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生きづらさを抱える人が増え続ける現代社会に巣食う病理。それは「愛着障害」という新たな「死に至る病」だ。「愛着障害」とは一体どのような障害で、何が原因であるのか、またその病を治癒し、回復可能なのかを著す。とても興味深い1冊でした。この「愛着障害」とは動物であるヒトの生態と合理的な現代社会との齟齬によって引き起こされるのでは?と思いました。要するに「愛着障害」とは人が人の世話をする仕組みに何かしらのエラーが生じた状態であり、これは人との関わりの中でしか克服できないものだと云う。所謂「コミュ障」と言って対人が苦手な人が増えてるのも、「愛着障害」から派生されたものに違いない。此処に書かれてること殆どが自分に当てはまり、とても勉強になりました。
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『愛着障害』の著者が思いを込めて今、我々が直面する
「生存を支える仕組みそのものの危機」を訴える。
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岡田尊司さんの他の愛着障害についての本を読み、ほんの少しだがこころが休まった。本書は書店でたまたま目についたのだが、2019年に出た愛着障害の本として興味があったので読んでみることにした。どのような背景があり、どのような扱いを受けてきたかにページが割かれており、愛着障害から脱したいというかたに向けてではなく、副題にあるようにこの障害が持つ「脅威」が詳しく書かれている。よって苦しんでいる当事者として読むのであれば別の本を進めるが、研究によってわかったおとなのADHDの正体など、一冊通してとても興味深かった。
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うーん。全部を鵜呑みにするのは怖い。けど、こういう研究がなされていることを知っておくのは、生きやすさの追究につながる。
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この著者の言っていることを鵜呑みにするのであれば、昔はこういう病気は稀だったが、今や人類、特に先進国のほとんどがこの問題に悩まされていることになります。
親との関係だけに焦点を当てるなら、個人的に昔のほうが親も死にやすくて、子供も多く放任主義になりがちで、長男次男とかでも親の態度はかなり違いそう。
愛着障害の要因に、統計的に仕方ないのかもしれないですが、母親ばかりがクローズアップされる点も少し疑問でした。
全体的に、今の社会の仕組みでどうしていくかというよりも、懐古主義的な印象で、
人生で親もしくは子との関係で1ミリも悩み苦しまない人なんてそれこそレアケースなように感じました。
愛着とは結局世話を焼く仕組みだから、
愛着の安定にペットを買うといいというのは
結構当てはまりそうな気がして勉強になりました。
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愛着障害を考えるにあたっては、個々の親、家庭のみならず、社会全体のあり方についても真剣に議論していかないとまずいと思う。今時、女性は子供の幼少期だけでも子育てに専念しましょう、などと言うことは口が裂けてもいえない風潮があるが、そういう風潮自体がおかしい。戦時中に戦争止めろと言えない風潮と同じである。子供から見たら、どう考えても信頼できる一人の養育者(母親)がいてくれることは、最善であるのだから。
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「死に至る病 あなたを蝕む愛着障害の脅威」
岡田尊司(著)
2019 9/30 初版 (株)光文社
2019 10/20 第ニ刷
2020 1/11 読了
愛着障害-オキシトシン系の異常-によって引き起こされる心身の不調を親子の関係から解き明かした本書。
著者の現代の医療に対する警鐘をもって
現代社会のあり方に異議を唱えています。
ぼくも仕事柄、いろんな方々のお悩みにお応えする上で
親子の関係の重要性は理解してはいますが
ここまで広く複雑な「病」に対して
愛着障害の可能性と重要性の高さは理解出来ていませんでした。
大変興味深くさっそく
著者岡田氏の小説家ペンネーム「小笠原慧」の作品「あなたの人生、逆転させます」をポチりました。
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新しい知見もデータとともに盛り込まれており、習ったことを書き換えていく必要性を感じる。もちろん、賛否両論あるだろうし、まだまだ教科書的な内容にまで反映されるのかは不明。でも、この視点を持って関わることは大事だと思う。
