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タイトルが秀逸で高校生のひと夏の思い出をテーマにした短編集。どうせすぐ忘れる…これは誰目線の言葉なのか?親、兄弟、友人、世間?本当にどうせすぐ忘れるのだろうか?一生忘れない、きっと忘れない大切な事だらけなのではないだろうか?
自分が高校生の時に読めばまた感想は全く違ったことだろう。
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「生き残り」が一番好きだったな〜
この短い夏を篠くんは絶対忘れないんだろうけど梨奈は忘れる気がする、どっちも本気で恋愛してたんだろうけど、梨奈はこれからもっとたくさんの思い出ができて篠くんとの思い出は薄れていきそう。そういう人間らしいところが梨奈のいい所であってこのお話の面白いところでもあると思うな〜。せつない!
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はじめての作家さん。夏休みが舞台の短編集。なんだろう、この淡々とした語り口に立ち込めるそれぞれの湿度は。
YA版今村夏子みたいな。違和感と焦燥感が這い回るんだけれども、一応青春小説の外枠は保っているというか……。でも嫌いじゃない。
「空と窒息」
不穏な湿度。
小4の頃から夏限定で母親に首を絞められる圭人。別に日常的に虐待されているわけではない。その首を絞める瞬間だけ、母が正気ではなくなっている。その行為の前後は至って普通。そのときだけ空気が変わり、闇が這いずり回る。
夏は常に扼痕があり、シャツで隠す習慣がついている高校 3年生現在。塾の夏期合宿で自分の内側にある何かに気づく。中学生に見せていいのかちょっと躊躇うくらいの不穏感。
最後なによそれー。ある意味ハッピーエンドかよ。ザラザラするー。
「昆虫標本」
そこはかとなくイカガワシイ湿度。
どこにでもいる平凡な姉弟が、いわゆるミックスルーツである美男美女兄妹が住まうグリフィン家に通うようになる。
きっかけはそれぞれの共通の趣味だったのだが、姉の千夏は妹の藍莉と、弟の拓哉は兄の栗栖と、それぞれの部屋で時間を過ごす。
千夏の視点で物語は進むのだか、グリフィン家は俗世と隔絶された異世界の様な雰囲気があり、お菓子の甘い匂いと外界の茹だる暑さが、藍莉との妖美な時間をより濃密なものにする。
千夏以外の視点を想像する欲求に駆られるおはなし。
「宵闇の山」
濡れた緑を踏んだような懐かしく切ない匂いの湿度。
前2話の味とはちょっと違う、でも夏らしい一編。
「裏山」の秘密基地から花火を眺めることが5人の恒例行事になったのは小4の夏祭りから。
性格もそれぞれな少年5人組が夏ごとに裏山に集まる様子が描かれるが、ほんのり香る違和感。前後する時系列。
書きようによっては派手にも恐ろしくもできる展開を、あえて淡々と描くことで、どことなく匂いや温度、湿度が自分の記憶と共鳴してしまう切なさがなんとも言えない…。
しかしサツキいい男だな。
「生き残り」
湿度は低め。でも後半の情緒はこの本で1番乱れたかも。
「打っても響かない」「基本体勢が受動態」「表情から感情が読み取れない」「彼に対するあらゆる判定において決定打に欠ける」みたいな男子生徒がたまにいて、内心「シャキッとしろよ」と思うが、なぜかそういった男子が地味にモテていることが多い。
肉食・草食通り越して光合成する側だぞ、と不思議に思っていたが、篠くんだったのかもしれない。それならなんとなく、彼らの発する引力も可視化されるような。
いや、篠くんは「生き残り」の由来エピソードから考えると「受動態」項目には当てはまらない気もする。そして決定的に彼らとは「違うコト」があるから本筋は別モノなんだけど、なんだろう。梨奈ちゃんが触れた彼の外側と内側に似たものを感じたというか。
しかし莉奈ちゃんいい女だな。
「夏の直線」
磯の湿度。
いちばんつかみどころがない話。
小説家である父の別荘に勉強の名目で1週間滞在する��とになった羽白。放浪癖のある父は現在行方不明。
自分に金星にちなんだ名をつけた父が1人で過ごしたこの部屋で、彼の存在に近づいてみたいと考えていた。
ふらふらと散歩をしていてたどり着いた、お世辞にも綺麗とは言えない小さな砂浜で、羽白は「アオ」に出会う。彼は頑なに顔を見せたがらないが、羽白の父とのエピソードを持っていたため、不思議な繋がりができることに。
何か暗示されているのに自分がキャッチできていないのか、こういう味で楽しむ大人な飲み物なのかよくわからない。
アオの正体をぼかされて、話の着地点をぼかされて、父に掴みどころがないからぼけた輪郭で父と重なる羽代もなんだかぼやけてて、結果「不思議」としか呟けない……。
夜の海ってキレイで引力があるけど、入るのは怖いよね。
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胸に直接花火を投げ込まれたかのような一瞬の熱さと痛みを与えてくる読後感と、そんな短編五作をまとめ上げるタイトルがあまりにも秀逸。どれもこれも夏の熱に浮かされたような影響を描いた話で、結末によってはこの後も繋がりを持っていて欲しいと願いたくなるものの、だけれどどの話もこのタイトルに帰結するのだと思えば、呻きたくなるほどに悩ましい。思春期などとうに終えた身としては、どうせ忘れてしまうんだよなとわかってしまうから余計に。
甲乙つけがたい五編だけれど、『宵闇の山』の「一年に一度の、夏休みの一日くらい、夢とか幻とか、みてもいいだろ」のくだりの切なさが好き。
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「高校三年、受験生の圭人は塾の夏季合宿に参加し、学校で同じクラスの香乃と同室になる。苦手なグループにいる相手を窮屈に感じていたが、眠れない夜を過ごすうち、圭人は香乃にある秘密を知られてしまう――「空と窒息」など書き下ろし5編。
夏休みという長い非日常、いつもと違う場所で出会い、交流する二人。暑さに眩む視界と思考の中で、変わっていく関係を描く。記憶に濃い影を落とすような青春小説」
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短編あまり好きではないのですが…どーしてもその先が気になっちゃっう。
どの話もとても面白くて
あと何ページで終わっちゃうって思いながら読むくらい。
ほんとに短編ってもどかしい(いい意味で)
もっと続きが読みたい!
