すような雰囲気(個人的にはそのユーモアが少々鼻について読みにくいけれど、逆に読み物としてとっつきやすく読みやすいと感じる人もいるだろう)
なので軽く読める歴史本として面白い。戦争や環境破壊等扱うものは笑い事では済まないけれど。ここをとっかかりにより専門的で難い本を読むのがいいと思う。
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タイトルを見て、コルテスの一行に易々と倒れたアステカのモクテスマ2世のことを想像した。たしかに、モクテスマ2世も出てくるのだが、それに劣らない、あるいは、それを上回るような数々の大失敗が列挙されている。政治や統治だけではなく、外来生物や科学などについても語られる。もっとも著者の語り口は、深刻というよりは諧謔の味があり、人間がいかに過去から学ばず進歩がないかについて「やれやれ」といった目で見ている感じがある。その一方で、「おわりに」に出てくる温暖化ガスによる地球温暖化は、現在進行中の話であり、このまま放置しておくと、それこそ取り返しがつかないことになるという著者の危機感が感じられる。
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これはおもしろ本です。「武田鉄矢の朝の三枚下ろし」でこの本の話を聞いて,これは読んでみたいと思って手に取りました。
10章にわたって,人類が起こした「取り返しのつかない失敗」が書かれています。その大いなる失敗そのものもおもしろいのですが,著者の文章表現の仕方がユニークなので,リズムよく飽きずに読めました。
この辺りのことについて,翻訳した禰冝田亜希さんは,次のように述べています。
何をおいても、とにかく面白い本である。心理学、歴史学、人類学、考古学、科学など、多岐にわたる分野の学術的な流行や思考方法をなにげなく絶妙に混ぜ込んだ内容もさることながら、本書の最大の魅力は、できる限り正確に本書を記そうとする生真面目さに、ときおり皮肉とナンセンスと風変わりなユーモアを交える著者の書きっぷりである。このギャップが独特の面白さをかもし出し、私たちの認知バイアスがどのように失敗にかかわってくるかをつまびらかにしていく過程は、初めから終わりまで読む者を飽きさせない。(本書 p.274)
本当にこの通りです。翻訳もうまいんだと思います。翻訳物は(とくにユニークな表現があるとなおさら),日本語が読みにくい人が多いですから。
そして,こういうユニークさは,単なる読者を飽きさせないでおこうという意図以上のものがあるのではないか,と,禰冝田さんは次のように述べます。
なにやら人類の「失敗の神話」のようで、しまいには袋詰めになる切ない絵が目に浮かぶが(著者は人類が泣いてもいないうちから、鼻先にティシューを突き出すようなキャラである)、こんなふうにユーモアたっぷりに語るのはなぜかと言うと、伝えたいことを伝わりやすく、効果的に伝え、既存の価値観の枠組を超えて、本質的に時代を良くしたい思いがあるからだろう。これは今の時代に最も必要なことではないだろうか。(本書 p.276)
なにやら,翻訳者の紹介ばかりになってしまったが,とくにかく,本書は,これまでの人類の大いなる失敗をわたしたちに示し,さらに,今後も同じような失敗(もちろん「できごと」は違うが,本質は同じような失敗)をしてしまうのではないかと危惧を示しています。その最たるものが宇宙ゴミではないか…という指摘に,ドキッとしました。宇宙ゴミで人工衛星などがバラバラになり出すと,GPSも動かなくなる。天気予報もできなくなる。なんかすごい世界になりそうです。
わたしたちの脳は認知バイアスがかかっていて,時折判断をあやまることがある。このことを肝に銘じていたいものです。
わたしだけは大丈夫。今は大丈夫。そんな大袈裟なことは起きない。みんなが言っているから大丈夫だろう。これらは,すべて,危ない!
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すべては失敗に向かって行っているのではないかと思うほど。「温故知新」ができればこんなことにならないのに…と思うこと、現代に山積み。
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自分の好きな歴史系YouTuberが紹介していたのもあり、読んでみた。人類の脳はあんぽんたんにできている……人類の戦争好きは下手の横好き……刺激的な1冊だったと感じている。