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最近増えてきた難民問題を扱った児童文学。
イギリスロンドンの小学校に、シリアから避難してきた少年が転校してきた。
それまで難民という言葉も知らなかった9歳クラスの4人組は、アーメットを通して難民問題を知り、アーメットのために「世界一のプラン」を立てる。その計画たるや9歳の子どもらしくスゴイのだ。9歳の子どもたちが主人公だからこその展開のおもしろさを味わえた。
手に余るような国際問題も、身近な友だち一人のことを一生懸命考えることから広がっていくと教えてくれる。
差別主義者、難民を受け入れたくない側の意見も描くことで、厳しさも伝えている。
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9歳のアレクサの純粋さと行動力といったら!この歳で家族を亡くす痛みを知っていることは痛ましいけど、だからこそアーメットの力になりたかったんだよね。
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アレクサはロンドンに母親と二人で暮らす9歳の少女。新学期のある日、クラスのずっと空いていた席に転校生アーメットがやってきた。彼女とその友だちは、彼と親しくなりたいと思ったが、彼はずっとうつむいて誰とも話そうとせず、休憩時間やお昼休みにはどこかに姿を消してしまい、担任のハン先生も、まだ彼は皆と距離を置く必要があると言う。理由がわからないアレクサたちだったが、ある日保護者たちの会話から、アーメットが「難民の子」だと知る。母親から「難民」とは何か、どうして「難民」になるのか、どんな思いをしてきたのか、を聞いたアレクサは、彼と友だちになるためにたくさんの質問を思いつく。一緒にサッカーをしたり、アメットの国のくだものザクロをプレゼントしたりして打ち解けてきた頃、彼女たちは、アーメットのシリアからの長い旅の話を聞き、妹とは死に別れ、両親とは生き別れていることを知る。しかし、英国が間もなく難民の入国を禁止することを知った彼女たちは、アーメットを両親と会わせるために、世界一のプランを考え、実行するのだった。
難民の友人を助けるために奮闘する少女たちの姿を姿を優しく描いた物語。
*******ここからはネタバレ*******
9歳の子どもたちの大冒険を描いたこの本は、文章もストーリー展開も中学年向けのものではありますが、なんと311ページに渡る長編作品です。
これを高学年以上に読ませるには無理があると思いますが、よっぽど読める子でないと中学年は手に取りにくいかも知れませんね。
アレクサの母親がとてもいい。図書館司書の彼女は、どんな質問にもちゃんと答えてくれる。視線だけで秘密の20種類以上の秘密のメッセージを伝えられる(これはきっと女同士だからできること(笑))。「いい本は読んだ人に、答えよりも問いを多く残すものよ。そこがおもしろいの。その問いの答えは、自分で見つけるのよ」
アレクサが友だちと難民問題について話す場面では、難民は迷惑だという親もいれば、優しくしてあげなさいという親もいて、自分の親の言うことを無批判に信じるだけではいけないと気づかされます。
子ども向けのフィクションらしくハッピーエンドで、最後には女王陛下のお茶会にまで招待されてしまう物語ですが、「王女がいけすかない俳優とつきあっている」とか、ちょっぴり風刺もきかせています。
Brexitから、イギリスの移民、難民受け入れについての児童書は増えてきたように感じます。
「スマート: キーラン・ウッズの事件簿」でデビューしたキム・スレイターの「928 Miles from Home」でも、移民問題が取り扱われていましたね。
イギリスでは、実際に子どもたちの世界でも、移民かどうか、が、友だち付き合いに関わってくる場面があるのでしょうか。
原題は「The Boy at the Back of the Class」。これでは難民問題の本とわからないから邦題になったんでしょうね。
難民の話ながら、その道筋の悲惨な部分まで描かれていないため、低学年でも十分受け入れられると思います(長さが問題にならなければね)。
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イギリスの児童文学は子供の時からたくさん楽しませてもらった。
小公子
不思議の国のアリス
ナルニア国ものがたり
そして、ハリーポッター
でも、気づけば白人の著者が白人の主人公を描いたものばかりだった。
最近、ブレイディみかこさんの「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」
に衝撃を受けた。
著者は、オンジャリ、Qラウル
真正面から難民問題を描いている。
フィクションで楽しく描いているが、厳しい現実から目をそらさず、行動していく子供たちに拍手。
とても面白く読みました。
≪ ただ逃げる 家も心も 奪われて ≫
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アーメットがイギリスにたどり着くまでの話には胸が詰まり、アーメットを両親に再会させるためのアレクサのプランに一緒になってドキドキしちゃいました。アーメットに親身になる子vsいじめっ子の対比が極端に感じたけれど、実社会の投影なのかと納得。
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子どもが読んで面白かったというのでお勧めされ、読んだ。
難民がクラスにやってきたという話だが、日本でそういうことはほぼ遭遇しないので、こういう本は子どもにとって視野が広がるお話でとてもいいなと思う。
お友だちのために!という行動力が素晴らしい。うちの子どもたちにも、ここまでの行動力はなくとも信じることへの実行力を持ってほしいと思う。
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友だちのために、ここまで行動に出ることができる人になりたい!危険な行為は無しだけど。
難民のアーメットへの偏見やいじめのシーンがつらかった。それでも「どういった背景を持って、イギリスに入国したのか話しても、一部の人は変わらずに嫌がらせをしてくる」というリアルな描かれ方は、適当な大団円よりも好感が持てた。
相手を「難民」という背景こみで認識するのではなく、「難民」という肩書きだけをただ見てしまういじめっ子や排斥したがる人を見ながら、自分も肩書きだけ見ちゃってることがないようにしないと、と思った。
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「主人公のクラスに、男の子が転入してきました。ライオンのような瞳を持つ彼は、しゃべらないし、笑わないし、だれとも遊びません。彼がイギリスの学校にやってきたのには、理由があったのです…。難民問題を通してえがかれる、友情と勇気と冒険の物語。」