投稿元:
レビューを見る
ミステリの形態を取っており、読書のハードルは下げられている
しかも、こう言ったタイトルに有りがちなビブリオミステリではなく、考察の対象はあくまでも人間
これはより本書の主旨を踏まえたものと考えられる
目的からブレておらず、且つ物語として楽しめた
投稿元:
レビューを見る
活字中毒の同級生・藤生さんと図書新聞を作ることになった読書嫌いな荒坂くん。自分で書く手間を省こうと先輩や先生、同級生に読書感想文を頼んだら、恋愛トラブルや自分の過去、虐め問題に学校の怪談まで降りかかって大変なことに。無事、図書新聞を完成させて、放課後の図書当番を免れることは出来るのか?謎多き女子高生・藤生さんとこれまた謎多きイケオジ生物教師・樋口先生との三角関係も?といった内容です。
『メタルギア』で有名なゲームクリエイター小島監督が依頼もないのに推薦文を書いたと話題になっていたので読みました。「ビブリオものって何?」というレベルで小説を殆ど読まないのですが、タイトルやテーマから察するに私のような読者もターゲットなのでしょう。
人間関係もミステリー(?)要素も分かりやすくスラスラ読めました。読書とはどういうものかという作者が伝えたい主張もハッキリと出てくるので得られるものも単純明快で気持ちが良いです。作中に登場する本が中学校の国語で出てくる『少年の日の思い出』、高校の国語で出てくる『舞姫』、短編の『赤い繭』と読書嫌いな読者が興味・理解を持てるように工夫がなされてるのも好感でした。読書嫌いな主人公の荒坂くんが難解な古典を使って謎を解いていってもおかしいですしね。読書嫌いでも読めるし、読書好きは頷きながら読めると思います。前述の通り小説は殆ど読まないのですが、(良い意味で)大したことのないミステリーがドンドン湧いてきて解決していく感じは『氷菓』みたいだなと思いました。本当に読まない人間の感想ですよ(強調)。孤独に頑張る藤生さんや恋愛で悩む同級生の八重樫くんは可愛いですし、主人公の荒坂くんは生き様がカッコよく、影のある緑川先輩は共感出来るなど登場キャラクターも不快感がないので、キャラ愛だけでも読み進められるのではないでしょうか。
物語を通して荒坂くん視点で描かれるのですが、読書嫌いなはずなのに地の文でやけに小難しい表現をするのが気になりました(例:幕間に・便覧・一縷の・反駁・気色ばんだ・頽れる・詳らかに・悄然etc…)。荒坂くんは一種の天才でもありますし、学校のレベルも分からないからと自分を納得させて読み進めましたが、小説としては普通なのでしょうか?
>「一般庶民はね、小説を読んで初めて、自分以外の人間にも感情があることを知ったんだよ」
>「現実に嫌な人が現れても、たくさん裏読みをすることで『何か理由があるんじゃないか』『前向きに受け止めよう』って思えるんです。だからなるべく本を読むようにしています。いろんな考え方ができるように。他人の言葉をひとつの意味にしか解釈できないと苦しくなってしまうから、逃げ道をたくさん作っておけるように」
『ケーキの切れない非行少年たち』という本の中でも融通の利かなさや思考の硬さが被害感につながるとの主張がありました。読書を通して柔軟な思考を手に入れて物事を見ないと取り返しのつかないことになってしまうよというのが作中で示唆されています。下手にやると説教臭かったり、脅しのように感じてしまう部分を上手く物語で伝えてるなと感じました。
>「この世にある物語は、すべて予言の書になり得るからです」
>『本を読むことは現実逃避なんかじゃなく、現実に立ち向かう術のひとつだよ』
読書をしているからといって現実性がないわけではない。ただし、現実に立ち向かうには一歩進む必要がある。そういった姿勢を藤生さんが作中で体現してくれています。普段、本を読まない方が現実で問題にぶつかって読書をせねばと本書と出会う場合もあるでしょう。藤生さんから勇気と後押しをもらえるはずです。
>読書はいつか訪れるかもしれない未来をシミュレートできるものだとは聞いていたが、どうやら先輩は「少年の日の思い出」を読んで、謝っても決して許されない状況があるという思い込みに囚われてしまったらしい。
