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玲斗が、少しずつ成長していく姿が、良かった。自然のままだけど、周りを動かす力があった。人の想いを思いやることの大切さ。こういう感じの東野圭吾さんの作品もう少し増えたらなぁとか思ったりして(*´艸`) クスノキに頼らなくても、向き合うだけで伝わること感じ取ろうとすること大事だなぁ…千舟さん、最後にいい言葉言いましたね☆
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人の想いを記憶し、伝えたい人にまたその想いを伝える不思議なクスノキの話。それを伝える柳沢家の片隅で、グレかかっていた玲斗を救った伯母千舟とのやり取りからクスノキの番人としての成長記。天才と言われた兄の最後の思いをクスノキに託して、それを受け取った弟の娘が最後に音楽として再現するところなどはちょっと感動的。けっこう玲斗の成長記でもあり、最後はそこそこの成長をしてハッピーエンドに近い形でちょっとほのぼの。
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ほっこりほっこり。いま、この場にひとりだったら、泣いてていただろうな。謎が解けていく、確かにミステリーだけど、「信じる」とか「伝える」とか、そういうことを大事にしたいと思う、心を動かされる物語だった。
褒められることで自分に自信が持てること、叱られることでこの人は自分のことをどうでもいいと思っていないと気付くこととか、真摯に向き合えば相手も同じ態度を返してくれることとか(返してくれない場合は、その程度の人ということとか)、当たり前っちゃ当たり前だけど、じゃあ自分ができているかと言われると・・・。玲斗はどうやってできあがったんだろう。ちゃんと愛情をかけられてきたんだろう。ということは、やはり自分の周りの家族に誠実であることだな。優美が父を決心させる「家族なんだから」って言葉も、なんだか響いた。私ならクスノキさんに何を預けるだろう。
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願いが叶うと言われているクスノキ。
その番人を突然任された玲斗とクスノキの元へ祈念に訪れる人々と織りなす物語。
主人公の玲斗の生い立ちがあまりよくなく、
世間知らずで常識知らずな所から千舟と出会ったことで
色々な人間と関わることになり、
人としてどんどんと成長していき、
今まで自分の生い立ちや生き方に後ろめたかった
玲斗が生き生きしていく様子が誇らしく見えました。
それと同時にクスノキの元で出会った優美との
存在も大きく、感情が徐々に変化していくのも
成長の大きさにもプラスされていき
時には微笑ましさも感じられて良かったです。
前半は玲斗の生い立ちや家族関係、クスノキに携わっていた
千舟の過去や家族関係などとあらゆる登場人物の伏線のような
ものが描かれています。
何組かクスノキに祈念をされる人達が訪れますが、
この祈念には一般に神社で拝んでいるようなものではなく、
新月の時に預念をし、満月の時にその念を受け取ることが
出来るという特別な出来事。
その現象の詳細なからくりはストーリーが進められていくうちに
徐々に明らかになっていきますが、
そのからくりを解いていくのにも人との繋がり、
家族の繋がり、絆というのを感じられずにはいられません。
後半になってはそれぞれの秘密になっていた家族の内情や
繋がりが真相に迫っていくので一気に読んでしまいました。
例え普通の家族という形で見えていても、
その形は今や様々な形態になっています。
その形の中で自分がどのような立場でいるかによって
家族への思い方が違ってくるかと思います。
けれどどんな親子であっても子供を思っていない
両親などいないと思えるほどこの作品の中では
親が子を思う気持ちが十分すぎるほど伝わってきました。
どんな人間でも、生まれてきた理由があります。
という言葉が玲斗と同様にとても印象深く、
この作品のキーワードでもあると思いました。
家族の絆や繋がりについても描かれていますが、
それと同時に認知症についても触れられていて
生きていくうちに避けられない老いということにも
優しく触れられていたのですんなりと心に入ってきました。
「ナミヤ雑貨の奇蹟」を彷彿させるような作品で
SFファンタジーのようなテイストがありますが、
読んでいても読了後にも心がとても温まる作品でした。
ラストには玲斗の心強い未来のある言葉があったので、
