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<目次>
はじめに 怪獣は100%のイマジネーションではない
第1章 恐竜と怪獣の狭間
第2章 日本怪獣学各論
第3章 進化形態学的怪獣学概論~脊椎動物型怪獣の可能性
第4章 進化形態学的怪獣論~不定形モンスター類の生物学的考察
第5章 ウルトラ怪獣形態学~比較形態学と進化的考察
<内容>
形態進化生物学者による、特撮怪獣映画(ドラマ)およびSFにおける生物の学問的考証の本。基本的にSFと特撮物への造詣がないと理解できないところが多い。私らの年齢(著者も同じくらいの年齢)だと結構面白く読めた。かなり真面目に論じているが、進化論、DNAや脳科学などが進化している現在、怪獣の類をどう説明するかは大変。かつては放射能による突然変異、で結構説明してしまっていたが、昨今はそうはいかない。この本を読んで、『ウルトラマン研究序説』(中経出版:1991年)を思い出した。怪獣に壊された建物の損害賠償とか、科学特捜隊の組織論とか、その組織の科学兵器の実在とかが論じられた。怪獣の生物学的な部分は当時は難しかったのかな?それがある程度満たされるこの本は、著者のSF,特撮物愛が感じられて(もしかすると、その愛から形態進化生物学に進んだか?)、面白かった。
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面白かったです。好きなものについて熱く語っているのを聞いたり読んだりするのは楽しいので、この本も楽しかったです。
怪獣とは…を真剣に考察されています。形態、出自、スケール問題…理科でも生物は通ってきてないし、文系脳なのでついていけないところもありました。
それでも、怪獣への愛は伝わってきましたし、映画もとてもお好きなんだろうなと思いました。ここに出てくる映画、怪獣映画もそうでないものも、片っ端から観たくなります。
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もっと映画を見なければいけない。これが最初に思った感想だ。面白みが半減してしまう。怪獣を知った上で読まねばならないという気持ちになった。
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むか~し読んだ『空想化学読本』と
同じような内容かと思いきや、
似て非なるものでした。
『空想化学読本』は、
怪獣映画やマンガなどのSF作品で描かれているようなことが
実際に起こったらどうなるのか?ということを
物理法則にあてはめ、
シミュレーションした結果を教えてくれるものでした。
しかし、本書の著者の肩書は形態進化生物学者。
なんだかよくわからない難しそうな学問を究めた専門家です。
なので主に生物学とその周辺の学問をもって、
怪獣とは何か?を検証する内容でした。
ゲノムだとか、遺伝子発現、
胚形態パターンなどといわれても
難しくてよく理解できないのですが、
著者の怪獣好きがビシバシ伝わってくる本でした。
べそかきアルルカンの詩的日常
http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
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honzのイベントレポートから。
「怪獣を動物として見たときに、その形態が進化の結果としてできた形であるとするなら、どこまで科学的に説明できるかを考えました。怪獣は動物の延長で、進化した形かもしれないし、まだ人間が知らない一歩先の変異体かもしれない、と。」という「思考実験」とのこと。
怪獣ドゴラの辺りから脱線して、完全に趣味の本。
著者は高名な学者ですが、趣味でこういう本を書けることは素晴らしいな、と。
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ドゴラ、マタンゴ、セミ人間、8分の1計画等、マニアックなところまで考察してくれて嬉しい。読んでいて知的好奇心を非常に刺激された。
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専門的な内容をできるだけかみ砕いて、わかりやすくしようとしてるんだろうなぁ…とは思うんだけど、やっぱりちょいちょい飛ばしちゃう。
だけど、数々の怪獣を嬉々として語る様が楽し気で、読んでいて気持ちのいい一冊。
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怪獣を生物学的視点から考察する―というと、20年以上前にブームにもなった『空想科学読本』みたいなものを想起しそうだが、こちらはガチの形態進化生物学者(そーいう学問のカテゴリーもあるのか)が怪獣映画への偏愛っぷりも込めて大真面目に、かつやや恣意的に論じたもの。恐竜と怪獣の違いは何か、ゴジラに通常兵器が無効な理由、ゴジラの生息場所と"地球空洞説"、キングギドラの形態学といった話から、マタンゴや「寄生獣」のミギー、宇宙怪獣ドゴラ(これ、ドイル「大空の恐怖」じゃん!と思ったら言及されてた)といったものまで俎上に上がる。
怪獣映画で時折論じられる「スケール問題(あれだけ巨大な生物が実在したとしても自重に耐えられず崩壊するという論)」については、「進化の厳密なルール下にある生物が環境や生体としてのキャパを無視して巨大化方向へ進化することはあり得ない」と断じ、怪獣映画にスケール問題を持ち出すこと自体の矛盾を指摘している点は面白い……が、山本弘「MM9」シリーズで(作品世界で怪獣が出現する根拠として)言及された"多重人間原理"についても触れてみたらより面白かった、かも。
終章はウルトラ怪獣から4つほど採り上げているが、この辺りはちょっと駆け足気味の蛇足気味だったような気がしないでもない。
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特撮好き向けとも違くて、純粋に「怪獣」をいきものとして愛せる人であれば間違いなく楽しめるであろう一冊。もっと踏み込んで映画好きにも勧められる本かもしれない。
ただ、あくまで「怪獣’生物学’入門」であって「怪獣入門」ではない点は留意した方が良いと思う。
まえがきと第1章がカッチリしていて正直尻込みしてしまうが、そこさえ乗り越えたら文体も砕けてくるので生物学素人にも馴染みやすい。
「SFとは、人間的スケールやサイズを逸脱したレベルの世界を想像にまかせて記述するもの」」(p140)という一節は胸に響く。
1刷
2021.7.2
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イメージとしては、「空想科学読本」のように、怪獣映画(あるいはそれらの映画に登場する怪獣そのもの)を、生物学的な見地から分析する、という本です。
とはいえ、柳田理科雄氏のある意味で振り切れた科学分析に比べると本書はもう少し「地に足のついた」分析や解釈がなされているように感じます(その分、少し専門的な知識について書かれていて少し読みづらい部分もありますが)。
怪獣の形態がどのように決まっているのか、その「見た目」は生物学的にあるいは進化学的にどうなのか、という検証は読んでいて面白かったですし、各種の怪獣に対する筆者の愛着や思い出についての記述も、エッセイのような語り口で読みやすかったと思います。
特に、p.71からの節「女性的な怪獣にゴジラは勝てない」にある分析は印象的でした。なぜ、弱そうに見える「モスラ」という怪獣(というかデカい蛾)にゴジラが苦闘し、時には負けるのかというのが文化的に分析されているのは面白かったです。