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幕末の神奈川宿で茶店のかたわら、密かに宿屋もやっている雷屋。もぐりで割高な宿に泊まろうとするのは、何か事情がある者ばかり。ある日、その雷屋で宿泊客が謎の死を遂げる。女中のお実乃は不審を抱き、原因を探り始めるが……。傑作時代本格推理!
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中島要 著「神奈川宿 雷(いかずち)屋」、2019.8発行。一階が茶店、二階が旅籠の雷屋で旅籠の女中として働くお実乃18歳を主人公とした物語。結構楽しめました。
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東海道53次、日本橋、川崎ときて3つめの宿場、神奈川宿。ありそうでなかなか舞台になる物語が少ない気がするのは、旅としても序盤すぎるか終盤手前の途中経過ポイントではあったのかもしれないなあ。横浜の港を眺められる立地なわけで、まずそこが勉強になった。
物語としては、生まれにも容姿にも奉公先にも不満と諦めをたんまり持っているお実乃が、これまた宿場のイメージと重なって想像しやすかった。善人と思ってたが実は、、な事件簿的なものがメインストーリーではあるんだろうけれど、ところどころ、消化不良。希一はなぜお実乃に会いに来たのかとか。佐太郎の櫛のお使いで返し文のこと頼まないまま出ちゃうし、番頭も体よくネコババしてそうなかんじだったし。、でもその後物語にはでてこないままだし。続きモノにするつもりなのかなあ。二三郎はお実乃を憎からず思っていると受け取っていいわけ?これもモヤモヤ。久六も実は裏がありそう、、という邪推を勝手に持ってしまっただけに、肩すかしだったし。糸が絡んだまま読み終えてしまった感はある。続きがあるなら、それに期待しておこう、な1冊、でした。
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神奈川宿の茶屋「雷屋」。表向きは茶屋だが、望む旅人には裏でこっそりと旅籠を営んでいた。その客の世話をする女中実乃は、働き者だが好奇心も強く、訳ありの客の「訳」を知りたくてウズウズ。女将や店主から叱られる事も多い。そんな毎日だが、ある日泊まりの客が三人、相次いで死んだ。病気や自害と思われたが、お実乃は殺されたのではと思い、探っていく。
田舎育ちで気の強いお実乃が、何とも逞しく、面白い。頑張ってと応援したくなる。登場人物達皆が生き生きと動いて、読ませる作品。
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幕末、異人を襲う事件が続く横浜に近い神奈川宿の茶屋〈雷屋〉が舞台。
茶屋なので本来は人を泊めることは出来ないのだが、裏稼業として二階の部屋に人を泊めている。裏稼業なので、客は突然具合を悪くした年寄りか、それとも訳ありか。
そんな〈雷屋〉で客が不審死する事件が続く。表向きは病死や自害とされたが、気になって仕方ない女中の実乃は泊まり客の役人に疑われながらも諦めずに一人調べることに…。
うーん、どうにも尻切れトンボの印象。様々な伏線や気になる部分が回収されないまま終わってしまった。大人の事情で急遽終わらせざるを得なかったのか。
それと個人的には主人公の実乃が最後まで好きになれなかった。
惚れた男に騙されて散々な目にあった上に親に売られて花魁になった姉の半生を見て、男には騙されない、上手いこと言う人間ほど信じないと言い聞かせる割にすんなりと色んな人の言うことを受け入れてしまう。
あの人が怪しい、私にこんなひどいこと言って嫌い、と思いながらも理詰めで話されるとそうかな、そうかもとアッサリ覆ってしまう。柔軟というよりチョロい感じで危なっかしいことこの上ない。
事件の容疑者として〈雷屋〉の内部犯行を考えるが、そんな危険な話を請われるままにあちこちで話す様は、正直というより軽薄に見えてしまう。
自身の不遇は生まれついての貧乏と字が読めないほど学がないこと、そして美貌の姉とは全く似ていないお粗末な顔のせいにしている。この時代、確かにそれもあるだろうが、実乃の場合、恵まれた環境と容姿に生まれついても果たしてこの軽薄さは自身を幸せに出来るだろうか。
〈雷屋〉のご隠居に、疑わしい人間ばかりの中で働くより新しい職場に行く方が良いと嫌味を言われるのも道理で、〈雷屋〉の人間を殺人犯として疑っているのに、そこから追い出されそうになるとたちまちすがり付くのも何だかなと思ってしまう。
次々泊まり客が不審死する事件と横浜での異人が襲われる事件との繋がりがあるのかどうか、泊まり客の同心たちとの関わりなど面白くなりそうなのに、何故かいくつかほったらかしにされている。
〈雷屋〉の事件は後味が悪い。こう見えて実は~、からの~だったら良かったのに。実乃の両親も同様。
姉だけが格好良かった。なのに実乃は最後まで厳しい言葉をぶつける。この時代、実乃のような考え方の方が普通なのかも知れないが。時代の変化と共に変わるだろうか。
結局あの役人はどうなるのか、こっちの役人は実乃のことを憎からず思っているのか。
うーん、尻切れトンボ。
中島さんの作品は「御徒の女」といい「着物始末暦」シリーズといい、思っていることを我慢できずにポンポン言う女性キャラがよく出てくる。それが痛快に映れば良いが、煩わしかったり軽薄に映る場合もある。今回の作品は悪い方に見えてしまった。
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作者中島要氏。
着物始末暦シリーズでは、着物の柄から、色々な知識を本で教わった。
母からの着物の柄など、なるほど、と、思うようなことまで書かれていた感がある。
さてさて、この本はと言うと、今までこの著者の本の中では、読んだ事のない小説。
東海道の宿場町、神奈川宿の旅籠での怪事件???
それを、この旅籠の「雷屋」の女中のお美乃が、詮索する。
癖の強い客ばかりなのだが、・・・詮索しすぎて、自分のの周りの人が、犯人ではと、思い込んでしまう。
結局は、想像もつかない人物が、張本人なのだが、・・・・
犯人を見つけ出して、結局は、この旅籠も消滅の憂き目に。
放り出されたお美乃は・・・
花魁の姉の元ヘ・・・
少し、話が、くどすぎるのと、このように、最後はめでたしなのか???、すこし疑問の残る小説であった。