数年後の玲斗の成長した活躍ぶりを見てみたいです。
シリーズ化になるのを切望します。
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途中までは東野圭吾にしたらややイマイチかなぁ、と思っていましたが、最後はきっちりというかほっこりさせて貰いました。ナミヤ雑貨店風のお話ですが、良かったです。
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自分が歳をとったせいか、重すぎる物語を読むのは年々しんどくなっている。帯やあらすじだけで見送ることもしばしば。そこに東野圭吾さんの新刊である。『秘密』『時生』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の系譜に連なる作品だそうだが。
これらはいずれも好きな作品だ。早速読み始めると、主人公はいきなり警察に捕まり、おいおいと思ってしまうが、そこに遠縁の人物が訪ねてきて、ある仕事をすることに。その仕事とは、タイトルにある『クスノキの番人』なのだった。
クスノキの番人の仕事というのが説明しにくい。「祈念」に訪れる人々の案内をするが、彼自身「祈念」とは何なのか詳しく聞いていない。いずれわかると、彼を指名した人物は言うのだが。そんな中、ある依頼に深入りすることになる。
主人公の生い立ちもそれだけで長編になりそうなほど複雑だが、その割には素直に突拍子もない仕事を受け入れる。助けられた恩もあるのだろうけど。何より、彼自身、番人という仕事の本質に深い興味があるのだろう。だから協力した。
ある中心人物の家庭環境というのがこれまた複雑だが、後を継いでまっとうに生きてきた。真相は主人公や娘の想像とは大きく違っていたが、もっと早く打ち明けていればよかったような。子を持つ親の立場として考えさせられる面もある。悪気は一切なかった。だからこそ残したかった。伝えたかった。
また別の、頻繁に訪れる依頼者も、主人公は動かした。彼は自らこの仕事の本質をつかみつつあった。それぞれの生まれながらの宿命。詳しくは言えないが、彼にはカウンセラーの適性もあるのかもしれない。あの人物といい、もうちょっとわかりやすく伝えなさいよと言いたくもなるけどさ。
読み終えてみて、それぞれの人物の違う顔も見えてきたりして、さすが東野圭吾という仕上がりだった。世界中が閉塞感に包まれている今、必要なのはこういうほっとして温かくなる物語ではないか。刑事事件が起きるミステリーは変わらず好きだが、時にはこういう清涼剤もいいよね。
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朝、目覚めると警察の留置場の中、罪状は-住居侵入・器物破損・窃盗未遂だ。
玲斗(主人公)は、一年ほど働いていた中古の工作機械を扱うリサイクル業者に忍び込んだのだ。
捕まった後、何者かわからない人物が弁護士を手配し、依頼人の言うことを守るのを条件に釈放されることになった。玲斗の遠縁にあたる親戚の女性だった。
初対面の女性から渡された名刺には『ヤナッツ・コーポレーション 顧問 柳澤千舟』と書いている。
その女性から質問をされた。
『将来の夢は?』
玲斗は『特にないっすねぇ。どんなふうでもいいから、とにかく生きていければいいって感じで』
千舟『わかりました。そういうことなら、私の指示に従ってもらうしかありませんね。ほかの誰でもない、これはあなたしかできないことですし』『あなたにしてもらいたいこと-それはクスノキの番人です」と告げられる。
月郷神社の境内の奥には、小さな神殿もあるが、管理すべき一番の対象は、太古から鎮座する荘厳さと迫力に圧倒されそうなクスノキである。その木には空洞があり、そこで祈ると願い事が叶うらしい。
入れるのは一人だけ、例外はない。
そして祈念するのである。祈念とは何か?
千舟からは、管理を命じられただけ、他は何も教えてくれないなかで、疑問だけが先行する。以上が、この作品の導入部のあらすじです。『クスノキの番人』は、人の死なない小説だとの前評判である。殺人事件はある意味において、ミステリー小説の醍醐味だが今回の作品には犯人捜しやトリックはないのです。
しかし、ミステリー性がないということではない。思考と論理を闘わせることなく、心穏やかにして読める小説。登場人物の生きざまを「後世に託す遺言小説」ではなかろうか。
「祈念」とは何かについては、自然に受けとめればよい。非科学的だと難癖をつける必要もない。四百頁を超える長編なのに、読後感は「もう終わってしまった…。」
実におもしろい!
