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*就職活動に失敗し心がぽっきり折れた小夜子は、ふらりと通夜に立ち寄る。会場には香の匂いとお経、木魚のリズム、そしてすすり泣く声が。そこには奇妙な老婆がいた。通夜を渡り歩き遺族を慰める「通夜女」だと彼女は名乗る。さまざまな葬儀を通夜女と訪れるうちに、小夜子の心に変化が訪れる。葬儀場で人生が変わる!*
引きこもりの女が他人のお通夜に紛れ込むことで自分の居場所を見つける・・・なんて、かなりユニークですが、何故かあまり無理がない設定です。某国には「泣き女」を雇う風習もあるくらいだからかな?すうっと物語に入って行けます。
明るいだけの展開ではないものの、この設定上ならこのオチが最上でしょう。楽しめました。
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2021.4.15 読了
就職活動に失敗し、引きこもりになってしまった小夜子。
ふとしたことで、知らない人の
お通夜に参加し、そこから
人の不幸に触れるのが 心地よくなってしまう。
お通夜に紛れる人のことを 通夜女(つやめ)と
実際は 言うのかわからないけど、
通夜女の先輩お婆さんと触れ合ううちに
成長してゆく小夜子。
読後感はスッキリで、
この作家さんは 裏切らない!
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大山淳子らしい、変わった視点で書かれた作品でした。
ホラー? と思って怖々読んでいたところ、主人公・小夜子の成長物語でひと安心。
小心で不器用で、特に取り得のない(自身の長所に気づいていないだけだったのですが)小夜子が居場所を見つけていくプロセスがうまく描かれていました。
大山さんはやはり落とし所がうまいと思いました。
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風変わりで不謹慎な内容なのに奇妙な面白さを感じた。
主人公は就職活動に失敗し心が折れた無職の仁科小夜子・24歳。
ふらりと立ち寄った見ず知らずの人の通夜が癖になり通夜巡りが趣味となる。
人の不幸は蜜の味じゃないけれど、不幸の空気を心地良いと感じ、通夜女(つやめ)を職業にしたいと考える小夜子に薄ら寒いものを感じる。
「通夜女」を名乗る老婆、通夜を盛り上げる通夜レディ、通夜ぶるまいに添えるケーキを考案するニコニコケーキランドの時尾くん、登場人物達は皆、個性的。
ただのオカシナ話に留まらずちょっと泣けて笑える再生の物語。
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面白い着眼点だねえ。通夜女。
よく思い付くなぁ。
でも、全体に流れる大山さん独特のまったりした文回し。時折激しい場面も出てくるけど、それでもやっぱりまったりしている。
最後のまとめ方も流石ですね。きちんと無理なく着地させていて、読み終わったあとが心地よい。