電子書籍
期待しすぎは禁
2022/05/01 16:52
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投稿者:たまばやし - この投稿者のレビュー一覧を見る
本当に、『蜜蜂と遠雷』のおまけ。
過度な期待は裏切られると思います。今、文庫版が出てますが、本当に蜜蜂と遠雷が好きで好きでたまらない人以外はお金を出してまで読むものじゃないと思います。
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あー、久しぶりの恩田陸の新刊!
最初の祝祭と掃苔は、映画の宣伝の為に書かれたのかと穿った見方をしてしまうほど、いまいちだったけど、残りの短編は全てとても良かった!
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色々もやもやしたものを抱えていたけれど、この本を読んでいる間はそのもやもやも忘れさせてくれるほどさわやかな小説でした。
読み終わったあとすっきりした気持ちになれました。
マサルとナサニエルのお話が好きです。
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直木賞・本屋大賞をダブル受賞した『蜜蜂と遠雷』のスピンオフ短編集。
『蜜蜂と遠雷』はひりひりするような緊張感とコンクールに賭ける熱量がページから立ち上るような大作だったが、本書はもっと落ち着いていて、気軽に読める短編集だった。但し、『蜜蜂と遠雷』を読んでいることを前提にしている構成なので、読む順番が逆だと何が何だか解らないかも……。
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『蜜蜂と遠雷』のスピンオフ短編小説6編。
本編を読んでからかなり時間が経っているので、これ誰だったかなと思い出しながら読んだ。といってもよく思い出せない人達もいたので、本編をさらって置いた方が良かったかもしれない。
どの話も面白く読んだ。が、1ページの余白多過ぎるのが気になった。1冊のハードカバー本にするには仕方がないのかもしれないが、本編が濃厚なだけに落差が激しかった。
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“うまく書きとめられないんです。音ははっきり鳴ってるんですけど、音符にするとどこか違う。”
心が動いて、内で確かに何かをキャッチしてる時、それを言葉にしようとすると、感じたものとは違うものになっていたり、すごく時間がかかったり。
もどかしいなと思うけど、感じたことを言葉にしようとしてみることは、だいぶ自分に寄り添おうとしているんだな、と気づいた。
この道を楽しむ、ということだけは決めている。あわてる時も焦る時もあっていいよ。ゆっくり進むことでみつけられるものもあるんだと思う。一歩ずついこうね。
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続編ということで購入。
全6編からなる短編集で、コンクール後のエピソードや登場人物の過去編などがありました。
第1編 祝祭と掃苔
コンクール後に亜夜とマサルと塵が恩師・綿貫先生の墓参りをするということが描かれています。
第2編 獅子と芍薬
コンクールの審査員だったナサニエルと三枝子の最初の出会いが描かれています。
第3編 袈裟と鞦韆
コンクールの課題曲であった「春と修羅」の制作秘話を作曲家の視点で描かれています。
第4編 竪琴と葦笛
マサルと師匠であるナサニエルがどのようにして出会い、どのように師弟関係になったのか描かれています。
第5編 鈴蘭と階段
コンクール後の物語で、ヴィオラ奏者の奏が楽器選びに奔走している様子が描かれています。
第6編 ピアノの巨匠ホフマンとある少年との出会いが描かれています。
「蜜蜂と遠雷」を見ていない人には、本編を見てから、この本を読むことを強くお勧めします。なぜなら、ある程度の情報量がないと、楽しめないのではないかと思いました。特に登場人物の説明があまりないため、未読のの人には、奥行きだけ楽しめても核となる部分がわからないため、充分に味わえないなと思いました。
また、少々本編のネタバレも描かれていました。(コンクールの結果が書かれています)この本を読んでから、本編を読むと、面白さが半減するのではと思います。
結構前に読んだ人・記憶があいまいな人には、Wikipediaと並行して、読んだほうが良いかと思いました。あれ?この人誰だっけ?と思う人が個人的にいたので、ある程度、登場人物の経歴・どんな人物だったかを把握していると、より楽しめるかと思いました。
10ページぐらいのものから40ページくらいまで色々楽しめた短編集でした。個人的には、コンクールの出場者であった高島明石(映画版では松坂桃李さん)が登場しなかったのは、残念かなあと思いました。
本編では、恩田さん流の音の表現が素晴らしく、この本でも表現されていました。といっても思ったよりも登場場面が少なかったので、もう少しほしかったなと思いました。
また、グイグイ物語の世界観に引き込まれました。恩田陸マジックなのか、一つ一つの行動が滑らかな線のように表現されていて、短編なのにいつのまにかゾーンに入ってしまいました。一時間弱、電車の中で読んでいたのですが、いつのまにか周りの人の声が分からなくなるくらい集中していた自分がいました。それくらい想像しやすく、目の前でちゃんと滑らかに動いているなと思わせてくれました。
