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よく結婚式では、友人とか親族のふりしている人がいることがあると聞いた事があります。葬儀にもいるんですね。
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大山淳子さん、その豊かな構想力と人情味溢れるストーリー、いつも人間として大切な事は何かを考えさせてもらっています。ユニークなタイトル「通夜女(つやめ)」(2019.10)を読みました。就職試験に失敗しひきこもりになった仁科小夜子24歳の物語。通夜に忍び込み香と経を聞き焼香して帰るという仕事をしている老婆とそれを趣味として楽しむ小夜子、悲しむ人々や通夜に関わる様々な業種の描写。でも、読者の心を打つのは、ひきこもりの娘、突然黒服で外出を始めた娘を陰になって見守り、警察からの電話を受け警察官に啖呵を切ったお母さんの愛情ではないでしょうか!そして、「折り紙」がいい役割してますね。
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引きこもりだった小夜子は、ひょんなことから、他人の通夜に図らずも参加してしまい、「不幸が基本にある空気感。その空間にいたい。もっと浸りたいと強く願うようになった。」
以降、他人の通夜に紛れ込むことを繰り返していたが、ある日「通夜女(つやめ)」と呼ばれる、自分と同じことをしている老婆と出会い、彼女に勝手に弟子入りをする・・・。
と書くと、ミステリーかホラー小説かと思われるだろうが、実際は引きこもりの女性が自分の居場所を見つけるまでを描いた自分探し小説である。
発想がユニークなのと、読みやすい文体で一気に読める。
以前、韓国には葬儀に来て泣いて場を盛り上げてくれる、「泣き女」という人たちがいると聞いたことがあるが、本書もその類の話かと思っていただけに、いい意味で裏切られた。
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『通夜女』という湿っぽいタイトルと装丁とは異なり、そんなに暗い話ではなかった。主人公小夜子は、就職に失敗し引きこもり。ひょんなことから他人の通夜に紛れ込んでしまい、『不幸の空間』を味わうことがヤミツキになる。それ以来様々な通夜を渡り歩くようになる-。ひと言でいえば不謹慎極まりない女だ。読みやすいけれど、ブラックユーモアとしても、彼女の成長物語としても、ちょっと中途半端かなという印象。でも要所要所は面白かったので、焦点を絞って書いてほしかった。ちょっと散漫な印象があった。(新刊発掘本)
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ありそうでなさそうな、なさそうでありそうな通夜女という存在を創出し、リアルに描ききっている。
原田ひ香の「東京ロンダリング」を思い出す。
主人公小夜子の物語だけでなく、弟の小太郎のストーリーや母の愛情といった家族の物語もきらりと光る。
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就活でつまずいて引きこもっていた主人公が通夜通いを趣味にして外に出始める。ちょっとずれてる葬儀ビジネスや主人公の性格など、楽しい話ではないが家族の話は興味深かった。ケーキ屋さんもいい人。
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就職活動で心を折られて引きこもりになってしまった小夜子が見出した趣味は、なんと通夜に通うこと。人の不幸の間にひっそりと身を置き、そうすることで自分のささやかな幸せをかみしめる……というとやや歪んでいるようにも感じられますが。誰だって「私の方がましかも」と思って安心することってあると思うんですよねえ。少なくとも、表立って誰かを貶めるよりは数段健全……でしょうか?
そしてそんな中で出会った正真正銘の「通夜女」。通夜にひっそりとまぎれ、遺族の感情をやわらげることもできる存在には少しほっこりさせられます。カッコよくもあるのだけれど。彼女と関わることで、小夜子の弱さや卑怯さが表出してしまうのが苦しくもありました。とはいえ、そこを乗り越えていくことが本筋なので。あまり細かいことを気にせずに頑張るのが幸せへの近道かなあ、なんて思ったりも。不思議な読み心地で、ちょっと勇気づけられる一冊です。
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小夜子の、生きていることへの軽い絶望感、みたいなものが少し重なった。ミスター健全がつまらない、とかまさに。
自分の葬式とか通夜は親戚内だけにして友人とかには死んだこと伝えないでいてほしいなと考えているけど、どうなんだろう。
わたしの母はどうしてこの本すすめたんだ
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あまりない設定の話。
ラストに一気に展開が進むのが良かった。
通夜女を卒業して、新卒で入ることのできなかった会社に入ることができて、よかった。
折り紙が人生を変えたとも言える、人生に無駄なことはないのだ!
