紙の本
いい聞かせている
2019/07/26 22:41
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投稿者:夜メガネ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「どうせいつか、そのうち、いや大人になったら、忘れる」
つもりでいる主人公の気持ちが見られます。
母親との歪な儀式めいた虐待。それに対する安堵のような依存のような感情。
湿度が高い内容で、それをわざわざ熱中症の警報が出るような日本で読みたいか?と
云われると個人的には「否!私じゃない、もっとふさわしい読者が多分いることだろう」。
そう、言いたくなる陶酔的な内容が目立ちました。
学生の時ってなんでこうも周りに人がいて、何でああも忙しかったんだろう、とはふと思い出しました。
テーマが「夏」というだけで、
『これで読書感想文は書けないだろうし、書かないほうが自分のためだと思う』
とは若い世代にここを借りて書いておきたいですね。
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夏休みの高校生たちを描いた5つの短編集。
▼収録作品
「空と窒息」
「昆虫標本」
「宵闇の山」
「生き残り」
「夏の直線」
深沢さんの小説は中毒性がある。そしてタイトルもいい。一巡だけでは物足りず、もう三度は読んでしまった。
永遠のように思える夏休みも、いつか必ず終わりが来てしまう。だからこそ、特別に感じるのかな。
「生き残り」と「夏の直線」が特に好きだった。
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どうせ忘れる、と思わないではいられないほど、深く刺さった傷の物語。
かつて自分がそんなふうに傷を抱えたこともあったはずなのに、ずっと生きているうちに、絶対にそれだけはするまいと思っていたことを幾つも、幾つも、してしまっています。
自分が傷つける側に立ってしまったこと、そのとりかえしのつかなさ、ごめんねと謝ってもそんなの欺瞞でしかないことくらいは流石にまだ自覚があって、自分がしてきてしまったことにたじろぐばかりです。
この本を読むと、視点を傷ついた側にもう一度わずかばかりでも置くことができるように思えます。とりかえしのつかないことをしてしまった今、何ができるか、ではなく、何をしてほしかったか、をもう一度感じなおすための心の足場の一つに、なってくれるかもしれません。
だから、
登場人物と同じくらいの中高生だけでなく、中高生がそばにいる大人も、読むと響く本ではないかと思います
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高校生の夏休み、ほんのひとときのふたりの関係。ふたり、は顔見知り程度のクラスメイトだったり恋人だったり旅先で出逢う名前も知らない誰かだったりする。冷房の効いた室内から窓の向こうの夏を眺めているような非現実感と、切ないような苦しいような眩しいような青春がある。
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やはり夏の間に読みたくて、山のように続く積読の列を横入りさせた
乗り込む列車にはもちろん青春18切符で…
なんてめんどくさい滑り出しをしたくなるくらい
なんだか感傷的に
高校生のひとなつのエピソードが語られた短編集
どれも本当に余韻が重く、そしてその余韻にかぶさるように
どの話の文末にも「……まあ、この夏のこともどうせ忘れるよね」なんて続くんだろうなと思うと
寂しいような悔しいような、でも
口ではそんなヒネたこと言っているけど、どうせ忘れらないんでしょう?と意地悪く思って楽しくなったりもして
高校生を過ぎると新陳代謝も落ちるし
この細胞含めた激しい生まれ変わりの最後を生きる彼らならではの、
生きるスピードというか、切り替わりの刹那さというか
そういうものを感じられたように思う
自分が一番気になるのは『生き残り』のその後
設定なんかは昨今よく見聞きする類のものではあるけど
現実味がある分ちゃんと目指すところに一緒に到達できたのかが
とても心配
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一夏の経験を経て形を変えていく関係性にある高校生たちのお話。どことなくなまめかしいのが思春期ならではというところでしょうか。
最後のふたりのお話の息苦しさが好きでした。
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夏休みって永遠に続くかと思う、のに気がついたら終わってるんだよなぁ。
それぞれの話を読み終えて、タイトルを思い出して、どうせ忘れるの?こんな夏のことを君たちは忘れられるの?と問い質したい。
きっと彼らは折に触れて思い出し、この夏を忘れないまま大人になるんじゃないだろうか。
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ほぼニアBL。ひと夏で人生観が変わるほどの出来事に遭遇する主人公たち。
設定はあざとすぎるほど、(腐女子)心に突き刺さるものがあってwktk。キャラも萌える。しかし文章で読ませるかといわれると、あまり響くものがなかったかもしれない。心理描写とか。
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「冒険者たち」や「アルジャーノンに花束を」を読んだ時と同じぐらい感動した。
どれも本当に面白かったが、特に「空と窒息」「生き残り」が面白かった。
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「夏休みの高校生」をテーマにした短編集。
全体の印象は一言で言うと「思春期の二人だけの秘め事」。
面白くて読みやすく、一気に読みました。
眩しく輝く太陽が作り出す「影」のようなお話たち。
5つのお話の中でも、ドキドキさせられたのは『昆虫標本』、ゾクゾクとして不思議な世界に引き込まれたのは『夏の直線』でした。
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どの夏の話の二人組も全部全部「どうせ忘れる」、そうわかるのは読み手の大半が「どうせ忘れた」人たちだからなのか。きっとそうなんだろうな。忘れきってしまった夏の出来事がいくつもあった気がする。そのヒントというか、かけらがたくさんこの本の中には転がっていて、この夏読むのにふさわしい短編集である気がした。
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短編集。
なんだ。ちゃんと女子もかけるじゃないか!