読書推奨小説だと思って読んでいたら読書の危険性にも踏み込んでいて非常に好印象でした。こちらは前述の解釈を増やして苦しまないようにするという考えが解決策になりますね。実際、荒坂くんと藤生さんは思考の柔軟さでトラブルを切り抜けていきます。
最後に、とにかく荒坂くんの生き様がカッコ良いので、一番印象に残った台詞を紹介しておきます。
>自分が相手に向けている感情と、相手から自分に向けられる感情が常にイコールで繫がっているわけではないし、そうである必要もないと思っているので、嫌われても落胆しない
荒坂くんのようにありたいものです。
投稿元:
レビューを見る
青春ミステリー風の物語でありながら読書の面白さや醍醐味が散りばめられていてとても面白かったです。
読書嫌いだった主人公が少しずつ本に興味を持っていく姿もなるほどなと思いました。興味の持ち方は人それぞれですし。
作中に登場する物語をきちんと読み直そうと思います。
投稿元:
レビューを見る
場面場面で色々想像しながら読むのが読書の楽しい所ですよね。
彼らのその後の話がまた読めたらいいな。
投稿元:
レビューを見る
タイトルと表紙のイラストに惹かれて購入した。
読書が嫌いな荒坂君が藤生さんによって変わっていくところが良かった。
同級生の八重樫とアリシアの読書感想文、生物の樋崎先生のエピソードが印象に残っている。
本当に愛し合っている2人は、考えることも似てしまうのだと。
どんな人物に共感するかは人それぞれだが、手紙に対する返事のような読書感想文には、心打たれた。
樋崎先生のエピソードは、正直 私も藤生が娘である可能性を期待していた。期待を裏切られたと同時に、この小説の素晴らしさを痛感したものである。それでもやはり藤生の父親が誰なのか気になってしまうのは、私だけだろうか。
荒坂君が共感覚であることには、凄く驚いた。
確かに、序章の時点でそれらしいことは書いてあったような…。
投稿元:
レビューを見る
若い読者の皆さんがどんな本を読んでいらっしゃるのか、興味はそこに在って、読み始めてみるとそこそこハマりました。
いわゆる「学校の怪談」ネタなのですが、図書委員のお二人と生物の先生が、ヘッセ、鴎外、安部公房の小説の周りで、「謎と推理」の世界をつくるわけで、三人のキャラにもシラケなかった。感想はブログに書きました。できればお読みください。
https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202007150000/
投稿元:
レビューを見る
物語は予言書であり参考書である、という見方が面白かった。
読書感想文を思わず書きたくなる、そんなお話。
投稿元:
レビューを見る
どうして人は本を読むのか…本は予言の書だ。
…というくだりで、うんうんジュール・ヴェルヌとかドラえもん的なね!と頷いていたら違うかった。
そうか、人生のシミュレーション的な意味でか。
読書が嫌いなのに暇だろうと言う理由で図書委員になった高校生男子が、本嫌いを理由に読書新聞を編集することに。本の虫の同級生女子と活動をはじめるが、感想文を依頼したり読んだりしているなかで、「ナゾトキ」をしていくことになる。
最初はさめているように見えた主人公にイラリとしてしまったのだけど、二人の「ナゾトキ」がすすむにつれ、物語の登場人物とはいえ切り取った一面しか見ていなかったことに反省。
作中に出てくる小説やモチーフはだいたい繭が出てくる。ネタバレしてしまったものもあるんだけど、ストーリー上避けれないのと、ほとんど教科書掲載作品なので、たぶんセーフ。
この夏は安部公房の作品を読んで悪夢にうなされてみようか。
読書嫌いの人がどんなとこが苦手なのかも垣間見れた。
なんとなくだけど、生物の先生は盛口満先生に触発されたのかな?と思った。タヌキの皮的に。
司書としては、学校図書館って言って欲しいけど、図書室という言葉の響きにノスタルジーを感じるのを認めるのは、やぶさかではない。
先生ではなくて、師匠…違った司書と呼んで欲しいなあとかね。
続編が出たら、また読みたいな!
