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非常に詳細な資料と数字の分析がなされていて感情的になりがちな日米安全保障の問題について冷静に分析している。
著者も承知しているように安全保障のコスト計算は現実的には計算は不可能であるがそこをできるだけ現実的な形で他国の例も参照して計算している。
著者は触れてはいないが本書の計算では既に構成されている自衛隊の装備とコストについた検証されていない。
自衛隊は日米安保を前提にしているので装備も体制も偏っており完全自主防衛をできるものではない。
実際にはすでにある自衛隊のコストも大幅に上昇することから本書の想定では済まない事は考えられる。
実際に数字を見て驚いたのが在日駐留米軍のコストの安さである。
言い方が悪いが世界最強の傭兵をこのコストで雇っていると言うことで日本の安全保障は成り立っている。
駐留経費を全額負担しても日本にはメリットがある位だが、それでも日米の不満感は消えない。
やはり問題は日本国憲法であり9条の問題である。
そして日本国民がまともな知識があって選択ができるかどうかである
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日米同盟をコストで考えるというのは聞いたことがなかったので面白かった。4個護衛艦隊群のような表現が続けて出てきた時には苦笑いするしかなかったが…
コストを経費の分担と任務の分担からなる防衛コスト、主権の制約と駐留経費からなる自律性コストに分けて考える。本来防衛コストと自律性コストの増減は反比例するはずにもかかわらずどちらも増え続けている現状があり、また日米双方に不満がある中で、例えば米軍が担っている拡大抑止である弾道ミサイル防衛、シーレーン防護、島嶼防衛を日本が担う場合にどの程度のコストがかかるだろうかという試算で、結論としてはそれらは最大1兆6588億程度で、現行の防衛予算に上乗せしても財政規模の2.9%程度だという。ちなみに同数値について米が8.8、韓国が12.1、NATO諸国の平均が3.5%であるそうな。
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読み終わり
本書ではコストを金額だけではなく自律性コスト、つまり国家としての主権の部分的制限に繋がる面からも見ている。
本邦の国防環境は厳しさを増すばかりだが、本書執筆後の動きとして自民党は防衛費をGDP比2%以上を目標とすることを内外に示している。
GDP比2%で自律性コストを回復しつつ、任務の共同分担を行うことで米国の不満を解消することが出来そうだと思った。
更には新分野での協力や自己強化にも繋げていけると考えることが出来そうだ。
(2022.8.25)