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「あの夏」:イギョンとスイが出会ったのは偶然だった。16歳の夏、グラウンドを横切っていたイギョンの顔に、スイの蹴ったボールが直撃したのだ。サッカー部に所属しているスイがグラウンドを走るのをイギョンは見つめていた。スイを見つけ出すのは難しくなかった…。同性を好きになるイギョンとスイの物語。「601、602」、「過ぎゆく夜」、「砂の家」、「告白」、「差しのべる手」、「アーチディにて」。友達との関係、親子の関係、男性と女性の関係、どの短編にもちくりと胸に痛みを覚える。
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特別大きな出来事が起こるわけでもなく繰り返される日常ですが、それでもどこか我慢したり、平常心を保とうとしたり、関心のないように振る舞ったり、口にしないようにしたり、言葉にしてしまったことを後悔したりとささいな場面で、自ら判断して行動しており、何年かあとにその場面を思い出し、良いストーリーとして救い出したなあという印象でした。何年も仲良くしていた同級生兵役につくために、2年間関係が寸断されるって、どんな気持ちなんだろうと想像が難しい。しかも、休暇中に会ったら雰囲気が変わり辛そうにしていたら心配です。
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本屋で立ち読みした「あの夏」のイギョンとスイの出会いの場面が忘れられず、帰ってすぐにネットで購入しました。
一編一編が大切に思えて、一編ごとに時間を置いて読み切りました。
その人が通ってきた時間によって、どの物語が重く残るかは変わると思いますが、「砂の家」と「アーチディにて」が自分にとって特別な物語になりました。
出会えてよかった本です。
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【読書マラソンPOPコメント】
わたしに無害なひと(チェ・ウニョン著)
著者は韓国の作家で、韓国で刊行された2冊の本どちらも日本語に翻訳されている。この作品は2作目となっていて、日本の読者へのメッセージをも記されている。7つの短編で構成されていて、私は「あの夏」が1番心に刺さった。レズビアンカップルが苦労しながらも最後まで幸せに生きていくのかと思いきや、欲望と偽善で別れ、新たな付き合いをするも別れ、結局は最も愛したのは初恋の人でその人とはもう会うことも連絡もできなくなった。記憶に残るのは最愛の人だけなのにもうどうすることもできない状況で終わり、最後のシーンで幼い頃を思い出すことが1編の終わりを感じさせた。
ペンネーム“yan”
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繊細で切ない、映画のような描写。
若くて、無知で、傷つけてしまった人たちへの祈るような思いに泣きそうになってしまった。
まえがき、あとがきからも著者の誠実さが痛いほど伝わってきて、ファンになってしまった。
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人は人との関係で影響を受けたり
影響を与えたりする。
他人との関わりの中で良いことも悪いことも
無害でいることなんてできないんだなぁ。
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まず、文章がひたすら良くてびっくり。
親しいひとを知らずに傷つけたり、失ったりすることがある。そのときはわからないことも多い。この小説はその痛みを直視させてくれるよう。
いちばん没入したのは、「砂の家」。繊細なバランスの上に成り立った関係の崩れる兆しに、胸が締めつけられる思い。
読んだきっかけは温又柔さんの書評を見て。全編がとても良く、読んでよかった小説。誰かにおすすめしたい。
著者、訳者の他の作品も読んでみたい。
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各作品がいちいち胸に刺さるし、なんちゅうフレーズやねんていうパンチラインが頻繁する。
ほとんどの登場人物が寂しさ、孤独をまとい、同じような苦しみを持った人々と交わるのに、それは一瞬はポジティブな関係を築けても、やがて小さく砕けていく。
はっきり言って自分は恵まれてたのかなって思う。
これほどまで社会に苦しめられた感覚はなかったなって思う。
それでも彼らに共感してしまうのは、これまでの人生の中のいくつもの後悔やもう連絡もとらなくなったたくさんの人々の顔が浮かび、懐かしく思うからなんだと思う。
大きい何かが起こる話ではなくて、心の動きや関係性を正直に言葉にしてしまう今作のような作品は、やっぱ好きなんだなって思う。
また必ず読み返すだろうし、人に勧めたい。
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誰しもが通り過ぎてきた人生のどこかで、ひどく傷つき、一晩中泣き明かし、もがき苦しんだ過去があるだろう。今となってはかさぶたとなっているが、一旦手で触れてしまうと、血がうっすらと滲み、痛かった当時の記憶を呼び起こすような…そんな物語が集まった短編集。登場人物の全てを愛おしく感じた。
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2021年4月
悲しかったことを「悲しかった」と言うくらいは許されるだろう。
当たり前のようで、現実には自分の感情まで外部から制限されてしまうことが多い。悲しいなんておかしい、不満に思うなんて傲慢だ、、、
悲しかった出来事を「悲しかった」と自分の中で認めたり誰かに打ち明けたりするのは少し勇気がいる。
登場人物たちの置かれている環境は過酷なものも多くあて、まるっと状況を理解できるわけではないかもしれない。でも悲しかったことを経験したことのない人なんていないのだから、そこにある悲しみはきっと共感できるはず。
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ほぼ百合短編集。どの作品も素晴らしい。ほとんどが女と女の話、喪失の話。その後のかすかな希望の話も。どの話も切なく心に迫ってくる。この人の作品は、嫌味や抵抗なしに物語に、登場人物に入っていける。
彼らの胸に迫る苦しさ、哀しさは私が持っていたものであり、気づくと自分の物語として読んでいる。
どの作品にも哀しい美しさがある。少し売野雅勇の詞みたいな儚さと尊さも。
あとがきを読むととても真面目で傷つきやすい女性のようだ。これからも書き続けてほしい。
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相手のことを思っているはずなのに自分のことを優先に考えていることが、自分にも相手にも分かってしまう。他人の話に思えるが、自分にも当てはまることがあるかもしれない。
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恋人や親友との関係がもう終わりになるだろうとお互いに気付いている頃の感じとか、自分の無知さや狡さで大切な人を傷付けてしまったこと、傷付けられたことを思い出してギュっとなる。繊細な感情と瑞々しい文章で、映画『はちどり』が好きな人は刺さると思う
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ちょっと私には合わなかったかな。
登場人物の名前が少し覚えにくくて、物語に入り込めなかった。
LGBTQを取り上げた短い小説集。
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「ショウコの微笑」の著者とは。
あとがきにある〝差別に物語で立ち向かいたい〟という姿勢のごとく強く沁みる短編7篇。
ハンガン、ファンジョンウンに続き、ずっと追い続けたい作家がまたひとり。