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読むのがつらい場面がいくつもあり、どうなるんだこの話はとおもったけど、、、
緊迫した場面での女性の言葉がそれぞれ意味深い。
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児童福祉司は、児童相談所で虐待や非行などの対応に当たる職位である。児童福祉法に基づくもので、社会福祉士や一定の実務経験があることなどが要件になっている。だが、全国の児相で、福祉の専門職として採用されている人は7割弱、3割は一般行政職が就いている。つまり3割の職員は自らの希望ではなく、児童福祉司の職を命じられた人なのだ。
一時保護所でほごされた正輝は、保護者との面会が制限されていると説明した。緊急避難的に保護された子らは、通常一時保護所からでることはない。学齢に達した子も通学することはない。通学途中に連れ戻されることがあるからだ。学ぶ機会を奪われ、不自由な生活を強いられるわけだがら一時保護所にいるのは原則として2ヶ月までと決められている
ながいかみのラプンツェル
笑うことも忘れ、人と接することにおびえる。ますます虐待をする相手の言いなりになってしまうのだ。虐待者は、そういった子供の態度につけ込む。卑劣な行為だ。性的虐待が、「魂の殺人」といわれる所以である。
たった数年しか経っていない子が自分を守るために編み出した処世術 期待しないこと、感情を殺すこと、物事に執着しないこと。
ハレ、自分の人生を他人にまかせるな。お前の人生はお前のものだ。
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児童相談所の児童虐待問題との取り組みも難しさを徹底した取材で描写するのがメインかと思うと、不妊治療の話、行き場のない若者の話と複数の話が出てくる。最後それがうまくリンクしていく。暴力シーンなどが過激なこともあって、最後は興奮状態で読み終わる。ディテイルのちょっとしたところのうまさが光る。こうした女性作家によるリアルな話というのが、やはり面白い。宇佐美まことはこれからもチェックですね。
本雑2019年度ベストテン 1位 エンタメベストテン2位
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虐待されていると思われる子供。
荒んだその街で生きるしか無い若者たち。
仕事に忙殺される児相職員。
自身の不妊治療に追い詰めれていく主婦。
悔しい思い、悲しくてやり切れない辛さが、胸に迫って来る。
虐待されても親にすがる子供。
児相職員たちは、子供にとっての最善策を考える。
荒んだ街を見下ろす『ベイビュータワー』
そのタワーから、救いのラプンツェルが現れるのを待ちわびる人たちがいる。
辛い話だけれど、救いも多く散りばめられている。
再読したいま、ラプンツェルに救われた人々の姿も見えた気がする。
何度でも読み返したい本。
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児童相談所の松本と市のこども支援センターの職員前園は虐待児童を救うのに忙しい。前園は親に対して加害者のような見方をしがちな正義漢、松本は10年以上異動願いを出してないのが周囲に不思議がられる。フィリピンとのハーフの海(カイ)、父親に性的虐待を受け、兄の友達にもレイプされた那希沙(ナギサ)は、共同生活をしていて、虐待され家から徘徊している幼児を保護する。松本たちの苦労と、カイたちの生活が交差するのは・・・
重たいのに清々しい。虐待について考えさせられる。
「うん、前園さんのしたことは正しいよ。でも正しいことがその子にとってのベストとは限らないんじゃないか」
舞台は多摩川市となっているが、川崎を連想する。読む限りとても治安の悪い感じがしてできれば住みたくないようか感じがするが住んでる人はどうなのだろう。
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書評に惹かれて図書館で借受。児童虐待、不妊治療といった現代社会のテーマを織り込みながら、読ませる小説に仕上がっている。物語の途中には辛い描写も多いが最後に救いがある。仕掛けられたトリックにも気持ちよく騙された。大した読書量でも無いが、個人的2020年のベスト小説。
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児童虐待をテーマにしつつ、陰惨な描写が続くも、ちょっとずつ気が抜けるところがあり読みやすい。あと謎があるから先がどうなるのか気になって読む手が止まらない。
終盤からエンディングはおーっとなる。そして、巻末の著者の略歴を見てとなるほどミステリ畑の人だった。
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「愚者の毒」と同じ作者だったので。
とっ散らかった部屋を一体どうするのだろうと思っていたら、
すべて片づけられて、しかも美しく収納されて、
プロの技だなぁと感心した、という表現では稚拙だろうか。
注意深く読んでいれば、散らかっていないことは分かるのだろうが、
もちろん自分には分からなかった。
虐待を疑われている男の子、不妊治療中の夫婦、
社会からはじき出されている少年少女、そして児童相談員。
通称ラーメンタワーを軸に子供たちの「現代」が描かれているが、
その「現代」が「現在」ではない。
ひりひりするような現実が描かれているが、
社会派という訳ではなく、やはりミステリーであるそのバランスが素晴らしい。
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川崎市と思われる街を舞台に少年と少女、幼児と不妊症に悩む主婦の人生が錯綜する。最後に世界観が同期するところは見事。
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時間軸がいじられていることはなんとなく気がついた
喋らない子があの人物だなというのも察しがついた
海となぎさとハレの物語が切ない
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題名のファンタジー感からは想像できない、リアルな現実の話。
心が元気なときに読まないと、途中で読めなくなるかも。
ただし、ラストの10数ページで救われます。
貧困や家庭内DVとその連鎖、民族
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山本周五郎賞候補作。
辛くてしんどくて痛くて悲しいこと満載。
こんなにしんどいのに一気読み。
そして最後ちょっとホッとする。
でも、児童虐待も性暴力もネグレクトもなくならない。
不妊治療における精神的なケアは出産後も必要な気がするし。
人間はおろかで悲しい生き物だと思わされる、
それでも、強くてしなやかで優しさも持っている。
そう思える作品でした。あー、泣いた。
#NetGalleyJP
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子供の話は胸が痛みます。
親と子、難しい問題ですね。
お話以上に現実はもっと厳しい、切実であるかもしれない。
自分の身の周りにそういう子供が見えないだけで、
社会にはただ堪えている子供がいると思うと考えさせられます。
子供は元気で幸せであって欲しいです。
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読んでいる間、何かがかみ合わない気がしていたけれど、この物語に流れる二つの時間が明らかになってからは、この作者の人気のある理由がわかった気がした。
性暴力被害者の設定や描写にだけは受け付けないものを最後まで感じてた。無垢な聖女なんて、ドストエフスキーとは時代が違うんだから。
この小説の登場人物はほとんど全員が歴史的、社会的に不利な立場に置かれているマイノリティなんだけど、それらの登場人物を単純に描きすぎているようにも感じる。
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宇佐美作品は本当に丁寧に人物が描かれている。本作のテーマは冒頭からすぐに読み取れたが、どのように展開されるか中盤までよくわからず、そのうち時間軸の違和感に気付き、最後に確りとプロットが回収され、見事なエンディング。ただ、希望の印となるものがタワーでラプンツェルの童話を引き合いにしていたが、それが的確かは疑問が残った。