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「運べない危機」の到来が、あるべき物流の課題を明確にしつつある。運べなくなるからこそ、運ぶことが優先され、荷主のムリがとおらなくなり、ムダ・ムラ・ムリの是正に力点が移りつつある。危機はもはや一時的なものではない。これからさらに深まるからこそ、荷主にあるべき物流の姿を提案し、具体化していける会社が、役割発揮度を高める。著者は、ドライバー不足の対応は、「①若手のドライバーの参入を増やす。②既存のドライバーを有効活用する。③トラック輸送から他の輸送モードに転換する。④自動運転トラックの実用化を進める」があるとするが、これらのうち、荷主企業が最優先して取り組むべきは、②のドライバーの有効活用とし、「①顧客との取引条件の見直し、②他社との共同化、③ロジスティクスの展開」を行ういくつかの企業の取り組みを紹介。
第1章から第3章までは、物流の最新動向を解説しつつ、あるべき物流の姿を説くとともに、在庫管理やロジスティクスに求められるものも詳しく解説。第4章では物流コストをどうつかみ、管理するかを、ABC管理を交えて解説。第5章では、ドライバー不足を契機に、そのありかたが大きく変わりつつある物流業界の動向を、行政の動きを交えて解説。第6章は、人手不足を踏まえた、作業の自動化・省人化の最新動向を、トラスコ中山の「プラネット埼玉(幸手)」とパルタックの「RDC埼玉(杉戸)」を例に上げ解説。第7章ではBCPを、第8章では環境対策を取り上げている。
最新の動向が知ることができるうえに、物流・ロジスティクスの基本を理解するのに好著。