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全編まじめで論理的でノリツッコミなとこがすき。
なんだろうこの被観測者感。人間たちは皆自分が唯一の観測者だと思いがちだけど、私たちは観測されている。未来に。
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SF短編集。淡々とした語り口がインターネット世代には読みやすい。
透明人間の話、「見てのとおり(見えない)」
オーウェル「つらい監視社会」の時代は既に終わり、私たちが向き合わなけれはならないのは「たのしい超監視社会」。
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冬の時代:どこかで読んだような話。ポストアポカリプス。二人組。旅
たのしい超監視社会:作者が書いている通り1984 とはまた違った思想のSF。面白い。続きが読みたくなる感じ
人間たちの話:人間関係の複雑さと、研究者としても研究の話と、累という姉の子どもと同居する話。一人だと生まれてきてよかったのと考えるといった形の発言がすごく心に残った。
記念日:石が部屋にある話。人間には死ぬ機能がある
No reaction:透明人間の話。設定がすごくおもしろい。透明人間はこちらの世界に干渉できないという設定初めて読むので面白かった
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センス抜群でとても読み易いSF短編集。カバーイラストも良い。シニカルで現実味のある表題作と漫画チックな「宇宙ラーメン重油味」が印象に残った。まだデビュー3年、今後も注目していきたい作家さん。
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楽しい。
表題作を含む6篇の短編集で、それぞれが全く異なるテイストながら、表題作のタイトルがそのまま各篇をも言い表すという。厳密には人間じゃないのもいるけど(表紙の右下に薄〜くいる)。
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著者については何も知らず、「名前の読み方がワカラナイ・・・」と思いながら、分からないまま、表紙がかわいかったのと、最初の作品の1ページ目を試しに読んで、すごく気に入ったのとで、そのまま読んでみることにした。
あまりにおもしろくてビックリした。
まず最初の「冬の時代」を読んで、こんなに短く、かるーい感じで書いているのに、ページじゅうからにじみ出ている知性に驚いた。
理系のひとなのかな?と思いながら読みすすみ、次の作品で、同じくかるーい感じで書いているのに、大変に骨太・社会派なことにまたまた驚く。
めちゃくちゃおもしろいんですけど・・・と、手にした時には想像もしなかったほどの質の高さにちょっとヨロめきながら、次の作品へ。
表題作「人間たちの話」の導入部、多孔質の岩石の描写を読みながら、「ああ、これは文系には書けない! ぜったい理系、しかも研究者クラスだ」と思って、そこでいったん中断してインターネッツで調べたら、やっぱりそうだった。
立花隆がどこかで書いていた、文系と理系の深く超えられない溝についての文章が頭をよぎった。(大昔に読んだのでおぼろな記憶だけど、理系科目の重要性を説きつつ、運動の第二法則も知らないなんて世も末だ、的な、おバカ大学生に対するお小言だったような…)
しかしこの人の素晴らしいところは小難しいことが全然小難しくなく、おもしろおかしく、かつゆるーいタッチで書かれているところだ。
運動の第二法則が分からない頭でも(=私のことですが)全然理解できます。
なおかつ、骨太社会派。ほぼすべての作品に、現代社会の「なんだかなぁ」と思うところへのツッコミというか、パロディというか、そういう要素が入っている。
この「人間たちの話」について巻末で「宇宙生命とのファースト・コンタクトは探査機ではなく会議による認定だろう、という個人的確信にもとづいて書かれた」とご自身で解説されていて、ちょっとウケた。
確かに、そうかも、なるほどなぁ、と思った。もちろん私も宇宙関連のニュースは好きなのでいつも興味を持って見ていたけど、私はそういう発想にはもちろんいかない。なんておもしろい人。
そんなこんなで、非常に楽しんで読んだ。すっかりファンになってしまった。
どの話も、私の極めて貧困な発想のナナメ上の方向に進んでいくので、おもしろくてしょうがなかった。
「宇宙ラーメン重油味」のジローさんの過去と現在の状況って、もう一つの「ブレード・ランナー」よね。
見た目も怖い感じのロボットを想像していたら、表紙のジローさんの予想外のかわいさ!
一番好きなのはやっぱり一番最初の「冬の時代」かな。表題作と僅差でですが。
最初の1ページ目を試しに読んだときに感じた「この文体、このキャラ、このネーミングセンス、好きだ!」という第一印象は最後まで変わらなかった。
もっとふくらませて長編にしてほしいなぁ。
「横浜駅SF」も絶対読もう。
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おもしろすぎ!
1日1話でゆっくり読むつもりが一気読み^^;
最後の『 No Reaction』、著者の核というか根っこの部分かなと思いながら読み終え、引き続きあとがきを読んで納得(あとがき自体も楽しい)。
とにかく抜群のセンスとテンポのよい文章。
出会えて感謝の、ドストライクな一冊でした!
