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楽しかった!
装丁から、あの時代のお話しかと思えば、思いっきり現代が舞台で、それがより面白くしている。
巻き込まれ型の探偵?涼に、巻き込んじゃう型の翁さん。
ナイスすぎるでしょ。
事件も、殺伐としたものはなくて、いかにも下町な感じ。
そこから生まれる出会いも温かい。
作家である涼父の蔵書が、すごく気になるなー。
それを読めるなら、私も押しかけ助手になるw
気になる弟甘くんの存在があるので、シリーズ化されることを期待。
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【収録作品】都電の町と鉄仮面/ネジ子さんが来た/セカイは知らんぷり/守り神は失踪中/スキマ男のレモン/まぼろし楽隊
乱歩へのオマージュ。レトロな気分で探偵ごっこ。郷愁を誘われる。
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この装丁、分かる人には懐かしい少年探偵団風。まぁ乱歩のオマージュ作品はたくさんあるので若者でも分かるか。
6篇からなる短編集。朱川さん、やはり昭和ノスタルジーを感じさせる。親父がベテラン作家の黒葛原(つづらはら)スズム。ひょんなことから下町で探偵の真似事をする状況になっていく。
どの話もミステリな読み物になっていて、そこかしこにユーモアもちりばめてある。もちろん下町のコテコテした人間関係も面白い。人間くさい、味わい豊かな本書、まぁ軽めだが読み易くて良い。
決め台詞「こいつはワンチャンありますぜ」がダサくていい。(笑)
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昭和館が残るレトロな下町を舞台に、少しだけ奇妙な事件が繰り広げられるミステリ連作集。「犯人」ではなく「怪人」というのがぴったりな彼らが起こす事件は、奇怪ではあるけれどどこかしらほっこりさせられたり、くすりとさせられるものが多いなあ。そしてそれに立ち向かう探偵……私も助手になりたい、って思いました(笑)。
ラストの謎もいいなあ。そして某所に引用されている乱歩の文章がぐっと雰囲気を盛り上げてくれて。探偵と怪人の対決、なんて現実にはまああり得ないのだけれど。こういう場所でならあってもいいんじゃないかな、って思えました。むしろあってほしい。
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タイトルだけだとピンとこないが、表紙のイラストが昭和の怪人と探偵のイメージで良い!実際は昭和の雰囲気の町の現代の話なので、そのギャップも気に入った。町の噂の謎を解くうちに、自主的に助手が増えていくのも楽しい。助手が増えるきっかけにもなったいわくありげな椅子が気になる。そんな椅子で読書したい!
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お勧め度:☆6個(満点10個)。なんか、すごくノスタルジックな小説に出会った気分だ。特に私のように50歳過ぎの人にとっては、映画の「オールウェイズ」を彷彿させる場面がそこかしこに出てくるのは懐かしい。もちろんミステリー風を装ってはいるが、読み終えたらマンガ的な要素が多かった気がする。内容は会社の倒産で無職となった主人公「黒葛原涼」(つづらはらすずむ)が東京下町の町良に引っ越し、探偵業を始めるまでの事件6章と周りの人々のなりそめを描いている。お気に入りはネジ子さんが猫を「ニャントラ星人」と呼ぶのは笑えた。
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【内容】江戸川乱歩が好きだった男が雰囲気のある町に定住したら、なりゆきで探偵稼業をやらされることになった。
【感想】ミステリ成分は少ない。が、ユーモラスな気分と、町のおもしろそうな雰囲気とか、できごとの江戸川乱歩っぽいええかげんさはあって、そこがいい。
本当にたまたま最近『憧れの少年探偵団』という本を人に借りて読んだばかりだったが、ぼくとしては『スズメの事ム所』の方が相性がいい感じ。続編希望。
それにしても、本って高くなったなあ。この本のつくりでメジャー出版社やからぼくのイメージでは980円ってとこやけど1850円で倍近くするもんなあ。買うてられへんワ(これは図書館で借りました、スンマヘン)。
▼スズメの事ム所についての簡単なメモ
【荒川超絶職人】荒川で一番なら東京で一番の職人と言っても過言ではないらしい。山下さんちのおばあさんは羽子板職人で新井さんちのおばあさんは和裁職人で武見さんは額縁職人。すでに七十人ほどが登録されている。
【荒川メルヘンランド】意外に人気のある遊園地。
【椅子】涼が気に入って購入したが大きすぎて窓から入れるためトモエの世話になったせいでカマイタチを追うことになった。中に人間が入っているかどうかは不明だが少なくとも人が一人ついてきたとは言える。
【江藤萬/えとう・よろず】「てんぷらの江藤」の次男。町おこししたがっている。その一環で自分はカレーパン屋を開きたい。通称マンショ。後の少年?探偵団?の一員?