というのが最初の感想。
夏の少年少女たちがテーマ。
最初の「空と窒息」最後の「夏の直線」がなんか好き。
全てが一夏の印象に残る何か。という話。
続きそうで続かない。でもどこかで物語は続く。
その後が気になるお話ばかりだった。
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タイトルと表紙に惹かれて
短編集だと知らずに読んだ。
特に良かったっていう感動が得られるよりもその余韻に永遠に浸れるような、でも一生追いつけない感じがした。
少年少女が欲しかった誰かからの関心を、その夏限定の誰かで埋めるような寂しさと特別感があった。
登場人物たちにどうしようもなく好きな恋人がいたり、家族関係が円満なら、このような感傷を生むこともないだろうと思う。
どの話にも受験を控える人物がいて、(もう直ぐに大学生になり大人になる気配があり)勉強をきちんとしていると未来ある若者とわかる描写に、「この夏のこともどうせすぐ忘れる」存在であることを思い起こされた。
空と窒息
昆虫標本
宵闇の山
生き残り
夏の直線
各タイトルのセンスが好き。
首を絞めないと息ができない可宮
弟を取り込んでしまった栗栖
お祭りの日だけ毎年蘇るミナミ
誰も知らない場所に行ってしまう篠
物語に出てくるようなアオ
アンニュイって言うのかな、みんなどこか現実を生きていないみたいで、(実際に幽霊もいるけど)その危なさが作者の言う強烈な陽射しと得体の知れない影を形作ってた。
大学を卒業する今、完全に大人になる前に自分の高校生の時に感じた永遠を思い出せて、まだ自分は何かを失ってないことを再確認できて良かった。
ニアBLみたいな少し暗い雰囲気のお話が好きなので楽しく読めた。長野まゆみの小説をより現代チックにしたような感じもあった。こういうの増えないかなあ。
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学生時代に超はまっていた携帯サイトの作者さんが、
まさかの商業デビューしていたと聞いて、とりあえず短編集をと購入。これからの季節にぴったりだし。
読んだ瞬間、あーーーー好き!って思った。
そうそう、この文章が好きだった。
淡々としていて、だけど耽美で、切なくて、あふれるくらいの思いが読み取れるのに、直接的な言葉は言わない。
もう最高。
忘れられないようなひと夏の思い出なのに、
このタイトルですよ。もう~~~~好き!
生き残りがめちゃ好きだった。
高校生の恋愛って「いつか終わる」が前提なところがあって、でもその時は全力で恋をしていて。
終わりが見えている恋愛って苦しいなあって胸がぎゅっと痛くなった。
あとがきに、BGMが書いてあって、
そういえばこの作者さんこういうこと書く人だった~って終始エモかった。
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すごかった…。どの話も大胆な起伏があるようなのじゃない、むしろすべて静かな話なんだけれど、どれも濃く心に残るようなのばかりだった。
これどの配信で聞いたか忘れちゃったんですが怪談についての雑談で、「どんなに怖くて、忘れられないって思ってた体験でも忘れる。自分は学生のときに、ある怖い体験をしたことがあったんだけど、実家に帰ったときになんとなく母にそれを話すと『でもあんた、その後であったことがもっと怖かったって言ってたじゃない』って言われたんですよ。自分はそれを全く覚えていなくてね。人って忘れる生き物なんだな〜」みたいなことを誰かが喋っていた記憶があって、それを思い出しました。
だから、この本のどのお話もタイトルにあるように登場人物たちは忘れていくんだろうなって寂寞とした気持ちになったわ。鮮烈な体験をしたと思ったのに、ぜったいに忘れられないと思ったのに、水で薄めるように時間が経つにつれ、この夏、味わったものを忘れていくんだろう。それでずっと大人になったときにふと思い出して、なんで忘れてたんだろうってなるんだろう。