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宇佐美作品は本当に丁寧に人物が描かれている。本作のテーマは冒頭からすぐに読み取れたが、どのように展開されるか中盤までよくわからず、そのうち時間軸の違和感に気付き、最後に確りとプロットが回収され、見事なエンディング。ただ、希望の印となるものがタワーでラプンツェルの童話を引き合いにしていたが、それが的確かは疑問が残った。
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この小説を読んだ方の
ほぼすべての方が
一食 一晩だけでもいいから
虐待された子供たちの力になってあげたいと
思うことでしょう
どんな親であっても
親と暮らしたいと思う
そんな子供たちをよく理解した小説だと思います
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「いつかラプンツェルが助けてくれる」というおとぎ話を信じてようやく生き延びてこられた子ども。彼が子どもを救おうと動いていることに、一筋の光を感じる。負の連鎖があるように、救いの連鎖もあるのだと信じたいと思った。
ラストの展開に関して。こんなにたくさんの視点いるのかよ、と内心思っていたんだけど、な、なるほどそういうことね……。
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児童虐待や育児放棄を題材にした作品だが、とてもおもしろかった。社会的な問題提起とエンターテインメント性が絶妙なバランスで成り立っている。きちんと読めばわかるはずだが、あまりの猛暑にボーッとしていた(いつも?)せいか、作者の仕掛けたミスリードに手もなく引っかかってしまった。最後の最後で芋づる式にあれもこれもと真相が明かされ呆然とした。
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東京近郊にいると外国人(という書き方が良いか悪いかは置いておくが)の方々は生活の中でも違和感が無くなってきているが、やはり人種差別というものは存在する。容認するつもりはまったくないが、異質なものとして見てしまうのだろう。ちょっと人と違う考え方や動き方をすると目をつけられるのと同質か。
本作のメインはそこではなく児童虐待。
フィリピン人とのハーフ海(カイ)、性虐待を受けてきた那希沙(ナギサ)が児童虐待を受けていると思われるが、全く言葉を発しない少年(幼児)と出会い、ハレと名付け「晴れの海の渚」と3人の接点を表現し、共に時間を過ごす。
また児童相談所で働く松本悠一は日々発生する事件に対応し、不妊治療を続ける郁美、彼女が住むマンションの向かいに住み虐待を受けている壮太と様々なバックグラウンドを持つ年齢性別バラバラな登場人物が虐待問題の大きさを伝えようとストーリー展開される。
舞台となる神奈川県多摩川市(川崎市か)のランドマークであるラーメンタワー(ベイビュータワー)の存在が常に目に入るが、それに対しての市民の微妙な想いもストーリーにエッセンスを加えている。
時間軸の使い方が非常に秀逸で、様々な事象が伏線となり一気にラストへ向かう展開に一気読み必至の作品です。
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こんなに悲惨な状況があるのか、と苦しくなるような児童虐待、ネグレクト、強姦、輪姦、ヤクザ、暴力、不妊治療に殺人まで。
負のスパイラルから抜け出せない環境、土地柄が、児相職員悠一を中心に描かれる。
時系列のトリックもすごくよかった。
内容も、エンターテインメントとしても。
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時代背景は1986年頃と現在の物語。残念ながら虐待問題は現在も続いている。行政等の関係者の苦悩・苦労も続いている。
印象強い作品だった。孫からラプンツェルの話を聞いたら、当分はこの物語を思い出すだろう。
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虐待、ネグレクト、家庭内暴力。そして人種差別。世間にはどれだけ苦しんでいる子供たちがいるのだろう。どれだけの子供たちの叫びを世間は聞き取ることができているのだろう。口を閉ざす小さな体を思い、読んでいる私まで体のあちこちが痛くなる。不妊に悩む主婦の心の叫びもリアルだ。望んでも望んでも手に入らないものがそこで痛めつけられているという実態。歯を食いしばって読み進んだ先にミステリのご褒美が待っていてほっと息をついた。児相だけではない。一般の私達こそ、大きく目を開いて見えるものをちゃんと見なくてはいけないのだろう。
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貧困、幼児虐待、不妊と重めのテーマを扱った作品。
作中では「多摩川市」という実際にはない架空の地で
書かれていたが、
