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元気になれる掌編集。
落語や歌舞伎の世界にいた「不幸な」「哀れな」「怖い」女性たちが現代に転生し、それぞれ新しく平和で、ワイルドな人生をもう一度歩んでいく。
生者も死者も対等にここにいる。働いて、恋をして、かつて得られなかったものを毅然と手に入れていく。
汀さんの会社で働くひとたちがみんな「おばちゃん」だったのがよかった。
女はひとたびおばちゃん認定されたらあとは坂を転がり落ちる石のごとく周囲から卑下され邪険にされそんな未来がいつか来るんだという暗澹たる思いが晴れていく。
おばちゃんは仕事できないとか恋できないとか誰が決めたのさ!
どれも魅力的な掌編だったけど特に「ひなちゃん」「楽しそう」「菊枝の青春」が好き。関西弁が使われてる話もいくつかあって親近感湧く。
『日本のヤバい女の子』はらださんの解説もよかった。
物語に閉じ込められた女の子、ふーんで通り過ぎてきた女の子、思いを馳せれば「おかしくね?」と思える瞬間。
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そうですね…。
1周読み終わるか読み終わらないかの時に、あーなるほどと全部が繋がる物語でした。
題名が面白そうで手に取りましたが、まさか怪談話の短編集とは(笑)
怖いものではありませんが、話によっては???となるものもありました( .. )
しかし、それぞれのキャラクターがとても面白く個性があり秘密があり生活があるのがとても面白かったです。
真面目な本から、少し面白い本を読みたい人にオススメ。
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傑作!
何これ?とワクワクしながら読みました。
1話目の「みがきをかける」に度肝を抜き、夢中で読みました。
落語や歌舞伎を元にしているそうですが、かなり攻めてます。
とても楽しかった。
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古典怪談をモチーフにした短編集。
コメディタッチの風刺作品で、これまでの著者のイメージが少し変わったような気がする(尤も河出から出た文庫ぐらいしか読んでいないのだが……)。こういうタイプの連作もまた書いて欲しい。
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タイトルは「おばちゃんたちのいるところ Where The Wild Ladies Are」。おばちゃんたちを「The Wild Ladies」と表記している。Wildは野性的な、自然のままの、を意味する。いつの時代であっても社会からの制限、偏見のために自然のままに在ることが難しい女性をあらゆる形で救い出してくれるThe Wild Ladiesの存在が心強い。また、自然のままにいられないのは女性だけではなく、男性もそうであることにまで触れられているのも、心のもやもやを晴らしてくれる。具体的に何をどうして救ってくれなくても、「いる」ことだけで、「いて見てくれている」ことだけで心の持ちようは大きく変わる。
みがきをかける
牡丹柄の灯籠
ひなちゃん
悋気しい
おばちゃんたちのいるところ
愛してた
クズハの一生 ★
彼女ができること ★
燃えているのは心
私のスーパーパワー
最後のお迎え
『チーム・更科』
休戦日
楽しそう
エノキの一生
菊枝の青春
下りない
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追いつめられた現代人のもとへ、八百屋お七や皿屋敷のお菊が一肌ぬぎにやってくる。お化けの妖気が心のしこりを解きほぐす、ワイルドで愉快な連作短篇集。
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おばちゃん ーー Wild Ladies ーー へぇ ワイルドレディスなんだ!と変なところに感心する。現世に住む大人たちよりエネルギーがあるって不思議。現世の訪問セールスも御札1枚で防御できるといいのになぁ
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生きてても死んでても、やはりおばちゃんという生き物は最強だなと。こんな幽霊たちなら仲良くなりたい。昔話の主人公と仲良くなるのはさぞかし楽しいだろうね
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世の不条理に晒されながらいろいろ受け入れ、首を傾げながらも気を紛らわす術を磨いて生きる人々。
もっとシンプルに化けて出る、やられたらやり返すオバケたち。
なにそれ、おかしない?あんた気色わるいで!
そうやって面と向かって言えちゃう“おばちゃん”らをWild Ladiesと訳してるのが豪胆な感じで良いなあ。
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現代の怪談といえばいいのか?
歌舞伎や落語、民話でのお化け、怪異なものたちが、現代社会に現れる。
個性豊かな彼女らが、現代人のそばでひっそり、時には猛烈に、その「能力」を発揮し、活躍していたりする。
むしろ現代人たちの方が業が深く、病んでいるように見える。
そういう短編が緩やかにつながって一冊が構成されている。
汀さんや茂が勤める謎の会社がカギを握っているらしい。
こんな愉快な小説を今まで知らずにいた自分が残念。
そしてこの本を古本100円でゲットしたことに、少々の後ろめたさを感じる。
どうか化けて出ないで。
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落語や歌舞伎の女性たちと今の女性たち。くずはさんと、忍寄恋曲者がよかったな。
なんとなく、田辺聖子さんの若い頃の社会との距離の取り方を今に持ってくるとこんな感じかなあと思いながら読んだ。
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とにかく、私、女でよかったーと思った。
作者である松田青子さんの気持ちなのだろうか、男、世間への恨み憎しみの記述に心から共感できるのは、私が女だからだろう。
生きている人と、死んでいる人が同数働く会社。
死んでからも強い魂を持つ人たちが、そこで働いて人助けやら、なんやら色んなことをしている。
ただ、私がこの会社を軸にした連作であると気づいたのは、本を半分くらい読み終わってからだった…苦笑。
表紙〜裏表紙に描かれている人物は、各話に登場する人物たちで、私はこれに地味に感動した。
数ページの短い話が多いのに、各話一人ずつ描かれているのって、実はすごい。
各話、落語や歌舞伎をモチーフにしているらしいのだけど、私は超有名どころしか知らないので、こんな話があるのね〜と感心した。
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黄色の表紙が気になって借りた。
幽霊だが、生前のおばちゃんとしての悪い部分が強く描かれており、楽しく読めた。短編小説集だったが話が繋がりそうで繋がらない部分もあり続きが気になる部分も多かった。
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帯に釣られて買ったはいいけど… NYで絶賛でも日本じゃ絶賛されてないって事かしらん?
元になる古典やら落語やらがあるので、わかる人にはわかってクスリ、という辺りが海外で受けたのかなぁ?昔話を今にトレースしたというか、二次創作して膨らませたら、みたいな感じというか。お菊さんの転生、なんて最近はやりのラノベでもありそうなモチーフではあります。ま、冒険も世界も救ったりもしないけれども。
という訳で面白くなかった訳でもないけれども…と言う感想。でもだって古典原作の方が面白いよね、みたいな感覚が残ってしまうというのか。
向島から来たの、の方が面白いもんなぁ~ウン。
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元ネタの古典〜落語や歌舞伎など〜を知っていた方が絶対に楽しめるのだが、知らなくても、最終章に向かうにつれ、収斂してゆくさまが見事で楽しかった。元気になれる本。知らない元ネタも勉強して、また読み直したらもっと楽しめると思う。