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マーケティングの歴史とデザインの歴史から入り、現代のデザインの在り方にまで話を繋げている。
デザインと聞くと、最初に思い浮かべるのは何かのイラストだったり、インテリアだったり、芸術的な何かを思い浮かべる人が多いだろう。実際は私もそうだった。
個人的な趣味や志向を反映させたものなのだと思っていた。
しかし、本書で書かれているのは「人の行動のデザイン」。現在のマーケティングは製品やサービスの「物質的価値」によって左右されるものではなく、「経験価値」や「感情価値」によって行われているという。最近よくきく「コト消費」と同義のことだ。
そのため、デザインもアーティスティックなものではなく、顧客に与える「経験」や「感情」を最大化させるためのデザインとなった。
人の感性は数値化されておらず、正確に論理的に最適解を見つけ出すことはできないと思っていたが、最近はデザインにも統計学が適用されているということで、イメージをAIに伝えたらそのイメージを最も上手く表現するデザインを提案してくれるそうだ。時代の進歩はすごい。
少し話は逸れたが、現在ではデザインの定義は物質的なものに止まらず、サービスの設計という広義的な意味を持つようになった。前半ではその説明がなされ、後半ではその手法が解説されている。
非常に体系だった説明がなされており、わかりやすく良書だと感じる。