【翁月子】長一郎の娘。日出代とは双子。縦巻きロール。
【翁長一郎】扇形のレトロなビルのオーナー。玲の本を預かってくれる。涼はそこで探偵事務所を開くことになる。
【翁日出代】長一郎の娘。月子とは双子。シャープな感じ。
【おやど】翁姉妹がやってる喫茶店。ビルの一階にある。
【カマイタチ】連続ひったくり犯。サッちゃんの持ち物を奪った。マウンテンバイクを駆使しているらしい。
【キク子】パンのしげやまの人。トモエの友人? 意外にハスキーな声。
【小森流華】青年。とある事件の容疑者というか。小学生のときに単身アメリカに留学させられて最近戻ってきた。後の少年?探偵団?の一員?小林少年?
【サイクル鈴本】涼が椅子と出会った店。今はリサイクル鈴本?
【サッちゃん】ひったくりにあった。トモエの友人?
【スキマ男】心の中の隙間を埋めるためになにかをしてしまう。
【セカイ】人から暴行を受け涼が保護した猫。すごい雑種は町良を象徴してるようでもある。今は探偵事務所で同居中。
【タツ子】てんぷらの江藤をやってるオバチャン。涼はそこの三色のかきあげ通称信号揚げが好物。
【黒葛原甘/つづらはら・かん】涼の弟。子どもの頃「つづらはら探偵事ム所」と手書きした白い板をプレゼントしてくれた。12年前20歳のとき海で行方不明。
【黒葛原涼/つづらはら・すずむ】主人公。職歴は新聞記者→不動産屋の営業→探偵? ニックネームは常にスズメ。身長185cmある。
【黒葛原玲/つづらはら・れい】父親。ベテランのミステリ作家。家を処分することに決めたが膨大な蔵書を手離す気��ない。
【都留木雅哉/つるぎ・まさや】関西の企業ツルギフーズの社長。
【鉄仮面】焦って逃げるときにうっかり植木鉢を割った怪人。
【トモエ】えらそうなオバチャン。通称トモエ御前。スナック「マリアの泉」を経営してる。
【B・B】探偵のライバル怪盗?ブルーバルーン(青い風船)の略かもしれない。
【弁財湯】行きつけになった銭湯。
【町良/まちら】荒川区にある。鉄仮面が出たり心霊科学研究所があったりする。道がごちゃごちゃして複雑で古い建物(文化財系というのではないが)がたくさん残ってる。
【三和根自子】無給でいいからと探偵事務所の事務員になりに押しかけてきた女性。その理由が、涼が購入した椅子を前々から店頭で利用し気に入っていてその椅子と別れたくないからというもの。最終的に事務所(というか元々書庫)に居着き好きな椅子を涼に明け渡そうともせず安楽に腰掛け本を読みながら暮らしている。事務員ないしは探偵助手とは言え無給なのでちょっと変わった友人という扱い。ちなみに容姿は涼のどストライク。通称ネジ子さん。猫のことをニャントラ星人と呼ぶ。暑さに弱く、クーラーを賛美する。涼の推理もネジ子さんの的確なアドバイスがあったればこそ。終わコン旅行が好き(終わったコンテンツを意味し、すでに盛りを過ぎて寂れている場所を旅行すること)。
【むささび】行きつけになった居酒屋。弁財湯の帰りに寄る。女将は還暦を過ぎ板前の旦那は四十そこそこのカップル。
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黒葛原涼(つづらはら すずむ)は、推理作家の父・黒葛原玲に蔵書の管理を任されて、荒川区町良にある三角形のビルに部屋を持つことになる。
父のファンで大家さんの、翁(おきな)さんは、涼が名探偵になると固く信じている。
実は、名探偵になりたい、なんて思う子供だったのだ。
今は…今は?
