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内容は期待したほどサプライジングなトピックを含むものではなかったが、所々で出てくる「プロスペクティブな」社会実験や疫学調査が面白い。たとえば、母乳の影響を確かめるべく子供に母乳/粉末乳を与える家庭を予め決めて結果を検証するベラルーシのプログラムが出てくるが、もし実際に母乳が有用だという結果が出てしまったら粉末乳の家庭にどう説明するのだろう。
・オンラインのマッチングサイトはオフラインにおける出会いの機会の乏しさを克服している。そのためオンラインのほうが多用なカップルの組み合わせを生み出している
・低体重児は幼少期や成人後に精神・身体・収入面問題を抱えることが多い
・少子化に伴う収入源を補うため、産婦人科はより診療報酬の得られる帝王切開を選択する傾向にあり、低体重児の増加に繋がっている
・高学歴の母親は子育てに対する意識が高く、母乳を選択することが多いが、経済的に豊かな家庭の母親であることも多いので、結果的に子供の健康状態が良くなる。ただし16歳ごろには効果が消失する
・保育園での保育は子供の将来の犯罪率を下げるため、個々の家庭ではなく社会全体に便益を生ずるため、整備のための原資を税金で賄うのは理にかなう
・離婚率は本来、追跡調査をしないと得られない数値。現在の各種統計で用いられる「離婚率」は簡便的な「その年の離婚件数/結婚件数」であるが、結婚件数が今年行われたものであるのに対し離婚件数は過去に行われた婚姻のものであるので、結婚件数が減少している状況では実態よりも大きく算出される(過去と現在を比べてしまっている)
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結婚・赤ちゃん・育休・イクメン・保育園・離婚に関連したさまざまな研究成果を紹介。日本だけでなく、諸外国における統計的エビデンスを持って、制度や政策と人々の行動に至る意思決定について考える。帝王切開、ミルク、3歳未満の保育園、ぜんぶオッケー。
数値で示されるので、普通に考えられていることそのままのケースもあり、別の事実を示すこともあり。きちんと統計数値化するのって大事ですね。
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結婚・出産・子育てについて、統計をもとに、何が幸福につながるかを分析した本。経済学というタイトルだけど、「興味深い統計分析」という印象です。ちょうど同時進行で「論理的思考力を育てる三角ロジック」という本を読んでいたのですが、まさにこの手法で、まず統計によって「根拠」を示し、そこに多角的な分析を加えて「理由」を述べ、だから・・・・・が幸福度を高める可能性があるという「主張」を組み立てており、わかりやすいです。
新書を選ぶときは目次を見て興味を持って買うのですが、私が興味を持ったのは「赤ちゃんの出生時の体重がその後の人生に影響があるか?」という項目や、育児休暇制度の是非に関わる項目です。日本では「小さく産んで大きく育てる」などと、出生時は赤ちゃんが大きすぎない方が良いような情報が出回っているけれど、出生時の体重が大きい方が、その後、大人になったときに健康だったり、IQが高かったり、所得が高かったりするデータがあるそうです。なんとびっくり。あと母乳育児の良さなども検証しているけれど、さまざまな立場の女性に配慮しながら書かれていて良かった。
私は職場で絶賛、「働き方改革」実践中なので、育休の取り方のデータにも非常に興味があったのですが、著者の結論では育休は3年は長過ぎ(必要ない)、1年がベスト、ということでした。根拠となるデータにも理由にも文句はないけれど、あくまでも子どもを一人しか持たない場合のことしか考えてないところが突っ込みどころです。(著者の経験を踏まえて書いてある部分もあるのですが、著者もお子さんは一人のようです)。女性が教育を受けて社会に出て、キャリアを積んだ後結婚して子どもを産み、一年間の育児休暇を経てそれまでのキャリアに大きな影響が出ないうちに復帰し、また二人目、三人目の子どもをのぞむということは想定されていないようで、それが残念。
女性(母親)の学歴と子どもの発達との関係など、ちょっときわどい統計もありますが、非常に興味深く意義のある内容でした。
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男性の5人にひとり、女性の10人にひとりは生涯独身
帝王切開は健康にリスク、母乳育児は良い!が、それほど大きな差はない
日本は制度だけ育休先進国
3組に1組は離婚はうそ!今年結婚した人を分母に、これまで何十年の間に結婚してきた人が離婚した数を分子においたら、多くなるに決まってる。結婚適齢期の人数が半減してるんだから、、、
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恣意的ではなくデータに基づいた考察を多角的にしているので、非常に納得感が高かった
幼児期からの長期的なデータ取得と検証は根気のいる作業であり、これに取り組む姿勢は尊敬する
こういった検証は是非もっと盛んに各所で取り組んでいける世の中になって欲しいと思う
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結婚、出産、子育て、離婚、、、といった分野は、経済学とは程遠い分野だと感じる人もいるかもしれませんが、家庭のなかの身近なもんだいについても、経済学的なアプローチ、つまりいろんなデータを使って科学的・統計学的にみていくことで、客観的で冷静な評価ができるようになります。直感的には「家族のため」になりそうな「3年育休」も、実はあまり効果がなかったりとか、「母乳で育てるべき」という考え方もそこまでのエビデンスはないようです。家族の幸せは主観的かつ個別事情になりがちですが、一般的に見るとどうなの?という疑問に一定の答えを出してくれる本です。
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あたりまえの日常での実感を当たり前に買いているだけ。統計の使い方にもなぜかかなりページを割いているのも筋を読みにくくしている。大変がっかり
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さっとひと眺めした感じのみ。
「結婚の経済的なメリット」「子どもを持つことは『メリット』なのか」という言葉は、ピンとこなかったな。
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「新書大賞2020」第5位に選出された新書で、経済学の立場から「家族の幸せ」を分析したものです。マッチングサイトや母乳育児、育児休業、保育園、離婚(!)など、さまざまなデータから分かったことがとても易しくわかりやすい文章で書かれています。
ただ、筆者も言うように、これらの分析は私たちの選択の手助けにはなるけど、「何が自分にとっての幸せなのか」を教えてくれるものではありません。それは自分で考える必要があります。本当に読みやすい本なので、高校生にもおすすめだと思います。
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家族の在り方、制度についてデータを用いて経済学の視点から論じられている。
データが取られた国、時代など社会的背景を十分考慮しているので信頼できる。目次の項目が多いので気になるところだけさらっと読むのもいいかもしれない。
所得の高い女性ほど結婚のメリットを受けにくいことにとても納得した。
子育てによって暗黙のうちに失われる収入が大きくなる。
[あることをするのにかかる費用はそれをしなかった場合に得られたであろう利益に等しい]とする[機会費用]の考え方に当てはめれば、子育てをするのにかかる費用は子育てをしなかった場合に得られたであろう利益に等しい。なるほど!!!
