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ベルさんが過去を清算するべく旅立つ7巻である。
遠い東の「大地のヘソ」に居るという覇王剣パーシヴァルとの再会を目的とした物語は、過去に囚われた彼と再会を果たすところまでが描かれている。
物語は旅行くベルグリフらの視点と、大地のヘソで異様な男を見守る二人の女性の視点が交互に描かれる形だ。
こうしたスタイルは、父娘の両視点で進んでいたこの物語としては常道であるが、それだけに過去に囚われた彼の人の苦しみが際立っている。
再会のタイミングも最悪で、慣れぬ旅路に寝込むベルグリフは声をかけることもできず、旧友が死地に飛び込む様さえ見ることができなかった。
物語は彼らのぶつかり合いまで描かれているが、そこまで到れたのがアンジェリンあったればこそというのが心憎い。この物語らしい演出だろう。
楽しく読ませていただいた。星五つで評価したい。
なお、書籍版の書下ろしは「辺境の夏」。グラハム、シャルロッテ、ミト、ビャクの四人が過ごすトルネラの風景が描かれ、すっかり所帯じみたビャクが笑いを誘う短編だ。
初回版限定封入特典「連れてけエルフ」はオルフェンでマルグリットに捕まり、連れてけ連れてけされてしまう掌編である。
どちらも本編のこぼれ話で、特典として魅力的な部類である。