少年探偵団!!って感じの表紙イラストが素敵。
よしよし、そういう本なんだな?と気持ちスタンバイ。
路面電車の走る町、荒川区(なぜかここは実名)町良(まちら)の世界観を語るための説明がちょっと長い気がするが、町の様子は事件の展開にも大いにかかわってくるので、よ~く思い描いて、頭の中に展開しておきたい。
いいタイミングで、お散歩番組で「町屋」を訪ねていて、意外にも面白くて変わったお店や施設がたくさんあった。
素敵な町である。
いきなり履歴書を持って探偵助手を希望してきた、ネジ子さんには、なんだか秘密がありそうな…
そして、12年前に海に消えた弟の甘は生きているのか?
とっても面白くて、でもどこか物悲しい朱川ワールドでした。
シリーズ化でしょうか?
各話、江戸川乱歩作品からの引用あり。
乱歩をきちんと全部読みたくなりました。
(傑作選しか読んでいないので…)
第1話 都電の町と鉄仮面
涼、父の蔵書とともに、町良に住む。
鉄仮面が出るそうな!
第2話 ネジ子さんが来た
涼、立派な一人掛けソファを買う。
ひったくり“カマイタチ”の追跡。
第3話 セカイは知らんぷり
涼、怪我をした猫を保護する。
教育ママとアメリカ帰りの息子の確執とは?
第4話 守り神は失踪中
涼、人形探しを頼まれる。
昔ながらの天ぷら屋の女将さんと、息子の来し方行く末。
第5話 スキマ男のレモン
涼、盗撮容疑で連行さる?!
心の隙間にはレモンが効く(!?)
第6話 まぼろし楽隊(ジンタ)
結局、楽隊の正体は何だったのでしょうか?
涼の蔵書部屋は、とっても賑やかになりました。
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表紙絵で分かるように『少年探偵団』を彷彿とさせるような、ユーモア作品。
父親が作家だった黒葛原涼(つづはらすずむ)が父の蔵書の書庫として借りた一室が、周囲の人々に圧されるうちに探偵事務所と化していく。
朱川さんらしいノスタルジックな舞台設定。時代に取り残された昭和の雰囲気、入り組んだ路地、濃密な人間関係という下町で起きた事件。
涼が最終的に真相に辿り着くものの、決して名探偵というキャラクターではなく、押しかけ助手や雑居ビルの大家や周囲の住民たちからのヒントだったり、偶然の出会いや発見で辿り着くというのが、何とも素人探偵臭くて良い。
狭いコミュニティならではの事件であったり、人情があったり(行き過ぎもたまにある)と、これまた朱川さんらしさ満載。
各章に『少年探偵団』シリーズや乱歩作品の一節が載せられているのも、その話の雰囲気を盛り上げてくれる。
作品を通して描かれる涼の家族についても次第に焦点が当てられていくところも興味を惹かれる。
主人公の涼が優柔不断な割にお調子者的なところもあって何ともハラハラさせられるが、何故か周囲から助けてもらえるところが面白い。
周囲の人々に謎も多いし、結末も考えると続編を作るつもりなのかどうか。
どうせなら雑居ビルの他の住人達の絡みも欲しかった。
ただこんな風に白黒付けないまま終わる作品が朱川さんに多いから、これも単発もので終わるのかも知れないが。
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初出 2016〜17年「オール讀物」の連続6話
作者らしいこの世の者ならぬ不思議系のものは登場せず、乱歩へのリスペクトたっぷりの下町人情系ミステリー。
推理小説作家の息子黒葛原涼(つづらはらすずむ、スズメがあだ名)は勤務先が倒産し、父親が自宅を処分してサ高住に移るために、膨大な蔵書の預け先荒川区町良の喫茶店のあるビルの二階に居着くが、都電が走る昭和のにおいたっぷりの町で鉄仮面目撃情報があり、ネットを駆使して真相を明らかにしたために、父親のファンであるビルのオーナーは彼を「探偵」と認め、口コミで事件を集めてくる。
