紙の本
ラストの逆転が今一つ
2021/04/06 19:25
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投稿者:dsukesan - この投稿者のレビュー一覧を見る
6章まで、大変おもしろかった。公私にわたる様々な困難の中、奮闘する中年男の熱さと悲哀が描かれていて、とても満足。
ただ、最後のエピローグの内容を、もっと充実して、速水視点で描いてもらいたかった。6章までで負けたストーリーを、逆転させるところの書き込みをもっとして欲しかった。このため、読後の痛快感は無く、モヤモヤ感が募る。ラストの客観描写で、逆転と騙しを際立たせたかったのだろうが、何が騙しなのかが分からない。ラストの会社設立は、速水に騙されたというほどの、裏切り行為にも思えない。会社員時代の人脈、ノウハウを活かして、編集や出版を推進する会社を立ち上げましたというのは、とても順当な行動に思える。このため、最後の速水の生い立ちや独白が、宙ぶらりんに感じられた。
騙し絵とまでいうことで描くならば、もっと本当の悪業と思う様な対応にして描かれないと、狙った逆転劇としては今ひとつ。。。
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本当に大泉洋が演じている作品を読んだ気がする(変な表現だけど).あの軽さ,笑顔,ちょっと滑りがちなユーモアとウィット,フットワークの良さ,細やかな気配り,時折のぞかせる得体の知れなさや冷たい感じ,等々,まさに速水輝也は役者大泉洋が演じるのにぴったりの主人公.
ざっくり言ってしまえば,出版不況の中,自分が編集長を務める雑誌「トリニティー」を守るために主人公の速水が奮闘する話なのだけれども,編集局長の相沢とか大御所作家の二階堂とかキャラのたった登場人物が脇を固めていて物語を盛り上げている.
また,WEB化の波にさらされている出版業界の苦悩や今後についても考えさせられ,興味深かった.
最後のエピローグでは「トリニティー」を守り抜こうとしたモチベーションがどこにあったのかが語られる.うん,面白かった.
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大泉洋さん主演の映画が好きなので買ってみた。タイトルがなんか変。読んでて誰が誰を騙してるのかわからなかった。その疑問が頭の片隅に最後まで引っかかってた。主人公の描写は大泉洋さんそのまま。エピローグが最高に良かった。早く映画が見たい。
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大泉洋が苦手だ。
面白いと言う友人の言葉もあり、『水曜どうでしょう』を初めて観たのはいつの頃だったか。
その随分前に、医療系のテレビドラマか何かでかが初見だったと思う。この時思った、この俳優、苦手だわぁと。それ以来、彼が出るものは極力視界に入れないようにしていたのに。
あの軽い感じが、彼に限らず苦手な種類の人だった。
そんな彼をいつの間にかさほど苦手だとは思わなくなって久しい。
で、この小説である。なんと大泉洋のあてがきだと言う。読むしかないだろう。
小説共々、映画もヒットしそうだ。
大泉洋に騙されるな!
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登場人物が多くて覚えられず行ったり来たり…相関図とかつけてほしかった〜
結構ボリュームもあり、前半はなかなか読み進めるのに時間がかかったけれど、だんだん面白くなって、最後は一気に読みました。
エピローグがよかったけど、自分が出版業界のことをよくわかっていないせいもあってかタイトルほどの衝撃はなかったかも。
あてがきの小説って初めてで新鮮でした。大泉洋だからこそ面白いんだろうな。
原作読んでから映画を…と思って、読み終わった後に映画の役者調べたら登場人物が全然違ってびっくり!
