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妹子(いもこ)(小野…だから)こと、小野常雄(おのつねお)くんは、書店員の妻・みどりさん、幼稚園に入ったばかりのタロウくんとの三人暮らし。
妹子が専業主夫として、家事と育児のほとんどを担当している。
住まいは武蔵野の自然が残る、野川の近く。
毎日川沿いを歩いては、タロウくんを幼稚園に送り迎え。
花や虫に旺盛な興味を示すタロウくんと一緒に自然を見ることを妹子も楽しんではいるが…
これって、時給いくら?
みどりさんの方が収入が多いという理由もあったけれど、むしろ妹子自身が育児をしたくて主夫になることを申し出たのだ。
でも、悩んでいる。
「リボンの男」ってなんだろうな?と思って手に取った。
読む前は、リボン付けてる男のことかと思った。
でも、トランスジェンダーのお話ではありませんでした。
とはいえ…
『男だからとか女だからとか関係ないんじゃない?』
という提案がされていると思うし、全然遠いというわけでは無かったと思います。
むしろ!
いいんじゃない?主夫。
妹子は、自分には稼ぎがない、世間的にはヒモなんじゃないか、と悩んでいる。
みどりさんの方は、ちゃんと家族を養っていけるのかという不安と共に、家事と育児を夫に丸投げしているという引け目がある。
それとともに、妹子の方は「稼いでくれてありがとう」
みどりさんの方は「家事と育児を頑張ってくれてありがとう」という気持ちを相手に対して抱いている。
妹子とみどりさんが特別優しい人たちなのかもしれないけれど。
主婦が育児して、「育児してくれてありがとう」って言ってくれる旦那さんは、世間にそういないと思うし、妻の方も、心で思ってはいても「養ってくれてありがとう」とはなかなか言えない。
「誰に食わせてもらってるんだ!」なんて言われたらなおさら。
妹子はとても純粋だ。
自分の子供の未来だけではなく、他の子供の未来も明るいものにしなくてはいけない、と考える。
人間の子供だけではなく、地球上の生きとし生けるもの全てに生きる権利があるのだと考える。
宗教や思想としてではなく、子供のような汚れのない思いで、あるいは地球のような母の愛のように、そう思っている。
え、そこまで考えたら人間は生き残れないよ、と正論で反論しようとして…ちょっと待て、それは「正」論なのか?
と分からなくなってしまった。
タロウくんのユニークな発想にも、天才を感じる。
簡単に読める本だけれど、その余白でいろいろな事を考えさせられたのでした。
「リボン」の謎が解けたら微笑ましくてしばらく笑ってしまいました。
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家族とは、性別とは、色んな事を考えさせられた。
この物語の夫婦は男女ではなく同士。マイノリティがどうのこうのって言う押し付けもなく、自然に書かれていてすんなりと入ってきました。
贅沢はしなくても日々の丁寧な暮らし、日課のお散歩中の出来事など、日常をどう楽しむか、今のこの時世に読むと興味深かった。
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新しい価値観の家族。同じ?似ている?近い?価値観のパートナーと出会えるなら結婚相談所も悪くない。
お金を使うこと、稼ぐこと、だけが経済活動を回しているわけじゃない。
マイナスの経済活動もあるけど、それは結果的には、決してマイナスではない。
ヒモじゃなくて、リボンだから(笑)
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一見何も起きていないような場面でも思いがけない気付きがあって、その透けるほど薄い部分に目を凝らせる妹子がすごい。
お金は稼いでいなくても他に代えの効かない貴重な存在だと思う。
とても読みやすくてさらっとしているので読み終わったのにまだ何章も続きがあるような不思議な感じがする。
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図書館で、何気なく借りた。普段なら余り読まない種類かもしれない。ゆったりと流れる話の中にも主人公の悩みや考え、主夫(主婦)と言うものへの著者からのアイデアが巡らされているようで、個人的には新しい感覚を覚えた。普段読まないような本だからこそ、普段考えない事を考えさせられた。
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主夫?主婦?専業主夫の時給はいくらなんだろう?