購入した一人掛けソファーの縁で美しい才女が無給の助手として書庫兼事務所に来るようになり、ひったくり犯のプロファイルを推理して取り押さえ、傷つけられた猫(ニャントラ星人セカイと呼ばれる)を助け、殺傷能力のある武器で猫を傷つけた小学生の追い詰められた状況を塾の教師に伝える。
対面販売の小さな天ぷら屋の守り神である人形が行方不明になるが、そのありかを推理して、町に住む人々の生活を理解し、信頼を得ていく。
夜のビルをボルダリングでよじ登り、関西限定のドリンクの空き缶の上にレモンを置く人物を推理して待ち構える。事件ではないが、下町らしい人の繋がりがどんどん増える。
謎のチンドン屋が勝手に探偵事務所を宣伝し、同時に「忘れられた町の宝を奪う」と挑戦してくる。
チンドン屋の正体は直ぐに気付くのだが、最後になって全てが最初から仕組まれたものではないのかという疑念がわく。続編はあるのか?
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まず、表紙のデザインにピンと来るものがあり(僕らは少年~的な)、興味を持ちました。内容としては、人付き合いの温かさあふれる下町で起こる、ちょっと不思議な事件を解決していく連作もので、主人公はじめ、登場するキャラクターが、皆、個性的で楽しく読むことができました。本格的な推理ものを期待している方には、物足りないと思うかもしれませんが、私は、単純に物語と雰囲気を味わうことで、楽しい時間を過ごせました。こんな町に住んでみたい。続編を期待してます。
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「オロナミンCのホーロー看板」、「ビタミンCがたっぷり!プラッシー」、「りりぃ:私は泣いてます」・・・、朱川さんですから昭和の舞台は整っています。都電の走る町良(町屋でしょうw)にかまえた「つづらはら探偵事務所」の物語です。6話のうち、前半はまずまず楽しめましたが、後半は「?」でした。朱川さん、頑張って下さい! 「スズメの事ム所」、2019.7発行。
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町のあちこちで空き缶と一緒に置かれたレモンが見つかり…。なりゆきで探偵になった黒葛原涼、通称“スズメ”が、下町で起きた6つの怪事件に挑む。
東京荒川区町屋?が舞台と思われる物語。殺人事件が起こるわけでもなくいうなれば日常の謎系のストーリー。ただ登場人物のキャラがたっていて映像化しやすそう。弟のミステリーなど、続編への橋渡し的な終わり方だった。
(Ⅽ)
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連作短編6編
昭和の匂いのする町で江戸川乱歩風の味わいのある事件が起こる.ありそうでありえないような不思議な味わいのある小説で,私はとても好きだったのでできたら続きが読みたい.
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推理作家の父の蔵書管理のために訪れた下町で、なんだかんだで探偵事務所を開くことになっちゃった男のお話。
短編6作品。
軽快でユーモアと人情味たっぷりの一冊です。
主人公の流されやすいとことか、父親の気ままさとか。
下町っぽい登場人物たちとか、読んでてイヤな気分になるところがひとつもない楽しいミステリーものでした。