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大切な人を失ったり、目の前のことがうまくいかなかったり、それを周りにいえなかったり、自分や他人に嫌気がさしたり。そんな日々の生活のなかで主人公の少年が感じる気持ちの微妙な変化がありありと描かれていた。
少年はつらい境遇でもあるけど、優しさ・希望が感じられる小説で、好きな作品でした。
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親の障害、家のせわをしてくれていた大好きなおじいちゃんの死、その中で家の心配をしながら夢を追いかけている姿に感動。思春期には周りに助けを求めづらいということも理解できて、それでもこの子に得意なこと、好きなことがあって幸せだと思った。そして苦しいことがあっても家族が素敵でうらやましかった。
生活の心配をしないで済んだ自分の子供時代に両親に感謝した。
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中学生の少年AJは走ることが大好きだった。AJの両親はお金や生活に関する細々としたことを管理することが苦手で、おじいちゃんがずっと手助けしてくれていた。しかし、突然おじいちゃんが亡くなり、AJの肩に生活のすべてがのしかかってくる。AJはできる限りのことをしようとするが、家にあるお金はどんどん減ってしまう。ランニングシューズが買えず、走ることさえあきらめなければならなくなって…。
追いつめられるAJと共にハラハラしてしまう。周りの人たちに助けられながらAJが成長していく姿がすばらしい。
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ロンドンのオリンピックスタジアムの近くに暮らす11歳の少年AJは、近所に住む祖父とともに走ることが大好きだったが、共に暮らす両親はふたりとも学習障害を持っていた。家族3人は力を合わせて生活していたが、大きな助けとなっていた祖父が、ある日AJとジョギングした後、突然帰らぬ人となってしまう。祖父を失った寂しさを走ることで乗り越えようとするAJだったが、あちこちからくる督促状や度々コイン不足で止まるコイン投入式メーターの電気に、更には、自分のランニングシューズのザイズが小さくなって走れないことにも頭を悩ませなくてはならなくなった。友人のクリスタルが自分の5ポンドを持ってイージー・エクスチェンジで靴を探してくれたものの見つからなかった折、落ち込んだAJの目に、チョコレート専門店のランニングシューズをかたどったチョコレートに書かれたメッセージが飛び込んできた。そこには「走り続けろ、AJ」と書かれていた。
家族を支えるためにひとりで奮闘する少年が、周りの人たちの個性を認め、温かさに気づいていく様子を、彼自身の言葉でエッセイ風に綴った物語。
*******ここからはネタバレ*******
世界一やさしいお母さんとそのお母さんを世界一大切にしているお父さんが、いい味を出しています。お母さんは、お店でお客さんのリクエストの「ピーナッツバターとオレンジのビスケット」が見つけられなくて笑われて落ち込むし、お父さんは、AJのために前払金を払ったチョコレートのランニングシューズを、おじいちゃんがいなくなって引き取りにいけなくなってしまったりとか。
両親、特に母親に対するAJの気持ちがとてもいいです。レースに彼女が付いて行くと言ったときに「来ないで」と言ってしまったことについて「むかむかするのは、自分がしたことに対してだろう。母さんを来させたくなかった。恥をかきたくなかったから。でも、すでにぼくは十分はずかしい人間になっている」。世界一やさしい親に、愛を十分与えられて育ったのなら、その親に欠けているところがあっても、こんなにすてきな子に育つんだー、と嬉しい驚きを持ちました。
余裕のない家庭ではありながらも、殺伐としたものがないのは楽観的な両親と、それを温かく支えてきた祖父と、近所に住んでいる伯母家族との協力体制のおかげでしょう。
「個」を重視するあまりに不安感を増幅する現代への隠れた問題提起にも思えます。
ちょっと意地悪に見えた伯父のタイラーさえも、最後にはAJに協力してくれて、悪い人の出てこないこの物語は、とても優しく終わります。
邦題の「ぼくの帰る場所」は、ラストでAJが、自分の帰る場所を受け入れたことを指しているんだと思いましたが、原題の「Running on Empty」のEmptyって何なのか?これは私にはわかりませんでした。原書で読まないとわからないのかも???