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同著者『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』同様、愛着障害の概要について具体例を挙げながら解説しており、さらに最新の知見を踏まえている。特に、近年パーソナリティ障害、摂食障害、子どもの気分障害、大人のADHDなどが急増しているが、それらの根底には愛着の問題があり、酷い場合「死に至る」ことが強調されている。
本作では、愛着障害がオキシトシンに及ぼす影響についてかなりのページが割かれている。これは、脳の視床下部から放出されるホルモンであり、「安らぎホルモン」とも呼ばれるように、痛みや傷つくことによるストレスから身を守る働きがある。愛着に問題があると、オキシトシンの機能が低下し、苦痛ばかりが感じられ、生きづらさを生む。そればかりか、免疫系にも悪影響を及ぼすため、自己免疫疾患やアレルギーなどの原因の一つにもなるという。
もちろん、何でも愛着の問題として片付けてしまうことは早計である。ただ、表面に見えている問題にばかり囚われず、その背後にある問題にも目を向けることは対人援助職にとってラポール形成から介入まで一貫して基本となる姿勢だと思う。
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うつや発達障害など、近年増えてきた事例の原因ではないかとされる「愛着障害」の仕組みや症状などを例を交えて説明している。
「親の愛がないと発達障害になる」のような非科学的な説明ではなく、オキシトシンというホルモンの働きによるものだと、わかりやすく伝えている。
詳しい治療法は載っていないため、治療法については別の本が必要だろう。
人を幸福にするためには3つの生物学的な作用があり、一つは満腹になったり、性的な興奮時に分泌されるエンドルフィン、二つ目は困難な目的を達成したときに出るドーパミン、三つ目は愛する者(人間やペットでもいいらしい)と触れ合う時にでるオキシトシン。愛着障害になるとオキシトシンに対する感受性が悪くなるために、他の2つで快感を得る他なくなり、例えば過食や性欲を満たしエンドルフィンで満たすか、もしくはひたすら努力してドーパミンで満たすかしかなくなるそうだ。
この仕組みは非常にわかりやすく、納得の行くものだった。
しかし、元にするデータが昔のもので、いわゆる「男は仕事、女は育児」が当然である時代のデータがメインのためか、愛着障害の原因の親が母親しかいないかのように書かれており、例えば母親と別れた父親が子供を一人で育てた場合、十分ケアすれば愛着障害は起こらないのか、それとも母親というものがいない限りは絶対に愛着障害は起きてしまうのか、そこには特に触れられていなかった。本書の説明からすると、男親だろうと女親だろうと関係なく、適切に養育できれば愛着障害は起きないような気はするが。
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親のことを考えると穏やかな気持ちになる、無条件に安心する、っていう人が世の中にはいるんだなぁ。これはちょっと私にはわからない感情だな。
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自身をADHDやHSP、愛着障害等と決めつけて過去の失敗を肯定し安心するのではなく、今の自分を理解し受け入れてから未来の自分を変えるために何をすべきか考え、実践することが大切だと思いました。
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■「数学不安」という専門用語がある。数学ができるかどうかには数量処理や作動記憶といった認知的能力のほかに問題を解く際の不安が関わっている。この不安が「数学不安」。
・数学不安が強いと解けないのではという不安や恐怖に圧倒され、肝心の問題に集中することができず実力以下の成績しか取れない
・数学不安は単に数学が得意か苦手かということだけでなく就職や職業における成功を左右する
・数学不安が強い人は解けないのではないかという悪い結果ばかりを考えてしまい自分の足を引っ張ってしまう
・最近の研究で、この数学不安が愛着安定性と関係していることが明らかとなった
■人を幸福にする生物学的な三つの仕組み
①おなか一杯食べたり異性的な興奮の絶頂で生じるもの。
・エンドルフィンなどの内因性麻薬(脳内麻薬)が放出されることによって生じる快感
・生理的な充足と深く関係し我々が生きることに最低限の喜びを与えてくれる
②報酬系と呼ばれる仕組みでドーパミンという神経伝達物質を介して働いている。