それが短編のよいとこなのかな…
ちょっと冷めてて、でもまだ知らない事もたくさんあってこれからだって感じが高校生のころあったなぁって何となくおもいだしました。
読む世代によって感想が変わるでしょうね。
また読みたいなって思う作品でした。
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確かに忘れるかもしれない。でも面白かった。リアリティとミステリの配分が心地よかった。危うさに対してドライでありながらも、誰かがいてくれるのは幸福だ。この夏、ちょっと何かに巻き込まれてみたくなる。
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青春小説やっぱり好きだなと思った。
切なくてチクリと胸を刺されるような感情になった。
特に「生き残り」が好きだった。
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本当に良かった。
すごく高校生のうちに読んでおくべきだと思った。
すごく静かなお話なのに、こんなに全ての話が記憶に残るし、何回でも読みたくなる。
短編集これまでそんなに読まなかったけど、これはすごくいい
みんなに読んでほしい本です。
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あまりの青さに眩暈がしそうだった。
今この瞬間がどれだけ辛くても苦しくても悲しくても、時間が経てばどうせ忘れるのが人間だと思っている。
だけど完全に忘れ去ることなんてできない。
ある瞬間にふと思い出される記憶もあるに違いない。
この作品に書かれた物語は、きっとそういう類いのものなんだろう。
二人で体験したひと夏の出来事を切り取った短編集。
特に『生き残り』が鮮烈で、めちゃくちゃ泣いてしまった。
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深沢仁『この夏のこともどうせ忘れる』
2019年 ポプラ文庫ピュアフル
タイトルにひかれて購入。初読み作家さんでした。
5編からなる短編集。
どれもが高校生の夏の物語を描いています。
ポプラ文庫ピュアフルだし、タイトルや高校生、夏といったキーワードからキラキラした青春や煌めき、そして葛藤みたいなものを勝手にイメージしてましたがかなり違っていました。
悩みや人とのつながり、家族、人として生きるみたいなテーマがつまった短編集でした。
ちょっと重めのテーマだったりもするけれど、いい意味でとても考えさせられたりもするお話でした。
思春期って本当に色んな悩みを抱えているけど、高校生たちが抱えるには大きすぎる悩みだったり。
個人的には「生き残り」が一番心に響いたかな。
どれもがビジュアライズされ、とても湿度を感じる物語たちでした。
#深沢仁
#この夏のこともどうせ忘れる
#ポプラ文庫ピュアフル
#読了
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人と人、ふたりの間の関係に重きを置いた短編集
ストーリーや具体的なものよりも空気感、雰囲気を描いてる
合う人にはたまらないのかもと思うけど、私にはあまりハマらなかったかなぁ…
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「青春小説」とされているけど、少し違う気がする。かといって恋愛小説でも、ミステリー小説でも、ホラー小説でもない。不思議な短編集。
登場人物は、みんな何か抱えていて、夏がそれを解放してくれるような、悪い方向に助長するような・・・。かといって読後感が悪いわけでもない。
一番のお気に入りは、「生き残り」。
以下ネタバレを含むが、野球部の虐待的しごきといじめにも耐えた「篠くん」を高校生活最後の期間限定の彼氏に選んだ「梨奈」。ところが、篠くんは継父に虐待されていた。それへの同情もあって篠くんを本気で好きになる梨奈。だが、実は本人が気づいていないだけで、梨奈もシングルマザーの母親にネグレクトされてる。そんな二人が結ばれて、夏の最後に逃避行をしようと試みる。二人には幸せになってほしいが、梨奈は「この夏が終わっても、私はまだ生きられるのかしら」と思う。このラストで、切ないというか、うすら寒さを覚えるというか、何とも言えない気持ちになった。
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どのお話も、たまらなく好きでしたが、特に『空と窒息』が好きでした。
日本の、高校生の夏。じっとりとした感じがなんとも言えず愛おしかったです。
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全ての話において読者の想像力に委ねられている部分が多く、こういうことかな?と推測して読む必要がある。
そのため、ハマる話もあればよく分からなかった…となる話もあった。
「宵闇の山」と「生き残り」が特に印象に残った。
この夏のこともどうせ忘れる。忘れてしまうけれど、大人になってからふとした瞬間に思い出すような忘れられない夏の記憶。そんな感じ。