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図書館で借りた本。就活に失敗し、ひきこもりになった折り紙好きの小夜子。ちょっとした偶然から他人の通夜に参列した事をきっかけに通夜めぐりを趣味にする事に。そこには先輩の通夜女がいて…という一見暗そうな表紙と内容だが、読んでみると、いろんな人が人生の分岐点でつまづきながらも現実を受け止め、悲壮感なく生きていて読後感は悪くない。面白かった本。
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結婚式に派遣される仕事があるならお通夜やお葬式にあってもいいわけで、主人公は仕事ではなかったけれど,お仕事小説とも言える.ふわふわ甘やかされた主人公が,一人不幸を背負ってる気分で落ち込み.周りの人との巡り合いで真っ当に運良く生きていくところ,こちらもまあいいかって気持ちになるが,少し物足りない読後感.引きこもりがお通夜にもぐり込むことで解消されるというアイデアは面白かった.
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"ひとりの人間の心には、同時に無数の思いが存在する。身内の死にしたって、後悔もあれば、解放感もあるだろう。"(p.133)
"わたしにしかできないことでなくていい、そんなことひとつもなくていい、誰にでもできることのひとつをわたしができた、それでいい。"(p.161)
"わたしは自分の問題を人に転化する。耐えられないから、人に投げる。しかも反撃してこない相手を無意識に選んでいる。
ずるい。まだそういうことをする自分に嫌気がさす。"(p.276)
さすよね、嫌気が。わたしも同じ。
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わたしの部屋には人の不幸がない。自分の不幸しかない。
人の不幸がわたしを救う。それはまぎれもない事実だ。(小夜子)
斬新な設定。でも小夜子の考えも分からないでもない気がする。
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評価は4.
内容(BOOKデーターベース)
就職活動に失敗し心がぽっきり折れた小夜子は、ふらりと通夜に立ち寄る。会場には香の匂いとお経、木魚のリズム、そしてすすり泣く声が。そこには奇妙な老婆がいた。通夜を渡り歩き遺族を慰める「通夜女」だと彼女は名乗る。さまざまな葬儀を通夜女と訪れるうちに、小夜子の心に変化が訪れる。葬儀場で人生が変わる!
社会からはじかれた一人の女性が立ち直っていく物語?
他の国には実施に葬儀で泣く人為に雇われる人もいるらしいので通夜に現れる人もいても違和感は無いか。
その動機が自分が落ち着くからってのはいかがかとも思うが・・・。
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就活に失敗し、ひきこもりとなった主人公の女性・小夜子。ふらりと立ち寄ったお通夜をきっかけに、通夜めぐりが趣味となる。
ひきこもりになった経緯がちょっと甘ちゃん過ぎるものだったので、主人公の小夜子の心情になかなか寄り添うことが出来なかったのが、読んでいて辛かったところ。しかしながら、小夜子のように、もう少し、というところで自ら歩を止めて社会から簡単にドロップアウトしてしまう人が現実にいそうな気がするからこそ、目を背けたくなるのかもしれない。その小夜子がふとしたことでお通夜めぐりに目覚め、通夜女の先輩である老婆に教えを乞いながら、新たな人生へと自らの力で一歩踏み出していく姿は意外にも勇気づけられる。決して明るく読める雰囲気の話ではなかったけれど、最後は前向きになれそうな読後感の一冊でした。