紙の本
言論統制と大本営発表
2020/02/14 10:26
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
放送と通信の融合の時代において、放送は国民の知る権利を満足させているか。新聞が官邸よりと批判されている昨今、フェイクニュースと戦い、国民投票時の危惧にまで言及している放送激励書。
紙の本
わかりやすい
2019/12/14 08:20
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
放送の公共性について、わかりやすく説明されていて、よかったです。これから、さらに多様化、複雑化していきそうです。
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放送の中立性が度々話題になるテレビ。興味津々で詠んだ次第。1934年のNHKの改編は「日本精神」を基調とする日本文化育成を編成指針としてナチスのゲッペルス制度改革を参考にしていたとは驚きだった。戦争を翼賛した反省に立って、言論・表現の自由に対して放送界はかなり気を配っていた! NHKの戦後初の会長が高野岩三郎という左翼学者だった。そして左派系の人々が多くNHK委員になっていた。竿の頃はNHKもまともだった!今は昔の感がある。政治的公平を政府側の総務相が強調し、権力の濫用を監視し、政府にとって時には不都合な真実を暴くことに対して、停波による放送権の剥奪を脅迫する。それは一方の側の見解であって公平と言えるのか!1950年当時は大臣ではなく、公平なメンバーが保証されていた電波監理委員会が判断していた。放送内容が真実でなかったとして声高に批判されるのも、もし絶対の真実でないと確信が持てない件は報道するのにシュリンクしてしまうのではないか?法制度に限らず、その現在の運用、それへの世間の見方について、疑問を感じることの頭の整理が出来たように感じる。英国のBBC放送の努力、そしてイタリアのストップウォッチ計測による画一的な公平性の担保の例など、面白い。。
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日本における『放送の自由』の成立過程や”中の人”の考え方が整理されていて参考になった。自分はニュースを含めTVを見なくなって久しいので、放送の自由が現在どれだけ実現できているのかわからないが、経営母体が同じである新聞と似たり寄ったりであろうことは容易に想像できる。本当に知りたいことにはほとんど触れず、記者クラブによる発表ジャーナリズムに堕しているのだろう。
最終章で『放送と通信の融合』について論じられているが、現実には『通信による放送の吸収』に近くなると思う。1:多の”マス”コミュニケーションが、多:多の(普通の)コミュニケーションに埋もれることになる。つまり放送局といえども、個人を含む膨大なコンテンツ発信者の一つでしかなくなるのだ。”マス”コミが成立するには大多数の受け手に支持されることが必須要件だが、若い人はTV局やそれが発信するコンテンツを特別視しなくなっていて、高校生の我が子もTVではなくYouTubeばかり見ている。TVに強い影響力がなくなれば不偏不党などどうでもよい話だ。重要なのは『報道の自由』であって、『放送の自由』の重要性はぐっと小さくなるのではないか。残念なことに日本のサラリーマン・ジャーナリストは報道の自由も自ら手放しているのだが。