・ドーパミンの放出が起きるのは通常困難な目的を達成したとき
・この報酬系はしばしば悪用される。面倒な努力抜きでドーパミンの放出だけ引き起こし短絡的な満足を与えてしまえば強烈な快感を手軽に得られる。その代表が麻薬、アルコールのような嗜癖性のある物質もギャンブルのような病みつきになる行為もドーパミンの短絡的な放出を引き起こすことで依存を生じさせる
③愛着の仕組み
・オキシトシンの働きに負っている
・愛する者の顔を見たり愛するものとふれあうとき安らぎに満ちた喜びが沸き起こる
■共感性の二つの側面
①気持ちを共有し同調する「情緒的共感性」
②相手の気持ちや意図を正確に理解する「認知的共感性」
・愛着障害の克服においてより重要と考えられるのが認知的共感(メンタライゼーション〔相手の視点で相手の気持ちや意図理解する能力〕と呼ばれる)
■世話をすることによって愛着は育まれ、それは喜びになり、生きる意味になる。それが唯一この世界を意味の喪失から防ぐ方法に思える。
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東京大学から、京都大学 医学部のバケモン。
キルケゴールは、死に至る病を“絶望”としたが、著者は“愛着障害”とした。
生物学的な幸福は、エンドルフィン系、ドーパミン系、オキシトシン系から成っており、それらの相互補完の話が面白い。
作家等の有名人の実例(正確かどうかは定かではないが)も面白かった。
子供がいる人、持つ予定の人には、刺激的な内容だと思った。でも、病根の疑いが分かるだけで、具体的な接し方、養育方法は教えてくれないのは、世間一般のそれと同じ。それは個別具体で、答えなんてないからなんでしょう。
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個人的に、『誰が国語力を殺すのか』(石井光太著)で書かれていた国語力の衰えと共に、現代社会の根底にある問題だと思っているのが『愛着障害』です。
本書より…
○死に至る病とは絶望のことである、と、かつて哲学者キルケゴールは書いた。絶望とは、神を信じられないことを意味した。だが今日、死に至る病の正体は、「親の愛さえも信じられない」こと、つまり「愛着障害」にほかならない。
数年前から自分の生きづらさは、「愛着障害」にあるのではないかと、岡田尊司さんの数ある著書を読んで思っていました。ただ、先日読んだ、『愛着障害は何歳からでも必ず修復できる』(米澤好史著)を読んで、岡田尊司さんとは愛着障害の捉え方がかなり違うように感じ、愛着障害ではないのかな?と混乱していました。
今回改めて岡田尊司さんのこの本を読んで、やはり岡田さんが考えている愛着障害というものだろうとは思いましたが、自分の問題としてだけではなく、社会全体の深刻な問題として、捉え直しました。
愛着の基盤となるのが、幼い頃の(主に)母親との関わりで、その関係性が安全地帯になることで、十分な愛着が自然と養われ、その人の土台となっていくそうです。
作者はまた、大人のADHDは子供のADHDとは違い、発達障害ではなく、愛着障害による物だと訴えています。子供のADHDの治療について気をつけるべきことも書かれているので、興味のある方は是非読んで欲しいです。
愛着障害は次の世代へとどんどん受け継がれ、更に大きな生きづらさになって発現します。愛着障害は回避型、不安型など、色々な型があり、それぞれ性質が違うので、この本を読んで学びとなることはその人により異なると思われます。
ここでは、私自身が子育てをする上で、自分にとって大切と思った所を抜粋します。
○親としては一生懸命育ててきたつもりなのに、しばしば共通する課題として浮かび上がるのは、共感性の問題である。
その最大の原因は、子供が何を感じ、何を求め、何を嫌がっているのか、という本人の視点ではなく、将来のために、あるいは本人のために、あるいは、世間体のために、これをすることが必要であり、正しいことであるという親が抱いた基準や期待に沿って、本人を動かそうとしているということである。
そこでは、本人の気持ちよりも、親側の思いが優先されている。そして、親は子供よりも、賢明な方法や正しいことを知っているのだから、それを子供に求めるのは当然だと思っている。ここで欠如しているのは、共感性なのである。子供のために有利だと思って、いつの間にか自分の判断をしつけてしまう親に共通するのは、共感性がとても弱いということである。
障害と聞くと、そんなものは自分や子供には関係ないと思われる方も多数いらっしゃると思います。しかし、この本を読むと、決して特別なことではなく、時代と共に愛着障害を起こしやすい社会になり、おこるべきしておきた弊害である事に気づくと思います。そして、社会の流れを修正していく助けになるのではと思います。これ��ら親になる世代の方にも是非読んで欲しいと思いました。