話も違いそうでそちらも楽しみ。
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『罪の声』作者の、同作に続く本屋大賞ノミネート作品。早くも文庫化ってことで早速入手。殆どテレビを見ないから、大泉洋に当て嵌めながら読む、ってことがあまり出来なかったけど、それは抜きにしても十分楽しめる内容。このくらいではどんでん返しとも思わなくなってしまってるけど、仕掛けを度外視しても、物語そのものが魅力的。出版業界が舞台ってのも、本好きには引き寄せられるポイント。良かったです。
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大泉洋ファンとしてこれは無視出来ないと思い手に取りましたが、これが大当たりでした。
出版業会の内情がとてもリアルに描かれていて、膨大な取材量がそのリアリティを底支えしていると推察されます。塩田武士氏は元神戸新聞記者という事なのでそれも納得です。
清濁併せ持つ非常に魅力的な主人公が最後に大逆転劇を演じる様は痛快で、ラストもなかなか感動的です。氏の別作品「罪の声」と合わせておすすめです。
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発する言葉全てが大泉さんで時々フッと笑ってしまっていました。(最後の方言が出る辺りは少し違和感ありましたが。)
速水の人間性がとてもよく描かれていて、手に取るように想像できました。恵とのこともちょっとしたその場のノリ、人間の弱さのような部分も納得できました。
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出版社勤務の速水さんが主人公。
最初はどういう展開になっていくのか分からなかった。
でも、読み進めていくうちに、今の出版業界が抱えている問題になるほど~と思わされた。私がかつて愛読していた雑誌もいつの間にかwebマガジンになってしまった。それぞれの連載は続いているけれど、雑誌の時の読み応えは感じづらい。紙媒体での発刊が休刊になってしまって、本当に残念だなあと思っていたが、業界ではこういう裏事情があったのかなと、悲しい気持ちになった。先細りしていく未来だとしても、オールドファッションになるとしても、私はできるだけ紙媒体で本は読んでいきたいと思った。
でも、まさか速水さんが雑誌を存続しようと奮闘するエネルギーの源がこういうことだったなんて!という結末にびっくり。そして、速水さんが選んだ道にもびっくり。
どうかどうか紙媒体での本が生き残っていきますように。一読者として、私にできることは何なのだろう。そんなことをぼんやり考えながら読んだ。
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業界の厳しさがわかり、紙の本好きにとっては痛々しい内容でした。これからも本屋で本を買おう。
エピローグ含めてとても面白かった。
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『騙し絵』とはこの本のタイトルだけど、作中、私は主人公の速水氏が別段誰かを騙していたと言う印象は全く受けなかった。
彼はただ自分の中の一部分をしか周囲に見せていなかった…それだけのことだ。
確かにその為の振る舞いはまこと鮮やかなものではあったけれど、決して悪意あるものではなかったし、それはきっと目的完遂の為の『転ばぬ先の杖』であったのだと思う。
恐らく離婚も含め、彼の周りで起こった諸々の事柄が最終的に彼の背中を押したのだろうし、彼の悲願を叶える為にはやむを得ない仕儀…成り行き、恐らくは切りたくないカードだったろう。
話は著しく脱線するが、
もし浮気がバレたのであれば奥方の気持ちは理解出来なくもないが、夫婦仲が冷えたとか外で仕事がしたいからとか、その程度の陳腐な理由で子供を片親にするのなら、そもそもの初めから親になりたいとか思うんじゃねぇ!
実社会にも男女問わずこういった輩いるよな〜。
ヒマなんだろうなぁ〜。『豊かさ』も考えもんだ。
と、脱線はここまでで…
まったく出口の見えない閉塞感の中、その時々最善を尽くした上で決して絶望するのでは無く、最悪への備えを人知れず粛々と進める速水氏…空飛ぶブタの決まり文句じゃないけれど、
『カッコいいとはこう言う事だ』
ね。
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雑誌編集者の速水は、雑誌「トリニティ」が廃刊になるかもしれないと上司に聞かされ、それを阻止するために奮闘するが、課内の不和のまとめや会社の権力闘争、家庭問題などに振り回され疲弊していく。
趣味は「読書」の自分が、出版社というものを意識するのは本屋で棚を探す時ぐらい。
出版社の話でかつこんなドロドロした感じはあまりなかったので新鮮だったし面白かった。
速水=大泉洋ということも入りやすかった。
映画もみてみようかな。
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編集者としての本質的な仕事に拘り、人たらしと情報収集力によってぐいぐい仕事をはかどらせていく主人公の速水が気持ちよくて、面白く読みすすめることができた。のだが・・、塩田は『罪の声』もそうだったが、生い立ちヒストリーを封じ込めることに苦労しつつ、今、目の前に現れる高波を乗り切ろうとする主人公を描くというパターン化にはまってないか?
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とある人物によるとある人物の物語の印象。
読みだすとテンポ良く読める作品。
久しぶりに400頁超えの本を読みましたが、飽くこともなく読めました。
映画と役名変わるキャラが居そうなのでどうなっていくかも楽しみの一つです。
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出版大手「薫風社」で、カルチャー誌の編集長を務める速水輝也。笑顔とユーモア、ウィットに富んだ会話で周囲を魅了する男だ。ある夜、上司から廃刊の可能性を匂わされたことを機に組織に翻弄されていく。社内抗争、大物作家の大型連載、企業タイアップ…。飄々とした「笑顔」の裏で、次第に「別の顔」が浮かび上がり―。
どこまでリアルなのかはわからないが、これはこれで楽しめました。