多分川崎をモデルとしているんだろうな。
貧困が虐待を産み、そして虐待が連鎖する。
どうにか生活を変えようともがく若者たちだが、
悪環境を断ち切れずに変わることを諦める者も。
読んでいて辛かったなぁ。
ラスト希望も見え、宇佐美作品らしい仕掛けも。
しかし宇佐美まことは作品の幅が広いと改めて思う。
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13毎年どこかで子供たちが亡くなって、そのたびに背中が寒く痛くなります。書かれている地方だけの問題ではなく、こういうところに人とカネを使えよ!と残念な先生方をTVで見てる
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山本周五郎賞候補作にノミネートされた作品。児童虐待や不妊治療、貧困などの社会問題をテーマにしている点に興味を惹かれ、読了しました。
多摩川市という架空都市で上記の3つの問題を抱えた人々の物語が並行していく。それぞれの物語は独立している話だが、所々で関係性を仄めかす伏線が張られており、最後にあっと驚く伏線回収を持ってくる辺りがとても良かった。章はじめの挿絵だったり、伏線回収のやり方から伊坂幸太郎に似たものを感じた。伊坂作品が好きな人にお勧めしたいですね。
タイトルからはとても童話的な明るい話が想像できるが、社会問題をテーマにしているだけにダークな救いようのない雰囲気が好感を持てた。
「子ども食堂」と言う存在はニュースで知ってはいたが、その背景までは理解していなかった。「そもそもこのご時世ご飯食べれない子どもなんているのか?」なんて主観的に考えていたけど、この本を読むことで粗悪な児童虐待、貧困、そしてその連鎖が関与していると背景を俯瞰的に知れたことはとても有意義であったと思う。
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本作は悲惨な子供たちの状況が描かれた小説です。
ですので、出てくる登場人物たちももちろん悲惨な状態にある人達などが登場するのですが、どうも皆それぞれ、型にハマったキャラクターという感じが否めません。なので現実味がないというか、共感できないというか。
もちろん題材的に現実とは思えない辛い事が起こりますし、そういう経験をした人々に自分が100%共感出来ないのはわかります。
ただ、そういう共感できないとは別の種類の違和感があります。
物語の中の出来事をなぞっているだけ。という気がして現実味が感じられませんでした。
物語終盤のあ!と思わせるプロットは素晴らしいのですが、逆にその「あ!」を言わせたいがために綴られた作品のように感じられ、そこが残念でした。
決してつまらないことはなく、面白かったのですが、何かが足りない作品だと思います。
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”本の雑誌”から。3つの視点人物についての物語が、決まった順番で章ごとに紡がれるという結構。考えてみれば、この結構だからこそ、最後の種明かしが活きてくる訳やね。まんまと騙されちゃいました。ただそれは、全く本書のメインではなく、あくまでスパイス。虐待と不妊治療。それが2つの大きなテーマで、問題提起。深くて重い。
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子を持つ親としては、読んでいてとても辛かった。
小説としては構成、テンポ、意外感、題名の付け方など全てとても良く、どんどん読めた。
時間軸について上手く思い込ませるので、え?!と思った事があったと記憶。他、色々な事がうまくつながってとても小説として楽しめた事も印象としてちゃんと残っている。
きっと、こういう事はあるのだと思う。虐待される子がいなくなるような世の中になるように、強く、強く願った。
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読了した瞬間、完敗!と思った。
さすが宇佐美まことである。
『愚者の毒』からのお付き合いになるが、この人は更に化けると見込んだ勘と期待を、見事に大きく上回って、進化し続けている。
虐待や暴力の描写は目を背けたくなるほどで、かなり心身にゆさぶりをかけられ、正直にいって読み進めるのが辛い部分もあった。
(これは私自身の生い立ちにも問題があるから、余計に苦しかったのだと思う)
けれど、読了した今は、もう一度丁寧に読み解きたいと思っている。
どの作品も骨太な骨格を持ち、そこへ細微を穿つような描写で、決して目を逸らさずに、しかし平明と言えるほどのことばで物語を紡ぐ。平明とは実に難しく、ゆえに無駄が無いのだから、宇佐美まことさんの力量の底知れなさに震えるばかりだ。
最後に。彼女の作品に常から感じているのは、ことばへの敏感さ、畏怖、そして時に表出する美しさだ。詩的とも言えるセンテンスが、凍えるような場面にさえ、蝶のように留まっている。
良質な作品とともに、再び詩性を薫らせる一行に出会えることを、大いに期待している。