紙の本
読み終えたら、行動を起こそう!
2019/10/02 12:14
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ら君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み終えて本を閉じてからが、始まりです。
行動を起こそう!
お医者さんや看護師さんでなければ、役に立たないと思っていましたが、さにあらず。
活動に欠かせない大切な仕事がたくさんあります。
寄付をすることも支えになります。
多くの人々の支えが求められています。
寄付するだけ、それも小銭しか募金箱に入れない自分を卑下してきました。
これからは、胸をはって寄付をします。小銭よりもたくさん寄付できるようにします。
知り合いにこの本をすすめます。
もっともっと、活動のことを知りたいです。
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<目次>
はじめに
第1章 「国境なき医師団」ってどんな組織?
第2章 MSF日本インタビューⅠ
第3章 現地ルポⅠ
第4章 MSF日本インタビューⅡ
第5章 現地ルポⅡ
<内容>
いとうせいこうによる、「国境なき医師団(MSF)」シリーズ第2弾。よりMSFに興味を持ってもらうためのつくりとなっている。著者が言うように、現地に行く必要も、医者である必要もない。少しのお金の寄付がこの組織を動かしている。多くの強い意思を持った人たちによって。ただ、語学が強ければ働ける。そのことだけは此処に記しておこう。
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いとうせいこう(1961年~)は、タレント、小説家、作詞家、音楽家として幅広く活動するクリエイター。『ボタニカル・ライフ 植物生活』で講談社エッセイ賞を受賞(1999年)したほか、野間文芸新人賞を受賞している(2013年)。
本書は、1999年にノーベル平和賞を受賞した「国境なき医師団(MSF)」について、2016年から取材を続ける著者が、その組織、現場(ハイチ、ギリシャ、フィリピン、ウガンダ、南スーダン)の活動の様子、日本人スタッフへのインタビューをまとめたものである。
読み終えて、組織の面で目を引いた主な点は以下である。
◆MSFは、赤十字から分派してできた組織である。1967~70年にナイジェリアで起きたビアフラ内戦に医療援助で派遣されていた赤十字の医師たちは、現場の悲惨な実情が国際社会にあまりに知られていないことに問題意識を持ったものの、当時の赤十字は、医療に専念し、被災者へのアクセスを保ち、中立の立場を保持するという考えから、戦地で見たことを公表することを禁じていた。これではいけないと思った医師たちが、赤十字から分派する形で1971年にフランスで立ち上げたのがMSFであり、そうした経緯から、MSFは最初からジャーナリストのグループを巻き込み、その活動内容も「緊急医療援助」とともに「証言活動」を柱としている。
◆MSFの三大原則は「独立・中立・公平」である。MSFは、①活動内容への干渉を受けないように、その資金は国家や国際機関から独立し(95%が民間からの寄付。うち9割が個人から)、②政治的に対立している勢力があっても、中立の立場で、双方の患者を受け入れ、③民族、宗教、政治的信条などに一切かかわらず、公平に医療を届ける、のである。
◆MSFのスタッフ47,000人のうち3,800人を占める海外派遣スタッフの53%は医療スタッフ、47%が非医療スタッフである。非医療スタッフは、ロジスティク(物資輸送、施設の確保、インフラの設定など)、アドミニストレーション(人事、経理など)、水・衛生管理、建築など、前線の医療がスムーズに行われるような活動を担当する。著者が最も伝えたかったのはこの点で、医療の専門スキルがなくても、MSFで働くチャンスはあるのである。
◆MSFでは、緊急事態発生から現地入りまで48時間を目安にしており、1995年の阪神淡路大震災のときに最初に現場に入った国際医療団体はMSFだった。
そして、何より印象に残ったのは、現場で献身的に働くスタッフの姿であり、言葉である。
彼らは、ギリシャの難民キャンプで「(緊急医療援助を柱とする)我々は根本にある問題の解決を望みながら、世界に訴え続けるしかないんだ。そしてその間、あらゆる傷に絆創膏を張る」と自分たちの使命を語り、フィリピンのスラムで「自分が何をしたいのか、ここにいるとそれがわかる」と自分たちの人生の意味を語るのだ。。。
世界の紛争地、貧困地域に関心を持ち、自分たちにできることを考えるきっかけを与えてくれる一冊と思う。
(2019年12月了)
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医師でなくてもなれるんですね。良く考えれば、そちらの数が多いのは当たり前ですね。 MSFに興味を持ったし、他の人にも紹介したいです。 朝起きて、嫌々仕事に行くのではなく、自然に身体に力が充実してきて始めてしまう、そういう仕事なんですね。苦しんでいる人のためと同時に、自分が幸せを感じための仕事。 自分にとっては、残りの人生をどう生きるか、ここまでの「覚悟」があるか、しっかり考えたい、と思います。
