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ますます、面白くなっていく、『まぞハハ』
しかし、十五夜先生は、まだまだ、変身を残していそうである
どう面白いか、それを上手く説明するのは難しい
単純に面白い、だけでは、他の漫画読みに伝わらないので、どうにか絞り出すと、三つの理由が挙がる
一つは、モンスター娘好きの漫画読みの癖を、絶妙にくすぐってくる
断言は出来ないが、この『息子がかわいくて仕方がない魔族の母親』を読んでいる漫画読みは、『モンスター娘のいる日常』や『セントールの悩み』、『異種族レビュアーズ』を読んでいるんじゃないだろうか
一つは、ともかく、ヒロイン陣がエロい
ローレムの母親ゆえのエロさ、メリーの妹キャラゆえのエロさ、テレサさんのお姉さんキャラゆえのエロさ、千春の人だからこそのエロさなど、様々な方向性から攻めてくる
しかし、決して、下品じゃないのである
あくまで、エロさは、ストーリーの良さを引き立てているに過ぎず、その匙加減が、ある意味、十五夜先生の最も凄いトコと言える
一つは、ストーリーの構成と言うか、コンビネーションが良い
基本的には、育児の楽しさや難しさを主軸にしたコミカルな日常ドラマなのだが、人と魔族が存在している世界が舞台だからこそ生じる悲しい軋轢や差別からも、目を逸らさず、結構、強めに描いている
これまた、私個人の勝手な感覚だが、この『まぞハハ』のストーリーにグッと来る漫画読みは、『銀魂』や『鬼灯の冷徹』も響くタイプじゃないだろうか
この(6)では、魔族の国を作る、その目的の為に暴力を使う事も厭わぬグループも登場している
そうなったら、当然、ピンチにヒロインらは陥る訳だ
大切な人を守るために、敵の誘いに乗ろうとするメリー、それを止めたいけど、その力がない千春
人と魔の友情は、このまま引き裂かれてしまうのか、と思ったタイミングで、思いがけぬ存在が、彼女達を助けてくれた
まさか、ドレイクとナイトメアが、力を貸してくれるとは
作中でも、上位に入る強さを持っている二匹が、テロリストのリーダー・クラウンとバトれば、そりゃ、怪獣大戦争レベル
共闘により、勝った、と言える結果ではなかったにしろ、相手を撤退を余儀なくさせ、重傷こそ負ったが、誰も死なずに済んだ
とは言え、千春が負った罪悪感は小さくない
果たして、次の巻で、千春は、この問題を乗り越える事が出来るんだろうか
この台詞を引用に選んだのは、惡ゆえに真理を衝いているなぁ、と感じたので
この作品に限った事じゃないが、本当に良い作品ってのは、悪役のキャラがしっかりと確立されている
クラウンのように、ドス黒い悪役が出てきたってことは、やはり、この『まぞハハ』は、もっと、もっと面白くなるってことだ
絶対的に極悪なクラウンの悪意に、現実と自分の力不足を痛感させられた千春
本当に心配だけど、彼女は縁に恵まれているから、大丈夫だよな、と信じられる、いや、信じたい
「待って・・・待って・・・!! そんなの、おかしい!! そんなの・・・」
「その通りだ、人間。おかしいと思うよなぁ? メリーだって、俺に心から従いたいなんて思ってないもんなぁ? だが、これが力の抑圧で保たれる、世界の現実だ。人間は、魔族に、同じことを山ほどしている。見て見ぬフリをしているのだ。勉強になったか?」(by西村千春、クラウン)