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オリンピックを翌年に控え東京はどんどん変わろうとしていた。
その最中誘拐事件が起こる。
犯人を追う刑事たち。そして事件に巻き込まれる人たち。
とにかく物悲しい。色々考えると辛くなるほどに。
ぐいぐいとものすごい力で引き摺り込まれるように読みました。
オリンピックの身代金も読み応えありましたが、この本もとにかくすごい!というしかありません。
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奥田英朗の久しぶりの長編小説。最後まで目を離せない展開なのは相変わらずだけど、イマイチ消化不良な最後かな。東京オリンピック2020に合わせてなのか、「オリンピックの身代金」と同様に時代はは56年前の東京オリンピック前年、昭和38年(1969年)、舞台は東京。物語りの始まりは日本の最果て、北海道利尻島。1人の哀れな青年が利尻島から流れ着くまま舞台を東京へと移し、ある老人殺害事件を捜査する警視庁刑事課の面々たちと哀れな青年を主軸に物語が展開していく。実際に起きたある子どもの誘拐事件を下敷きにしているようだが、主人公の1人の青年の心のついてもうすこし掘り下げて欲しかった気がする。
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北の昆布漁場で働く青年が、生きて行くために
自分の頭で考えた事。
それはそんなに悪い事だったのか?
誰も人生の指針や善悪を青年の将来の為に
教えてはいなかった....
電話を使った初の身代金要求の誘拐事件をモデルに
した作品。東京オリンピックに沸く日本の光と影。
さすがは奥田先生!天晴です。
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「オリンピックの身代金」もそうだったけど、この時代の日本を描いた物語は、作者がピカイチだと思う。日本全体の熱量が伝わってきてすごい!
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戦後東京オリンピック直前に起きた、悲しき青年の犯罪録。
礼文島に生まれた宇野寛治は、雇われ昆布漁師から逃げ出し、東京を目指す。
学生時代から手癖の悪かった寛治は、東京でも窃盗を重ねつつ、ストリップ嬢の里子と情事を重ね、犯罪の深みにはまっていく。
寛治を追いかける捜査一課の若手刑事・落合は、寛治が起こしたとされる吉夫ちゃん誘拐事件と殺人事件の捜査に当たり、やがて寛治の闇に魅了されていく。
悪いのは寛治なのか、育った境遇なのか、繰り返される悲劇の幕が上がる。
連載の為か間延び感が。
もう少しドラマティックを期待してしまった。
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⑭図書館で借りて読了。東京オリンピック前の世相(作者も私も小学校入りたてて現実には知らないが)を見事に反映しています。また、フィナーレの数ページが映画の1シーンのような。「張り込み日記」から取ったカバー写真もバッチリ。しかし当時の警察は同じ組織内でも各自競いあい単独に動いていたと。「太陽に吠えろ」とかの影響でチームプレーが盛んと思っていました。所々、ユニークな面もあり、最後に少し不満もあるがやはり★5を付けざるを得ないでしょう。傑作でした。
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「オリンピックの身代金」に続く、昭和高度成長期を舞台とした警察小説。
当時の世間を揺るがせた「吉展ちゃん事件」に題材を取ったとのこと。
約600ページの大作だが、巧みな構成、ストーリー展開、こなれた文体に長さを全く感じさせない。
事件を追いかける刑事たちもいいが、普通の人?を代表する簡易旅館の一人娘のミキ子がいい。
ヤクザや左翼の活動家を歯牙にもかけない気っぷの良さがある一方、被害者家族を思いやる人情家でもある。
出生届を出しに行った在日韓国人の父親が漢字を知らなかったのでカタカナになったとか、帰化しようとしたら民団に妨害されたとか、細かい部分にリアリティがある。
最後の葬式のシーンで、涙に目をはらす若手刑事、黙って焼香するヤクザの幹部、焼香に来た警視総監をやじるミキ子の母親、彼らを見ているミキ子それぞれがこの物語を象徴している。
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オリンピック前の昭和がよく描かれている。
ただ正直長い。
犯人の心理も、設定上細かく描けないのはわかるが、ボリュームの割にあまり充実感はなかった。
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p80,北方の島で貧窮で育ち漁師見習い時から空巣癖を持って島を抜け出しオリンピック前の東京に出て事件を起す。
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とても読み応えのあるミステリーだった。
昭和の東京オリンピックの前年を舞台に
北海道の礼文島から訳あって東京にて出来た
20才の寛治は空き巣を繰り返し他人から莫迦だと罵られて来た。
そして、東京で強盗殺人が起きる。
その容疑者として、寛治が捜査線状に上がるが
足取りが掴めず刑事と寛治そして其れを取り巻く人間関係が逸材だ。そしてもう一つの誘拐事件へと
発展して行く。オリンピック前の日本の発展に伴い
交通、通信などが著しく発達して行く過程で
警察も混乱を極める。
寛治は、子供の時の悲惨な家庭環境から
過去を封印し記憶障害という病の為自分と言うものが無く殺人の記憶も霧に葬られて行く。
犯人の悪気の無さが、1番事件を複雑にしていて
刑事達と犯人の温度差やかけ引きも、昭和の匂い
を感じるさせる設定になっている。
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ガツンと来ました。
今まで読んだ奥田英朗さんの作品の中で私は一番かも。
ユーモアや、人の黒い部分とかそういうのは無くて。
それでもどんどん読み進む。
電車乗り過ごしたのはサウスバウンドとこの作品。
終盤は一緒に走った感じで息切れ。
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実際に発生した男児誘拐事件を題材とした犯罪ミステリーであるが、単に事件をなぞるだけでなく深みのあるドラマが展開されている。事件を追う刑事達のドラマと孤独な容疑者のドラマが錯綜して展開していく。長編にも関わらず、飽きることなく一気に読了することが出来た。
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最高。内容もさることながら、奥田英朗の本は文章の読みやすさでぐんぐん読まされてしまう。最悪・邪魔・無理等読んだ後の「むり~」「さいあく~」感はなんで最後まで読んじゃったんだろう…レベルなのに読まされてしまう。そこに加えこの本は読んで良かったと思える満足感があります。罪の声と同様、実際の事件がモチーフなのかな?
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ケチな空き巣狙い、子どもたちからも「莫迦」扱いされる礼文島出身の若者。親から愛されることなく育ち、仕事仲間からも搾取され記憶障害も持つ、同情すべき男。
オリンピック前年に起こった誘拐事件を追う刑事たち。
二つの線がとある強盗殺人事件で重なり見えなかった真実へと進んでいく。読みながら、その結末を私は望んでいない、と強く思う。そんなはずはない、そんなことできるはずはない、だって彼は愛すべき「莫迦」なのだから…なのに…
奥田英朗、さすがに面白い。この分厚さをぐいぐい引き込みながら突き進んでいく。
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丁寧な人物描写は秀逸。
昭和のお話だけど現代にも通じる人間模様に共感。
リーダビリティの良さは流石。