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かわいい。
あらゐけいいちさんの表紙もかわいい。登場人物がみんな描いてある。かわいい。
いすかりさんの書くものの登場人物はみんなちょっと抜けてたりずれてたりしてかわいい。そして特殊な状況の話でも、特別でなくそこらへんの人の話に見える。ちょっとした困惑とかちょっとした毎日の楽しみとかが親近感を湧かせるからか。
たのしい超監視社会 もちろん1984年のオマージュで、小川哲さんのデビュー作にも似たような話があるが、このテーマでさえ登場人物がかわいい。金田くんとケイも思いだすが、金田くんサイドが普通でひょろいので当然宇宙は産まれません。
石の話 マグリットかよ、と思ったらマグリットだった。著者は悩んでるっぽいけど、結構好き。
借りて読んだけど買おうかな
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「これ、重油だよね?」
「ええ。疎水性体質のお客さんにいいと思いましてね」
「やっぱりなあ。ガソリンじゃ味が軽すぎると思ってたんだよ。うれしいなあ」
という、太陽系の片隅に浮かぶなんでも作ります系ラーメン屋の短編『宇宙ラーメン重油味』ほか5篇収録。
コンセプトは奇書だけど内容は堅実な技術系SF小説、「横浜駅SF」の著者イスカリユバ先生の初短編集です。
元大学教員らしい(?)理屈っぽさが魅力の作家さんです。
宇宙ラーメンが一番好き。
いろんな異星人に飯を食わせるお話。
「たのしい超監視社会」
テクノロジーで一挙手一投足がすべて監視されている社会で、それが普通のこととして生まれ育っている若者たちが楽しく生きてる話。
路上で突然始まる「三分間ヘイティング」で敵対国家のヘイトを叫ぶ群衆には憎しみの感情はまったくなくて、単にゲームとしてそれをやっていたり。
「冬の時代」
全球凍結してるっぽい未来の地球を旅する二人の少年の話。二人が旅の途中で自律移動している車の中で冬眠している女の子を発見して…特になにも起きず(起こしたりせず)旅が続くのが好き。いやそこから物語が始まるんじゃないのか!ってとこで終わる。もっと読みたい。
「人間たちの話」
表題作にして一番長いお話だけど上手く消化出来なかった。
また読み返したい。
「記念日」
ある日自宅に帰ると部屋の中央に大きな岩がある。ただそこにある岩と共に暮らすシュールSF。ルネマグリットの絵画「記念日」を検索して横目に読む短編。
「No Reaction」
世界と全く相互作用を及ぼすことのできない真の透明人間が主人公。初期のネット投稿作っぽさが今の作品と少し違う雰囲気になっている。
自分から触ったり見たりすることは出来るが作用反作用もなく視覚以外のなにものによっても知覚されない彼は実存的存在なのか。それは読者のみぞ知る。
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短編集。それぞれ一風変わった話。夜、風呂入ったあとの寝る前の時間に1話ずつ読んだ。
未来の氷河期の浜松を旅する岩手出身の2人組の話。
「1984」の続編の2019年の日本の話。
火星の生命を発見する研究者が、失踪した姉の息子と同居する話。
巨石が部屋にある虚弱体質の研究者の話。
透明人間の話。
どれも妙な設定なのだけど物語としては完成している。面白かった。
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有りうる未来での、人間たちの短編集。
ほんとにそうなのかな?と思うような理学的な説明も相まって、こんな未来もあるのかもなと想像させられる本でした。
きっとこの方の書き方や、表現の仕方が好きなのだと思う。
短編の続きがもっと読みたい。もっと別の物語も読みたい。そう思える本。
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装丁を見て、昭和の時代の日本SF全盛期にたくさん発表されていた短編を思い出させて、とても懐かしい気持ちにさせられた。(ハヤカワ文庫JAだし。)
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SF短編6編。炭素化合物以外の地球外生命体がいるとしたら、複雑な形を作りやすいケイ素が有力と聞いたことがある。本作の中の一編「宇宙ラーメン重油味」はそんなケイ素人の口に合うラーメンを出す店、という話で興味深い。遠い将来「麺かため」みたいな感じで材料を指定してオーダーする時代が来るのかな?とか考えた。内容的にも本書の中で一番良かった。あとのはもう少し展開が欲しかった。ある日家に帰ったら部屋がマグリットの「記念日」状態になってる話とかは題材は超面白そうだったのに。
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作者の稲刈氏は、インターネットミームから着想を得た長編「横浜駅SF」でデビューしたことからもわかるとおり、どこかクスリと笑わせるようなジョークと皮肉が効いた舞台設定が持ち味の作家だと思う。今回の収録作だと「たのしい監視社会」はその持ち味が十二分に現れていると感じた。他方で、表題作の「人間たちの話」は生命の定義を巡る大人の論理(とそれを見る子供)の話で、リアルで生々しく、どこか不器用な人間な描かれる。じわりと刺さったトゲを飲み込んで、生きていこうとする現実の人間の話だ。この作者はこのような作品を書くのだなあと感じたし、これを表題作に持ってきたことに強い意志を感じさせられた。
ちなみにわたしが一番好きな作品は「宇宙ラーメン重油味」。「人間たちの話」の直後で、しかも同じ地球外生命体をテーマにして、これか~~~い!と思わずツッコミたくなる素晴らしいバカバカしさ、楽しさ、面白さ。ああ、こういうのが好きでわたしはSFを読んでいるんだなあと思い、読後はしばらくニヤニヤと温かい気持ちに包まれた。引き出しの多さを感じさせられるよい短編集でした。
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どの話もとても面白かったけど、一番好きなのは「宇宙ラーメン重油味」かな。ラーメン好きとしてはたまらない。「人間たちの話」は今まで読んだ中で一番リアリティのあるファースト・コンタクトものだった。主人公の物事の捉え方に、幼少期の環境に恵まれなかった身としてはグッときた。人類が「個」ではなく「全」だと信じることができるなら、あり得たかもしれない自分を思って嘆かずに済むのかな。 「たのしい超監視社会」:人は不自由だと結構自由。ユートピアでは?