主人公は11歳。ちょっと辛い家庭事情は出てきますが、高学年からイケます。
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「ぼくの帰る場所」-原題は“Running On Empty”。
日本語のタイトルを英訳しても、原題のRunning On Emptyには結びつかない。
でも私のような世代は、この原題から次の映画と曲とが思いつく。
①Running On Empty(アメリカ映画。日本語タイトル「旅立ちの時」)
野球が好きでピアノが弾ける高校生マイケル。実はマイケルは偽名。彼の両親は若い時に反戦運動として爆弾を仕掛けたことがあり、今も一家はFBIに追われている。彼も本名のダニーを名乗らず引越しのたびに名前を変える生活を送っている。その彼が自分の音楽の才能を見いだした先生と、その娘でもある同級生との出会いにより、逃亡生活とは別の生き方に思いが巡る。年齢的にも父と母と弟を率先して守る立場になったが、大学で音楽を学ぶ道や、恋人とともに過ごす道も頭をよぎるようになり…
主演はリヴァー・フェニックス。
https://booklog.jp/item/1/B000068RKJ
②Running On Empty(ジャクソン・ブラウンの曲。1977年シングルリリース。日本語タイトル「孤独なランナー」 )
私はリアルタイムでは知らず、ずっとあとになってから知った曲。ミュージシャンとして“走り続ける”自分について、だけど今はどこを走っているのか、自分が走ろうとしていたところを走っているか、それらがわからなくなる時がある、と歌っている。
https://booklog.jp/item/1/B000AA7AY4
この本の著者はイギリス人で物語もロンドンが舞台。でも著者が自書と同タイトルになる①②を念頭に置いていたかどうかはわからない。
冒頭は2012年のロンドンオリンピックでウサイン・ボルトが男子100m決勝を9秒63の世界記録で優勝した瞬間から始まる。中学1年生の主人公は観客席から実際にそのシーンを見た。
主人公も走るのが大好き。ボルトの走りを見てからは特に、走ることが自分の中心軸になっていく。だがいろいろな事情をかかえ、その事情が簡単に他人にオープンにできないから、彼はさらに走ることに没頭しようとする。しかしそのことがかえって、彼から走ることすらも奪おうとするかのように、悪い方悪い方へと事態が流れようとする。
このように、何かをし続けなければならないけれどその先が何も見えず迷路に入り込んでしまったような状態を、走ることに掛けて“Running On Empty”と言うのだと思う。①と②とを並べてみると、先が見通せず答えのないなかで走り続けるしかないジレンマを共通して見いだす。
主人公の彼は、走れなくなるのか?走ることをやめてしまうのか?
ここからは読んでのお楽しみ。だけど最後まで読めば、日本語タイトルの意味がちゃんとわかるようになっていることだけ、言っておく。
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テーマに期待して読み始めましたが、期待ほどでは。
主人公の日記のように短い章が続くせいだと思いますが、長い文章が苦手な子には読みやすいかも。
心に残ったのは両親のルール。
母さんのルール
人にやさしくする
ベストを尽くす
スイッチを切ったか、ひとつひとつ確認する
空を見上げるのを忘れない
父さんのルール
アリス(お母さん)を大切にする
それからおじいちゃんの言葉
「ふつうとちがうのは問題だと考える人もいるが、
ほんとうはとてもすばらしいことなんだ。
おとなでも子どもでも、自分とちがっている人間ははねつけることが多い。
だがおじいちゃんにしてみれば、ちがっていたってなんの問題もない」
なお、表紙に書かれた原題を見たときは泣きそうに。
私にとって「Running on Empty」といえば、
故リヴァー・フェニックスの映画「旅立ちの時」なので。
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両親が学習障害である主人公が、唯一の頼みの綱だった祖父を亡くし、その後の生活や人間関係を描いた物語だった。
海外の文学作家の作品を訳したものだったため、
日本では理解しづらい文化や言葉、生活様式、
また日本語に訳すと明らかに おかしい文章(例えば「服のシミを100年かけて落とした。」など)が多々あったり、進展がとても遅かったりして、
すごく読みづらかった。