サクサク読めましたし、もうちょっとだけ「蜜蜂と遠雷」の世界観に浸りたい方には、おススメかと思いました。ただ、ちょっと物足りないなあという印象でした。
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「蜜蜂と遠雷」のスピンオフ短編集。それゆえに人物と音楽に関わるエッセンスが抽出されている気がする。好きな音楽に対する時の自分が重なって身もだえしたくなるほど(電車内だったので我慢)。ジャンル問わず音楽好きな方におすすめしたい。
ただし、本編を先に読んでから…
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タイトルの付け方が秀逸。
蜜蜂と遠雷でも思ったけど、タイトルからはストーリーが全然想像できないのに、読み終わった後にもう一度確認するとこれ以外にないと思わせるタイトル。
どの話も原作に彩りを与えてくれる作品で、春と修羅の作曲の元になった「袈裟と鞦韆」とビオラを選ぶ奏を描いた「鈴蘭と階段」が特に好き。
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「蜜蜂と遠雷」のスピンオフ小説。
ピアノコンクールの審査委員ナサニエルと
三枝子の若き日の衝撃的な出会いと
その後を描いた「獅子と芍薬」など、
全6編を収録する。
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『蜜蜂と遠雷』のスピンオフ。本編もそれ程じゃなかったから、スピンオフもそれなり。なんとなくでも登場人物を覚えてて助かった。一通りのスタメンは登場していた感じ。…映画版『蜜蜂と遠雷』は面白いんですか?
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祝祭と予感 単行本
大好きな仲間達の知らなかった秘密。
初めて出会った永遠のような瞬間「伝説と予感」全6編
タイムライン
https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
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note 恵まれない。それでも、僕らは生きていく。『祝祭と予感(蜜蜂と遠雷スピンオフ)』を読んで
https://note.mu/we_outputers/n/ne054b1345cf1
ナサニエルは少女の顔を見た。
生きていく。この世界で。
何かがすとんと腑に落ちる感触があった。
「うん」
ナサニエルは、無意識のうちに何度も頷いていた。
「うん、そうだね」
少女はニタッと笑い、人並みの方を指差した。
「ねえ、あっちにバイエルンとリヨンのオーケストラの芸術監督が来ているのよ。ミュンヘンでコンサートがあったから、たまたま寄ったんだって。ダメ元だけど、定期演奏会のソリストに使ってくれないかって売り込みに行かない?ミュンヘン最高位の二人のセット、日替わりでどうかって」
…あれが、二人の始まりだった。
オーケストラへの売り込みは成功しなかったけれど、互いに連絡先を交換して別れた。
そして、あの時、ナサニエルは彼女に恋をした。振袖を「戦闘服」と言い切った彼女に。「ここで生きていく」と宣言した彼女に。p66-69
・しっかりとした自分があって、ずんずんと先に進んでいくヒロインに後押しされる気弱なヒーロー。
ナサニエルは手を振り、カウンターの下から小さな花束を取り出した。
「はい」
三枝子は面食らった顔になる。
「ええと、今日は何日?どっちの誕生日でもないわよね?」
受け取りつつ、三枝子は隣に腰を下ろした。
「僕らが初めて出会った日の記念さ」
「初めて出会った日?」
三枝子は記憶を探る目つきになった。
「いつのことを指しているの?」
「ミュンヘンの入賞者コンサートの日」
「あら ー そうだったかしら?今日だった?それを言うなら、最初に会ったのは表彰式だったと思うけど」
三枝子は首をかしげた。
「いいんだ」
ナサニエルは小さく笑う。
僕がミエコに真に「出会った」と思った日だから。p71-72
・相手の真の姿に触れた時が二人が真に出会った日。素敵な感覚。キザだけど。
「そうか。これが奴の見てた景色か」
向こうから、強い風が吹いてきた。
畝に刺さった棒が細かく揺れている。
風はまだ冷たかったが、どこかにほんのりと春の匂いがした。
菱沼は、その匂いを胸いっぱいに吸い込む。
不意に、また「春と修羅」の一節が浮かんだ。
(まことのことばはここになく
修羅のなみだはつちにふる)
なるほど、おめえはここにいるんだな。このどっかにいて、おめえの音を聴いてるんだな。
菱沼はそんなことを思った。
…はたして、もう一度掛かってきた電話は、第六回芳ヶ江国際ピアノコンクールの課題曲の委嘱の電話だった。
電話で担当者の声を聞きながら、菱沼の頭にはすでにタイトルが浮かんでいた。
「春と修羅」
そして、自分が譜面を書き始めるところも目に浮かんだ。
そう、それはこう書かれるところから始まる ー
ー この曲を、二人のケンジに捧げる。p102-105
・冬から春への転換期は個人的にも最も好きな季節。そこに故人への哀愁も合わされば、���れられない季節になるね。
奏とヴィオラの運命的な出会いp159〜
突然、耳元に流れ込んできた音に、奏はゾッとして全身が粟立った。
文字通り、髪の毛と体毛がふわっと浮き上がるのを感じる。
この衝撃をなんと説明すればいいのだろう。
戦慄。恐怖。それとも ー 絶望?