3歳児のタロウと妹子、幼稚園に通う河川敷で耳目にする自然とともに成長する二人、そんな彼は経済活動をしていないのだろうか?タロウとの小さな世界は可能性に溢れている。
「お父さんはヒモじゃなくて、リボンだね。」
タロウのそんな一言が、妹子の心を優しく解きほぐし、新たな一歩を踏み出せた。
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読書開始日:2021年11月20日
読書終了日:2021年11月22日
所感
優しい内容だった。
なんとなく主夫をターゲットにしすぎた感は否めないが。
内容は主婦にも十分言えることで、経済活動から一見距離があるように見える主婦や主夫の活動も実は経済につながっている考え方ができることがわかった。
とても素敵だと思った部分は、世界を広げることこそが成長だという空気感が蔓延しているが、世界を細分化しようということも充分に成長だと妹子が気づいた部分。
大事にしたい考え方だと思う。
同時に、世界を広げることこそが成長だと意固地になる一元論者に敵意を覚えた。
みどりの結婚する意味についてもとても素敵だと感じる。
僕がやっていることだって、風が吹けば桶屋が儲かる的に考えていけば経済活動だって言えるんじゃないか
「この子」だとか「あの子」だとかでは、冷たく響いてしまう
ほっとしたね
「えっと、結婚するなら、『結婚してよかった』と相手に思ってもらいたいよね。結婚も人助けというか、『自分の存在って、相手のためになっているんだなぁ』って感じたいところがあるよね。そう考えると、欠点というか、助け甲斐のある相手の方が結婚して楽しいと思うんだよね」
経済力が無くても、意見が通る
男の胸のコンプレックス
見守るのはやってあげるよりもずっと時間と手間がかかる
違うんだよ。大変だ、って愚痴りたくなったんじゃなくてさ
貝や海藻をとる海女さんの腰に結んだヒモを船の上の男性が握っていることが由来
大きなカテゴリーで見る時代は終わった
世界を広げることを成長と呼ぶのだとこれまでの妹子は思っていたが、世界を細分化するのも成長
野生動物には『死ぬ権利』があり、淘汰
主婦も時給換算ではなくやりがいで世界を変えようとする気持ちがある
金を動かさない社会参加
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子供と幼稚園の行き帰りに河川敷を歩くシーンが好きでした。
自分も子供の送り迎えを徒歩にして、発見したり走ったり歩いたり座ったり時間をかけて散歩するようになりました。
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どこにも繋がらないし
なにも起きないけれど
性の多様性を
本当に普通の日常から切り取った
優しくなれる
小説でした。
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妹子、みどり、タロウは人生を頑張って生きているんだなと思う。
おもしろい本ではないけど、あたたかい気持ちになれる。あたたかい飲み物に合う。
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結婚相談所で出逢い結ばれた大野みどりと小野常雄(愛称・妹子)の物語。
みどりは年収650万、書店で店長として働きながら書評やエッセイを書いている。
妹子はアルバイト暮らしで年収180万。
息子のタロウが生まれた事で妹子は専業主夫になり新しい“シュフ”の未来を考えだす。
本作も小説と言うよりナオコーラさんの考えを読んでいるような感覚になる。
毎作品ごとに登場する「ブス」の単語こそなかったものの、お金の話に終始する内容はウンザリさせられた。
内容紹介に『各紙誌絶賛の感動作! 』とあり期待していたけれど物足りない読後感。
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結婚相談所で知り合ったみどりと結婚してタロウという子供ができ、妹子は専業シュフとして、毎日家事と育児をしている。
タロウとののんびりとした時間、
シュフを時給に換算するといくらだろうと考えたり
働いて生活費を稼いできてくれるみどりのたいする思い
時給マイナスの男だと思うこともありながら
自分はヒモの男ではなくリボンの男だと思うまで。
男とか女とか、働いている働いていない
色々考えちゃうよね。そして、それを軽々しく口に出したら炎上するんじゃないかとか、考えちゃって、そんな特に深い意味はなくても、口には出せなくなっているよ。
