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今読んでいる本がとてもヘビーなため、箸休めに入ることに。
岡尾美代子さんの著書では『Land Land Land 旅するA to Z』が大好きで、何度も読み返したものだ。無類の雑貨&旅好きで、お土産や旅の必須アイテムを紹介したその文庫本は、旅への憧れを加速させた。乾燥した機内でハーゲンダッツを食べる習慣は、自分の旅でも完コピさせてもらっている笑
ご職業がスタイリストなので、前半はお洋服の話がメインだった。お気に入りのファッションやデザイナーさんとのインタビュー等、また新しい岡尾さんの美意識、「センス」をそれらから感じ取ることができた。
とはいえ雑貨好きはご健在のようで、『Land Land Land』以降にお迎えしたであろうお土産にも、結構なページ数が割かれていたりする。自分も雑貨に目がないので、やっぱりその辺りを一番堪能していた。
岡尾さんの雑貨の選び方は本当にユニークだけど、直感で手を伸ばしちゃうその感覚は分からなくもない…。
(掃除が苦手なのに)ついつい掃除道具を収集しまくった結果、似た形状のものが幾つか出てきたり…。これはあれだな、ザッカホリックあるあるだ。(ワーカホリックみたいに言ってみた笑) チーズの被り物(アメフトチームの応援グッズ)をどこで普段使いしようか妄想するくだりは、同志としては決して笑い事ではない…!
「センスとは五感の一つ。[中略]とても個人的なものだ。[中略]誰もが認めるセンスの良さ、それはセンスを超えた『才能』だから、そんな高みを目指さなくても、自分のためのセンスを鍛えることが大切なんじゃないか」
お洋服に雑貨、食品etc...と感性の赴くままに好きなものを見つけ、自分のもとに引き寄せる岡尾さん。そんな彼女の言葉を辿っていくと、「センスが良い/悪い」という言い方はそもそもナンセンスだという気がしてくる。
岡尾さんも仰るように、特に服は「流行のものを身につければセンスが良く見える」と捉えられがちだ。「その年のユニフォーム」を着るシーズンが過ぎても、流行遅れと気後れせず着続けられる風潮だったら良いのに…と何度願ってきたことか。
岡尾さんのように気兼ねなく自分の好きなスタイルを貫けたら…。(それが自分にしっくり来るものであれば尚更良い)
そのちょっとしたヒントが、アパレルブランド”THERIACA”(テリアカ)のデザイナー濱田明日香さんとの対談にあった。濱田さんは現在(2020年刊行時)ベルリンを拠点に活動、感性のままに創作できるよう「流行ファッション」と距離を置いているという。そのスタンス…羨望の眼差しで見ずにはいられません…!
更に「服作りの楽しい・難しい点」という質問に対しては、「着られるところと(人体の大きさや構造は変わらないので)クリエイションに限界があるところ」と回答。
そうした自由なビジョンでいけば、「TPOさえ守れば、型にハメて服選びしなくても良くね?」とさえ思えてくる。それでも迷った時にはまた、『Land Land Land』みたいに本書を読み返していこう。