投稿元:
レビューを見る
面白かった!人がどんなの本の読み方(頭の中で音読してるか、実写かアニメかなど)をしてるか考えたことなかったし、文章にない部分を勝手に解釈するのも当たり前だと思ってたし、目から鱗だった。(楽譜の読み方や音の取り方はたまに話題になるが人それぞれで大変興味深い。読書も同じだったのね!)
読書嫌いなわりに、ちゃんと読み込んでる主人公に引け目を感じるな…。ま、それも人それぞれってことで。今後も読書談義を読みたいのに新聞一回作って終わりなの?
投稿元:
レビューを見る
読んだ事のない著者、ライトノベルっぽい装丁。チョット腰が引けたけれど、このところ動画配信に捕まって読書量が著しく落ちていたので、もしかしたら何かヒントをもらえるかと読んでみた。
読書ってなんだ、何のために読むのだ?
私も時折そんな事を思う。
タレントで読書家として有名な男性が亡くなったとき、いったい彼は何を残したのだろう、読書に費やした時間で何を得たのだろう?
死んでしまったら何の意味もないのではないかなどと。
「読書はいつか訪れるかもしれない未来をシミュレートできる」
本書の中でそう語っていた。
それもひとつか。
読書は人格を高めたり、人間性を豊かにしたり深くしたりとよく言われるけれど本当なのだろうか。
読書をしないことによる弊害を具体的に教えて欲しいな。
本書、その内容はタイトルからは連想できない学園物ミステリーでした。
読書嫌いな主人公と彼と行動を共にすることとなる本の虫の女子。
彼らは図書委員として学校新聞の復活に動くことになるが、そこに浮かんでくるひとつの事件、生徒の自殺未遂事件、に突き当たる。
高校生活にありがちな日常と青春が謎解きに絡んでくる。
ふと目に止まった生徒のイジメの上履き隠しが、過去の自殺未遂事件の関係者である教師の胸の内にある暗い記憶を蘇らせ秘密を隠し続けることの苦しさを増加させる。その苦しみから逃れたくなった姜氏はある行動をとる。
彼の行動、そしてかつて主人公が遭遇した絵画紛失事件が謎解きの端緒となる。
主人公の読書嫌いも伏線となっていて、読書嫌いの原因である彼の特異な能力も謎の解明に一役かっているのが面白い。
投稿元:
レビューを見る
本のことをしゃべるとき以外はおとなしい女の子と読書が苦手な男の子のバディといえば『ビブリア古書堂』を連想する。変化をつけたラストはたしかに予想の延長線上にはなかったけれど、予想通りのほ方が面白い展開になっていたのではないかとも思う。ただの「本の読みすぎ」なのだろう。藤生さんにいまいちグッと来なかったのは、表紙イラストの藤生さんが私のイメージした感じと違っていたからかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
主人公のひねくれてるけどまっすぐな性格に心打たれた。
藤生に対する態度や何だかんだ言ってちゃんと新聞作るところとか。
謎解きシーンも難しすぎなかったかのよみやすかった。
ちょくちょく難しい表現とかがまじってて本が苦手な人には少ししんどいかも。
投稿元:
レビューを見る
タイトル通り活字嫌いの私でもさくさく読めた
ライトノベルよりの文章で読みやすく物語の中で読みたいと思える本をいくつか発見できるので読書初心者の方におすすめ
投稿元:
レビューを見る
長女の中学校の「図書館だより」でお勧め紹介されていた本である。
高校生が主人公。
ライトな感じで読めるかなと思いきや、イヤイヤ、ミステリー感が強く、不倫やいじめ等てんこ盛り。
以前に友達から、
読書が好きな私に「現実逃避しているなぁ」と言われて、妙に納得してしまった事を思い出した(笑)
「人はどうして本を読むのか」
そんな事を改めて考えさせられた1冊だった。
当時の中学校図書室司書さんにアッパレ!
投稿元:
レビューを見る
2020/10/25 読了。
図書館から。
著者作初。
面白かったです。
感想文を通して・関して、
個人の背景があっての小さな日常ミステリー。
主人公くんの違和感も最後にちゃんと明かされるし、
女の子が勇気出す一歩も素敵でした。