奏は、プラハから遠く離れた夕暮れの東京のキッチンで、全身に冷や汗を掻きながら、自分がこう答えているのを聞いた。
「はい、是非とも私にそのヴィオラを譲ってください。」p164
・気後れしてたのに…。これが運命ってやつだね。
音を出す。
先生二人がハッとして、黙り込み、奏の音に聞き入るのが分かったが、奏はそれどころではなかった。
あの時、スマホ越しに感じた戦慄と衝撃を、再び体験していたからである。
いや、実際に自分で音を出すのは、あれ以上の衝撃的な体験だった。
無我夢中で鳴らし、一通り音を出し終わって、奏が深く溜息をついて顔を上げると、先生二人はどことなく青ざめた顔をして奏を見ていた。
パヴェル氏が「君の楽器だね」と呟き、先生が「驚いた」と呟いた。
あなたは、そんな音が出せるのね。本当のあなたは ー あなたのヴィオラは、そういう音だったのね。
そう、奏がこのヴィオラに感じたのは、どこかデーモニッシュなものだった。
あの時感じた戦慄や絶望は、これからこの楽器とともに拓くべき世界の底知れなさとタフさに対して、ここで覚悟を決めなければならないという武者震いのようなものだったのではないか。
あるいは、これからこのヴィオラとともに自分の音を作り上げるために闘っていく大変さを予感していたのではないか。しかも、まだこの楽器は完全に振り向いてくれてはいない ー 見せているのは、ほんの少しの横顔だけ。
しかし、奏は確信していた。その横顔に、かすかな笑みがあることを。いつか振り向いてくれた時、奏に向かってニッコリと微笑んでくれるであろうことを。p167-168
・運命的な出会いをしたけど、まだまだその全貌は暴けない。これからを想像して武者震い。
調律してないピアノなのに、ちゃんと鳴っている。音になっている。p181
・幼少期の風間塵。音楽に愛されてるって感じ。なによりも魅力的な、才能のあり方。
彼は駆け出していた。
ピアノの音が大きくなる。
彼は息を切らせ、玄関脇のロビーの入り口に立った。
光が差し込んでいる。
その中に、小さな男の子がいた。
熱心に、たどたどしい動きで、ピアノを弾いている。
ふと、彼の中に、今朝明け方に見た夢が蘇ったような気がした。
そう、夢の中で、私はこの光景を見ていたのではないか。
明るい場所で、素敵な体験をした ー 深く、心が動いた何かを体験した。それは、きっと、今目の前のこの光景のことだったのではないだろうか。
しばらく子どもはピアノを弾いていたが、ピアノに人影が映っているのに気付いたのか、ピタリと弾くのをやめ、振り返った。
きょとんとした、小さな顔。
見開かれた大きな目。
とても、美しい、光に包まれた ー
彼は、胸がどきどきして��るのを感じた。
感動にも似た、不思議な高揚感が込み上げてくる。
「やぁ」p183-185
・この章はとても短い。でも光に包まれた暖かい印象 ー ff7のミッドガル下の教会みたいな。本編の風間塵はとんでもない天才で、天災で、その才能で無邪気に人を気づけるところがあった。でもこの話で光に包まれる彼は本当に無垢で音楽の神に愛された天使のよう。ホフマンと言う伝説的マエストロが、風間塵と出会い、未来への可能性を感じた話。まさに伝説と予感。
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祝祭と掃苔 好き。
獅子と芍薬 2人の関係が良い。
袈裟と鞦韆 泣いちゃう。
竪琴と葦笛 ナサニエル可愛い。
鈴蘭と階段 奏も天才。
伝説と予感 良い。
映画の上書きが出来てよかった。
もうずっと続いて。
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「蜜蜂と遠雷」のスピンオフ。
読んでから時間が少し空いていたので、登場人物に多少混乱したものの、コンクールの前後やキャラクターが強く出ていたので、面白かった。