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いろいろな形でMSFに参加しよう。
紛争を解決する方法はないのだろうか。
この本はもっとみんなに知られるべきだ。
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国境なき医師団の組織やポリシーといった基礎知識、様々な現場における実際の活動、そして、その活動を支える様々なメンバーをいとうせいこうが実地で取材している。その名称が与えるイメージと異なり、非医療従事者が多いこと、その活動が個人の寄付によって多く支えられていることを伝え、読者もこの団体で活動したり寄付の形で貢献できるとアピールしている。
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前作と比べて一歩引いた客観的な視点からまとめられている。これは多くの非医療従業者がMSFの活動を支えていることを、幅広い人に知ってもらいたいという著者の意図に沿ったものであるという。個人的には主観に近付いた前作の方が入り込みやすく心に響いたが、伝えたいメッセージは一貫している。この本が読者の裾野を広げることを願いたい。
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この本の前作にあたります「国境なき医師団を見に行く」では、そこまでの覚悟無しで現地に赴き、自分の浅はかさに意気消沈しながらも、次第にその熱さに当てられていとうせいこうさん自身もどんどんヒートアップしてく姿がとても印象的でした。
本作は一歩進めて、国境なき医師団になる為にどうしたらよいのか。という視点
から書かれたルポタージュです。
さすがに危険な場所に進んで向かっていく人々のモチベーションの高い事高い事。のんべんだらり生きている僕からは眩しい存在です。
医師でなくとも、専門性を生かして色々な人々が働いているということにびっくりしました。よく考えればインフラ整備も事務仕事もあるわけなので、色々な人材が集まっているんですね。
落とすための面接ではなく、足りない部分をアドバイスしてさらに有能になって帰ってくるのを待つような採用方法はとても魅力的。何年か別の場所で実地を重ねて再度採用面接に臨む。そんな関係性って普通の会社ではあり得ませんから。
危険地域で活動することによって、常に命の危険にさらされるスタッフたち。それでも精力的に活動する彼らのモチベーションというのは何によって保たれているのでしょうか。
色々な立場の人々のインタビューが収録されているので、読み進めるごとにふがいない自分の心にダメージが与えられます。
前作でも、いとうせいこうさんが書いていましたが、自分が彼らであったかもしれないし、彼らが自分であったかもしれない。という意味の事を本書でも繰り返し言っておられました。
自分が選択肢を選べるのは、たまたまそういう時代のそういう場所に生まれたからなんですよね。自分で選ぶことも出来ず生きる事だけで精いっぱいの人々。そういう世界のバランスを少しでも取ろうとしているのが、彼らのような存在なのだと思います。
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あとがきを読んで、どういった経緯で新書で刊行することにしたかを知って胸が熱くなった。
自分が直接海外に行けなくともMSFに貢献できる手段があること、MSFがどんな活動をしているかを知るきっかけに素晴らしい一冊。
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いとうせいこう氏による「国境なき医師団(MSF)」の取材からまとめられたルポルタージュ。失礼ながら思っていたよりもずっと真面目に向き合って取材された本で関心したし、ほとんど偶然のような想起から寄付先として出会ったことやそこから取材に至るまでの経緯、そして何よりMSFについての現地ルポが本作で2作目となることを考えるとその姿勢は真摯なものと感じる。
本作では「誰でも国境なき医師団になりうること」を主要なメッセージとして、各国の活動地や日本で活動する多くのスタッフへの取材が進んでいく。「国境なき医師団」という団体名からも、医師を始めとした医療従事者が中心となった団体というイメージが強いが、実は全世界のスタッフの半数は非医療従事者である。
個人的に本書を読んで初めて知ったことは、意外とスタッフの年齢層が高いということ。全体の平均年齢については分からないが、入職するのに年齢制限はなく、60歳を超えてから挑戦をする方も少なくないということは驚いた。また、採用までの課程も、一度落として終わりではなく言語や技術の習得など必要な経験を伝えた上で関係を継続していくという姿勢は素晴らしいし、実際に2度目や3度目の面接で採用が決まった人が多くいるということもなるほど、と思った。ここら辺はMSF側の真摯な姿勢と、それを続けてきたことによるブランドの強さのなせる業なんだろうと感じる。
