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大学のボランティア論の授業でオススメされて。
薄い本であるため簡単なのかと思って読み始めたのだが、一読しただけでは全てを消化できないほど深く切り込んだ内容だった。
何度も読み返して自分の言葉で語れるようになりたい。
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ボランティアの三原則、''自発性'' ''無償性'' ''公共性''。
''ボランティアでは続かない'' 善意や使命感だけでは活動は持続しない。対価が発生しないと継続が困難。では、専任職員を置き特定非営利活動法人や一般社団法人にすると組織の継続が目的化し、会費や寄付が必要となる。有償職員とボランティアの意識の溝が深まり活動が立ち行かなくなる事もあり、''ボランティアでないと続かない''面も有る。
やりがい搾取、東京オリ・パラでのボランティア募集は11万人だった。食事と制服は提供されるが交通費、宿泊、日当等はゼロだ。
そもそも現代オリンピックは巨大な商業イベントだ世界的企業がスポンサードし高額なTV放映権や商標使用料等、なのに会場運営に無くてはならないスタッフの大半は無償。
日本は、貧しい人や障害のある人、ホームレス等と境界線が引かれ目にする事が少なくなってる。そんな人々へのボランティア等の支援は特別な事で、ボランティアってなるとメディア報道の災害や響きの良いオリンピック等、綺麗な街の奉仕であって境界線を超えた人達のそれでは無くなっている。
重度障害者への上から目線ボランティア、可哀想な人達に何かをやっているという意識が既に差別的で抑圧的だ。
単純に他人の為に無償で活動するという事に、する人される人、第三者で思惑が違い真面目に取り組んでも反対の捉え方をされる。(贈与のパラドクス) 黙々と作業してさっさと帰れば良いじゃないのって思います。人なので自身の行動を誇りたい、言動にしてその行為を確定させたい、とか判りますが利他的な行動が大切で滅私だと思います。ですが災害復旧等では人手が足りない状況でしょうからそこは、ボランティアの正義みたいな議論必要なく作業者として淡々と活動する事だと思いますし、その様な場合は有償ボランティアでも良いのでは無いか。
兎に角、ボランティアは自慢する事では無いし他人に知らしめる事でも無く自己満足の追求でも無い、勿論代償を求める事でも無いです。被支援者に寄り添って活動する。
ですが巷では、災害ボランティアでメディアに露出や企業ボランティアで社内評価有りきで活動する人達が非難もされずに評価されてるって不思議な社会だと思います。
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「ボランティア」という広義的に捉えられる言葉にモヤモヤしたイメージを持っていました。
私自身ボランティアだと認識すらせず活動したこともあれば、イヤイヤ半ば強制的にやらされた活動もありました。「ボランティア」という言葉が一人歩きして、本来の主旨を見失って活動したことで生じたギャップに対して抱いたイメージなのかもしれません。
ボランティアの特徴としてよく無償性があがりますが、私も本書の指摘にある通り実質的に無償ではないと考えています。
普段出会わない人と交流する中で、これまで見てきたものとは違った世界や、その世界が抱えている課題が見えてきて、そして活動をしている意味も変わり、新しい意味を手に入れる。要は、その活動を通して、表面的な無償性の中から何か(見えない対価)を見出し、自らの人生のプラスにすることが重要であると思います。
それは自己満足ではないか?ということについて、本書の「アルバイトは自己満足ではないのか?」という問いが深く刺さりました。
お金という対価があるから自己満足ではないのか?お金=幸せとは限らない、アルバイトで友人と過ごす時間も減るし、企業の製品は発展途上国の児童労働によって製造されたものかもしれない、またその活動によって貧富の格差や環境破壊をもたらしているかもしれない。であるならば、給料という対価のために働くことは自己満足と言うことも可能だと言える。しかしそう言われることはほとんどなく、労働を「お金」に変換し対価としてもらい、対価が発生しないボランティアは自己満足という声がついてまわることになる。
「ボランティア」とは、自分の役割を小さくしたい(支出を抑えたい)国家の考えと利益がなくてやりたがらない民間市場のサービスから漏れ出たマイノリティを支援する、ある意味で社会システムの潤滑油であると言えます。ボランティアがなければ、社会システムは上手く回らなくなる、そうであるならば単にボランティアをシニカルに批判するのではなく、活動を通じて他者と交わりながら国家や市場システムを掘り崩していく身振りを身に着けていくことが大事だと感じます。
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アルバイトが金銭的な対価だけでは測れないものという話から、経験によって何かを享受する以上ボランティアも同じような見方が出来ると思う。
働く上では金銭報酬という部分が気になってしまうことが多いけど、それ以外のものさしもあると思えるだけで心のゆとりができそう。
あれこれ考えても実際にボランティアやったことほとんどないからやってみたい。
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ボランティアって、なに?
え、ボランティアはボランティアでしょ、と単純に思った。
本書を読んでいく中で、ボランティアは思っている以上に肩身の狭い思いをする、でもそれ以上に他者との関わり、自分の存在意義を構築してくれる場でもあると感じた。
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本書は、一見自明に思えるボランティアという行為の本質を、「自発性」「無償性」「公共性」という3つの切り口から探求した、ユニークな一冊です。
著者は、ボランティアについて真面目に考えすぎず、ゆるく非真面目なアプローチを取ることで、読者の心に寄り添いながら、ボランティアの奥深さと面白さを伝えています。
ボランティアを始めたい人、長く続けてきたけれど疲れを感じている人、さらにはボランティアに全く興味がない人をも対象に、ボランティアの意義や魅力を平易に解き明かしている点が本書の大きな特長です。
「自発性」の章では、自らの意思でボランティアを始めることの重要性を説きつつ、周囲の期待に応えるためについやってしまう「他発的ボランティア」の罠についても指摘しています。
「無償性」の章では、金銭的な見返りを求めないことがボランティアの基本である一方で、「無償だからこそ得られるもの」があることを説得力を持って論じています。
「公共性」の章では、ボランティアが社会の「公」を支える営みであることを再確認しつつ、「私」的な動機との両立の難しさについても触れています。
各章の議論は、著者の経験に基づく具体的なエピソードを交えながら展開されており、読者はボランティアの現場の臨場感を味わいながら、その本質について考えを深められます。
一方で、議論の展開がやや散漫になる場面もあり、ボランティアについてのより体系的な理解を求める読者には物足りなさを感じさせるかもしれません。
しかし、ボランティアの意義や面白さを、ゆるく非真面目に伝えるという本書の目的は十分に達成されていると言えるでしょう。ボランティアを多角的に考えるための入門書として、一読の価値は十分にあります。