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予備校講師が書いた日本史の本。
「マンガ」と入っているものの、漫画形式は1章につき2ページ程度で、あとは文章なので中々歯ごたえがあった。
また、世界史と日本史を並べているもの、近代以前においては中々相関関係が見えず、結果として難しく感じた。
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在宅勤務が始まる2月中旬に通勤途上で読んでいた本でしたが、読みかけのままになっていることをGWの部屋の掃除で発掘しました。
この本は日本史の解説本ですが、その時代に世界はどう動いていたのかという説明があり、日本の歴史は世界の歴史に影響されていることが分かる仕組みになっています。かつては本を読みながら自分で調べながらやっていましたが、この本ではそれが一緒に解説されていて、歴史上の事件が起きた背景がより理解できたと思いました。このような本が続々出てきて欲しいですね。
以下は気になったポイントです。
・ヤマト政権により5−6世紀にかけて天皇を頂点とする支配体制が整えられ、軸になったのは氏姓制度である。豪族は血縁、政治的な関係を基に、氏に分けられ、氏ごとに役割を示す姓(かばね)が与えられた。有力な氏には、臣(おみ)と連(むらじ)の姓が与えられ、そこから選ばれた大臣と大連(おおむらじ)が国政の中枢を担った(p44)
・新羅側が日本と対等な関係を求めてきたので両者の関係は悪化し国交が途絶えた、代わって日本と関係を深めたのがかつての高句麗の遺民がたてた渤海であった(p68)
・800年頃の僧侶はただの宗教者ではなく、最先端の学問を学んだ教養人であった、中国の安史の乱を招いたとされる楊貴妃は処刑、玄宗も退位に追い込まれた(p72)
・桓武天皇の政治に大きな役割を果たしたと考えられるのが秦氏である、長岡京、平安京のどちらも秦氏の支配する地域であった、秦氏は秦の始皇帝の子孫と称する渡来人氏族である(p80)
・1019年の刀伊の入寇において逃げ延びた対馬の守が太宰府に報告、朝廷からの援助がないなか現地軍で撃退した、これにより彼らは武士団として成長・自立が進んだ(p98)
・宋において高額の取引のために金融業者らが銅銭との引換券を発行、交子と呼ばれる世界初の紙幣であった。すると銅銭が余り始めるので、遼・高麗・日本などへ輸出した、これは宋銭による貨幣経済が広がることを意味した(p100)
・宋と日本は正式な国交は結ばなかったが民間レベルではあった、日本の輸出品は、対馬の銀・薩摩の硫黄・伊勢の水銀、中でも有名なのは、奥州平泉の砂金であった(p102)
・唐の崩壊を決定付けた要因として875年の黄巣の乱(後に五代十国)があるが、もう一つの要因として、ウイグルの崩壊(キルギスの侵攻)がある(p88)
・寒冷化は世界中を苦しめた、欧州ではノルウェー、スウェーデン、デンマークに住んでいたノルマン人がヴァイキングとして侵略、中央アジアではアラル海が干上がり始め、ベチェネグ人が西進、そしてマジャール人やスラブ人が欧州へ、東アジアでは、ウイグルや唐で飢饉が発生(p92)
・承久の乱(1221)の起きた頃に、イギリスジョン王のローマ教皇からの破門された(1209)ジョン王はイングランドとアイルランドを教皇に寄進し、封臣となったうえで年1000マルク払った(p119)
・日朝貿易(1420頃)は日明貿易(堺、博多が栄えた)と異なり一般の商人も許されていたので盛んであった、1419年には朝鮮軍が対馬へ襲来(応永の外寇)した(p138、142)
・1587年のバテレン追放令は南蛮貿易と布教を切り離した、決定打は、1596年のサンフェリペ号事件である、これはスペイン系のフランシスコ教会と、ポルトガル系のイエズス会の対立も原因とされる(p152)
・16世紀末には日本(1603年江戸幕府)だけではなく、世界各地で政権交代が起きている、イングランドのステュワート朝、ロシアのロマノフ朝、中国の清朝(p158)
・島原の乱(1637)後に、幕府はキリスト教徒の摘発と、宗門改(国民全員をいずれかの仏教寺院の檀家とさせる=寺請制度)をして、宗門改帳を作り検査した(p168)
・1624年にはスペイン船の来航を禁じた、島原の乱の影響で1639年にはポルトガルの来航禁止、最終的には島原の乱鎮圧に積極的に協力したオランダのみが残った。清国・オランダとは正式国交なく私的貿易を長崎において認めた、朝鮮とは正式国交で対馬藩と通して、蝦夷とは松前藩、琉球とは薩摩藩を通して行った(p173)
・イギリスは1651年オランダの中継貿易妨害のため航海法をもうけたが、イギリスと日本には通商関係がないのでオランダの対日貿易には適用できず、日本はオランダにとって唯一貿易利益を独占できる相手であった。当時のオランダからの輸入品は、生糸・絹織物・毛織物などであった(p175)
・田沼意次は江戸と西国で通貨制度が異なる(東日本は金遣い、西日本は銀遣い)ので、明和5匁銀、南鐐二朱銀を発行して金銀の一本化を試みた(p182)
・イギリスは薩英戦争を通して、薩摩長州に接近し、フランスは幕府が製鉄事業のあっせんを依頼したことで幕府側についた(p228)
2020年5月3日作成
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タイトルの通り、世界史の中としての日本史を簡潔にまとめていて、さくっと読めます。
「マンガ」って書いてありますが、漫画はほとんどなく、細かいギャグを入れてるつもりなんでしょうけど、無い方が良い。
中身は十分理解しやすいので、逆に減点という感じ。
歴史を概括するには、むしろ良書なのに残念。