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あんまり惹きつけられる内容ではなかった。
既知の内容の再確認が多すぎるのと、経済学ってゆうか社会学を語りたかったのか?って印象。
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数年前に「学力の経済学」という本が出版され、当時読みました(レビューしてなかったかも)。
その本はいわゆる「学力を上げる」や教育に関するこれまでなんとなく言われ続けてきたことを、科学的にデータ分析して見直してみたらこうでした、といったことが書かれてあり、目からウロコな話も少なくありませんでした。
この本は「学力の経済学」と同じくデータを分析して結婚や出産、保育園の効能や離婚についてなどを考察した本です。
なかでも
・今どきの出会いの場、結婚マッチングサイトについて
・帝王切開は自然分娩より劣っているのか
・母乳育児はメリットだらけというのは本当か
・父親の育休で夫婦のきずなは深まるのか
・保育園は子どもと母親にとってプラスになるのか
・離婚しやすくなるのは不幸なのか
についてはなかなか興味深く読ませていただきました。
目からうろこのものもあれば、「ああやっぱりね」とおもったものもあり。
特に大きくうなづけたのは
「子どもの幸せという観点から考えると、離婚の手続きを難しくするよりは、離婚が生み出す貧困の悪影響を避けるような社会の仕組みが必要」ということ。
不仲の夫婦のもとで子どもが育つのは、いくら父母が揃っていたとしてもいい影響は与えないと思います。かといって離婚→シングルで子育てするとなると、経済的な意味でも社会的にも基盤が弱くなってしまいます。この基盤をいかに強化するかが、ある意味、子どもたちの貧困格差をなくすことにもなるのかなぁ。→といったことも筆者が書いていましたがこの選択肢の中にシングルの親が出会い、再婚しやすい社会と雰囲気作りもあればいいかも。
もちろんシングル親への支援は必要ですよ。それと同時にステップファミリーの地位ももうちょっとあがるといいね。
ここまで言及していなかった点がちょっと残念でした。
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働く一児の母です。私自身は育児休暇を1年とり、今は保育園に預けています。
特に保育園に預けていることは子どもに"悪いこと"をしているのではないか、本当は親が面倒を見るのが子供にとって"良いこと"なのでは?という思いをずっと抱えています。
この"悪いこと""良いこと"がデータで分かり、少し心のわだかまりがとれたと思います。
客観的な視点で出産、子育てを考えるきっかけをもらいました。
思い込みのアドバイスが多い出産、子育ての世界をデータ分析から解き明かす試みはとても興味深いです。全ての人が自分の意思で最善の選択肢ができる世の中になることを願っています。
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ワーママの方には興味ある内容と思います。
結婚の経済学
赤ちゃんの経済学
育休の経済学
イクメンの経済学
保育園の経済学
離婚の経済学
当たり前をデータできちんと確認
しておくことがとても重要である
男性は女性に対して容姿を
女性は男性に対して経済力を
重視する傾向は薄々分かっていたが
データ的にも正しいそうです。
子育てによって失われてしまったであろう
収入こそが子育ての暗黙の費用
キャリア女性ほど結婚のメリットは減っている
6割の女性が夫に家事育児能力を求めている
なぜお父さんは育児休業を取らないのか
どうすれば取れるようになるのか
そしてお父さんが育児休業をとると
家族はどう変わるのかと言う疑問の
答えを探していく
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データ部分より分析が長い。
明らかなデータ元が紹介されてなかったり、信じていいデータか不明だったり、根拠あるのかな?っていうもの(胎児期起源説)も。
興味深くはあった。
お母さんが自ら子供を育てることが子供の発達に良いという神話。
子供にとって育つ環境は重要だが、育児は母親でなくてもいい。訓練を受けた保育士では健やかに育てることができる。
日本の父親の育休期間は世界二位(フランス、北欧とは大差)、給付金も育休期間が短いほど高い傾向だが健闘。ユニセフで男性の育児休業制度で一位だが「実際に取得する父親は非常に少ない」と但し書き。
幼児教育、ペリー就学前プロジェクト(低所得、黒人家庭が対象)が面白い、当然の結果ともいえるけど。
低所得の白人家庭でも同じ結果が出そうだけど。やってないのがもったいない。
日本でも低所得家庭なら効果が出そう。