紙の本
面白すぎる
2020/06/14 15:54
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投稿者:maesan - この投稿者のレビュー一覧を見る
ひさびさに、スポーツノンフィクションで面白い本を読みました。
溝口選手の本来の魅力を、詳細な取材に基づいた精密な記述で表現されています。
トレーニング方法の記述も綿密に書かれているので、アスリートの方々の参考になるのではないでしょうか。
あとがきの最後の一節がとても気になるのですが・・・
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自分自身がアウトロー気味のジャーナリストである上原善広さんが、伝説のやり投げ選手の溝口和洋さんを一人称で描いたルポタージュです。
18年にも渡って取材を行った集大成として、納得の名作に仕上がっています。
そもそもやり投げにも陸上にも全く興味のない私が読んでも、ぐいぐい本に引っ張りこまれて、溝口選手を隣に感じる位の魅力が有ります。
アスリートとしては破天荒というのは、飲む打つ買うを全てしているという所が大きく、言動が乱暴で野性味に溢れていたという事で誤解されていたのだと思います。
これを読むと誰よりも練習と研究い明け暮れ、既存の知識ではなく自分で気が付いた事をどんどん肉付けしていく事で、新たな理論を打ち立てて実行してきた、誰よりも真剣に競技に向かい合っていた人と受け止めました。
まあ、実際に居たら破天荒で、一緒の練習していたら殆どの人はダメになってしまうでしょう。大酒飲んで二日酔いで出場とかどう考えてもイカンでしょう。でもそれも練習の一環という考えなんですね。独特の理論がありますが、一代限りの無頼の徒だったんでしょう。それがなんともかっこいいです。
正直今まで読んだ上原さんの本で一番いい本だったと思います。あまり読まれている気配がないけれど、色々な人に読んでもらいたいです。人によって気づきが違う本だと思います。
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文句なしに面白い。
ここまで自分の体、人間の体を研究したアスリートは珍しいのではないだろうか。
トレーニングの解説書としてもよくできていて、「世の中の常識を徹底的に疑え」と試行錯誤を続けたノウハウや方法論は、現役アスリートにとっても有用だ。
「ウェイトは筋肉を付けると同時に、神経回路の開発トレーニングでなければならない」とは、目から鱗。
筋トレしすぎてスピードやキレがなくなったプロスポーツ選手を例に挙げて、スポーツ選手に筋トレはNGなんて言説を聞くのだが、単にやり方を間違えただけなのだろう。
ストイックな競技生活とは裏腹に、私生活は奔放で裏表のない性格のようで、いわゆる“体育会”とは真逆のタイプだ。だからこそ、納得しないと動かない現代っ子のコーチには、溝口氏のようなタイプが最適なのかもしれない(コンプラとかうるさい輩は多そうだけど)。
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自分で考えるという観点から見たスポーツの良い実践例となるのではないか。現在のスポーツでは指導者はよく指導法や理論は勉強する者も多いが、競技者(現代では学生が主となると思われるが)は学ばないし、競技知識を体系的に自分で学ぶことはあまり推奨しない。おそらく指導者が競技者に、そのスポーツの勉強を推奨しないのは、指導方法が確立されていないことと、知識を身につけた競技者は指導しづらいということが関係していると思う。しかし、自分で考え指導者がなくても自分で競技力を高めることが現代スポーツには必要となると思う。
非常に面白い本であった。
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(世界の基準に比較すれば)体格に恵まれないにもかかわらずやり投げを追求して当時世界二位の記録を出した溝口和洋氏のノンフィクション。「やり投げ道」を追求するのではない、やりを遠くまで投げることを追求するのだ、という突き詰め方は確かに、と思った。著者の本を何冊か読んでいて著者のパーソナリティを打ち出す内容が多い中で異色の内容にも思えたが、一人称で語られる内容は実は著者の作品の中でもそれほど特殊でもないのかもしれない、と読み終わって思った。