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最近は本当に読書に時間を割けず悲しい。
久々に以前から読みたかったナオコーラさんの作品を手に取るも、1時間もあれば読めそうな本作も本当にちびちびと読み切った。(時間をかけすぎて、本に挟んだ栞の跡がついてしまった)
「リボンの男」。
タイトルも素敵だし、帯に下手な字で書かれている(お子さんが書いたのかな?)「おとうさんはねえ、ヒモじゃなくてリボンだよ。」が愛おしすぎる。
本作もナオコーラ節全開で、ステレオタイプであるジェンダーロールをぶち壊して物語は展開される。
主人公はシュフの男性。書店員の妻と3歳の息子・タロウとの生活の話。
"物語は展開される"と書いておいてなんだが、特に何も起きない。
幼稚園までの道中で堤防で花や虫を見つけたり、庭にタヌキがやってきたり、それだけ。
だけどそんな日常から、主人公の妹子はあらゆることを感じ取り、自分の考えを深める。
私たちが日々暮らしていくのと同じやり方。
無意味なようで無意味でない本作も温かくて面白くて好きでした。
P. 132
「黒トンボがわかりました」
タロウが、犬の飼い主に向かって言った。
「黒トンボ?ハグロトンボを見たの?」
犬の飼い主は再びしゃがんでタロウに尋ねる。
「あはは、黒いトンボ、見たの?」
みどりも調子を合わせる。
(中略)
タロウは人見知りなのに、他人に対して急に話題を提供することがある。
幼稚園から帰ってきて、マンションの管理人さんが「お帰り」と挨拶してくれたとき、挨拶を返さずに、「アリさんが喧嘩していたんです」と急に喋ったことがあった。
(中略)
それから、バス停でバスを待ちながら土遊びをして手が汚れてしまったとき、タロウが、「バスが来たら、運転手さんに『手が汚れちゃったんです』って言う」と言い出したことがあった。そんなことを急に言われても運転手さんは困惑するだろうし、バスに乗るときはサッと金を払ってスムーズに着席しないと他の乗客に白い目で見られるから妹子は急ぎたい。だから、「今、拭いてあげるから、そんなこと言わなくて大丈夫だよ」とウェットティッシュで拭いてきれいにしてあげたのだが、いざ、バズが来て乗り込むと、タロウは運転手さんに向かって、「手がきれいになったんです」と手を広げて見せた。運転手さんは、「良かったねえ」と言ってくれたが、わけはわからなかっただろう。
(中略)
それにしても、「黒トンボを見ました」ではなく、「黒トンボがわかりました」というセリフは、ちょっと可笑しい。
「行ってらっしゃい」という挨拶に対して「黒トンボがわかりました」と返して構わないと考えるタロウの謎のセンスを、この先どうやって導いていけばいいのか。
いや、「挨拶には決まったフレーズで返さなければならない」「雑談は、相手が受け止めやすいセリフを、軽く放たなければならない」といった思い込みのある自分がまだまだなのか。
もしかしたら、タロウは、挨拶というものに無限の可能性を見ていて、だからこそうまく返せないのかもしれない。なぜ、自分の言いたいことではなくて、定型のフレーズを言わなくては���らないのか、と毎回疑問を覚えて言い淀んでいるのかもしれなかった。
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リボンの男、お金に縛られず色々な無金といわれる類の活動の結び目になれるはず…。
人間の活動はみどりのように外へ外へと広げるものと、妹子のように細分化していく2パターンがあると知った、ページ数も少なく読みやすい〜。
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15分くらいで読み終わっちゃって全然おもしろいとも興味深いとも思わなかったんだけど、でも人気な作家さんだし「人のセックスを笑うな」の映画はおもしろかったし、この無感想状態の原因はなんだろうって考えながら著者紹介を読んでいたら、「目標は『誰にでもわかる言葉で、誰にも書けない文章を書きたい』」って書いてあって、ああそうかと合点した。わたしはどちらかというと内容そんな大したことなくてもこの文章すげえええ文才やべええええってなる本の方が好きなんだと思う。だからこの著者の文章とは合わなかったんだろう。「わかる人にしかわからない文章で、誰にでも書ける文章を書きたい」みたいな方が読んでいて楽しいんだと思う。谷崎潤一郎『痴人の愛』とか。あるいは、村上春樹全般とかハイデガー『存在と時間』のような「誰にもわからない言葉で、誰にも書けない内容を」みたいなわけわかんない難解書に果敢に挑みかかって結果なんにもわかんなくて悶絶するのも好き。次はなんかもっとめんどくさく複雑に執拗にこねくり回したような文章の本を読みたい。