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東野圭吾さんの作品は今まで読んできたものは、サスペンスタッチのものが多かったのですが、この作品はファンタジーのようなあたたかい作風でした。
以下、ネタバレあります。
たった一人の母親を亡くして生きてきたまだ未成年の直井玲斗が仲間から嵌められて、出所後、母の異母姉の柳井千舟という初めて出会った、ヤナッツ・コーポレーションの顧問の妙齢の女性から、月郷神社にあるクスノキの木の番人「クスノキの番人」を命じられたことから物語が始まります。
「クスノキに願い事をすれば叶う」という言い伝えはどういうことなのか?
玲斗は祈念にくる佐治寿明の娘の優美が父親の浮気を疑い、頼まれて一緒に真相を探し出そうとしていくうちに色々なことに気づいていきます。
クスノキに祈念する人には二種類あって、新月のときに来る人、満月のときに来る人があることなどを千舟は何もクスノキのことについて教えてくれないので、優美とともに調べていきます。
玲斗は生来、口が達者なこともあり、祈念にくる人々の問題をみつけて、次々に解決していきます。
ぞして問題が解決しただけでなく、そこにはすべてあたたかい空気があって、悪人もいない、殺人もないけれど、全て謎は解けて、誰もが心地よく読了できる、ありそうでなかなかない、素敵なストーリーでした。
「この世に生まれるべきでなかった人間などいません。どんな人間でも、生まれてきた理由があります」
という最後の千舟の言葉もよかったです。
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クスノキの巨木には不思議な力があります。それを代々護る番人も。不思議な力と、様々な家族の物語でした。
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月並みな感想ですが
とても心暖まる感動の1冊でした。
さまざまな登場人物の長くてドラマに富む人生。それに寄り添いながら1ページづつ一緒に進んでいける感動小説はやっぱりいいものですね。
玲斗くんのアフターストーリーもみてみたいです。
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念を預ける。言葉の力には限界がある。心にある思いのすべてを言葉だけで伝えることは不可能。だからクスノキに預かってもらうのだ。東野さんがそんなことを言うなんて…、と思いましたが、故人から念を受け取る人たちそれぞれの物語がよくできていてさすがだと思いました。
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主人公がどんどん成長していく姿も面白い。結構こういうネタは好きです。壮大なイメージはあまりないけど…楽しく読めました。
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願いを叶えてくれるというクスノキの古木。
それを管理する役目についた玲斗。
この玲斗は、いかにもいまどきの若者という感じで、軽いし、役目柄やっちゃいけないことをやっちゃうしで、どうしたものかと思ったけど、素直に成長する心を持っていてよかった。
クスノキへの記念の謎がだんだん明らかになって、ぐんぐん引き込まれていく。
玲斗の伯母の千舟さんも魅力的だったし。
佐治の祈念にこめられた想い。
その切実さが、、、
終盤、思いがけない展開に夜更けまで一気読みだった。
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東野圭吾さんの新作は、祈れば願いが叶うとされるクスノキを巡る物語。主人公の若者・玲斗が、ふとしたきっかけで伯母の千舟から「クスノキの番人」を命じられ、クスノキを祈りに来る人々の番人をすることで、クスノキに隠された秘密をしだいに明らかにしていく。老女+若者のコンビで「人のネガイ」に絡む話なので、辻村深月さんの「ツナグ」が思い浮かんだ。クスノキの謎は最後の方で明らかになるが、本作は序章でなんだか続編ありそうな感じの終わり方だったかな。450ページと結構な長編だが、面白すぎて一気に読めてしまった。
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こんな作品も描けるんだ〜と言う感想。
東野圭吾と言えば緻密で重厚で繊細さをいつも感じるが、この作品は、その傾向から離れた家族愛だな。
箸休めにはホンワカする作品だ。