紛争地や被災地などの厳しい環境で緊急支援を主に行うMSFとしてはその医療活動を行うために、現地に医療の可能な場所を確保し、水や電気といったライフライン、食料や薬、そして厳しい環境で自分たちの安全を守るためのセキュリティ面への配慮といった医療活動を行うために必要なものをすべて自前で用意することが絶対で、それらを支えるのが非医療従事者の役割で
ある。
また、MSFはその財源のほとんどすべてを寄付で募っているため、各国の支部では活動を継続するための寄付活動を行うスタッフも大勢いる。
この資金調達担当者のことをファンドレイザーといいますが、この役割について日本の職員を取材してくれていたことも良かった。まだまだ日本ではNPO、NGOへの不信感が強く募金活動を行っても「中抜きが行われているのではないか」「現地の受益者にはお金は届かないのではないか」というような漠然としたイメージが独り歩きをしているので、本書を通して現地での活動を行うために必要な活動の幅広さであったり、お金を募る活動自体にも従事する専門スタッフが必要なこと、そしてそれらすべての活動に携わるスタッフが真摯に活動に向き合っていることが伝われば嬉しい。
さらにこの寄付活動の大切さは、私たち一人一人が寄付者として国境なき医師団の一員になれるというメッセージにもつながっている。本書を読んで寄付を行った方もきっといることでしょう。
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作家として自分の本を出すくせに、取材費もらってるんだ、ってちょっとがっかり。「空港で食べたいものあったら自分で払って食べる」って別におかかえライターじゃないんだから当たり前じゃん。報道取材に来る新聞記者や通信社記者はタクシー代を取材相手に請求するとか絶対ないから。
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この本を読むと、文系の私も、魅力たっぷりな「国境なき医師団」に入りたくなった。求められる人材は、即戦力になり、チームで活躍できる人。日本人としての強みも活かせるとわかった。
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興味本位、軽い気持ちで手に取った。
本書の狙い通りだと思うが、漠然と抱いていた四角いイメージ、聖人君子の集まりによる、我々のような凡庸な人間とは一生関わりのない遠い世界の出来事、といった偏見は即座に吹き飛んだ。
気高い人達・理念・活動方針であることは間違いないが、人を救いたいと思う動機の根本は自分にも理解できるし、単純に共感し助力になりたいと思わせ、その上でどうやったら協力できるかという方法までご丁寧に示してもらった。
以下は自分の日記。
個人的にはやらない善よりやる偽善だと思っているので、読み終えてすぐ5000円寄付した。ここに堂々と投稿するにしては少額で恥ずかしいような気もするが気にしない。
MSFの活動にきっかり5000円分だけ役に立つことができた。とりあえず今はそれで充分と自分で勝手に結論づけた。
だからと言ってこれで満足なのかと言われればそうではない。
これからもとりあえず5000円ずつくらいの寄付して、悩みながら折り合いつけながら生きていくのかな。
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国境なき医師団になるには英語かフランス語ペラペラ必須ということがわかり、どちらもものにならなかった私は無理だなというとこがわかってしまった。寄付がんばります。日本の医師団の方へのインタビューが面白かった。
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いとうせいこうにはもう一冊『「国境なき医師団」を見に行く』というのがあり、どちらにしようか迷ったが、とりあえず新書を読むことにした。
あとがきでわかったが、『見に行く』は、「より自分の感情に近い書き方」で書いたもので、こちらは「いわばMSFの一員になるためのハウツー本企画として」書いたとのこと。
だから、こちらはMSFがどんな団体で、どんなメンバーで構成されていて、どう運営されているかがよくわかる。
白川優子さんの本でも度々出てきた「ロジステシャン」や「アドミニストレーター」などの仕事の内容も、インタビューとともに載っている。
「国境なき医師団(MSF)」の資金のほとんどを個人の寄付で、しかも大口の寄付ではなく、少額の多数の寄付で成り立っていること(だからこそ、政府や国際組織、企業などに依存せず独立を保てる)、リタイアしたあと60代70代から始める人もいることなどは初めて知った大切な情報だった。特に医療担当者は年配の人の方が、専門が細分化されない時代を経験しているし、物資が足りないときどうするかもわかって役に立てると読んでなるほどなと思った。もちろん英語かフランス語ができて、体力があり、強い意志が必要なのが前提だが。
MSFの活動に参加してみたい、寄付する前に知っておきたい人には最適な本。
しかし、現場に関わった医師、看護師の本のような衝撃はあまりないので、リアルな活動内容を知りたい人にはそちらの方がいいとは思った。