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実在する書店 シェイクスピア&カンパニーを舞台にした、大人の青春物語。残念ながら店主のジョージは天に召されたとのことだが、今は娘さんが継がれているそう。
いつかパリに訪れた際には、是非見てみたい。
この本の他にドキュメンタリーもあるとあとがきにあったので、そちらも気になるところ。
今は無くなりつつある善意を信じる人間力のようなものを、見せつけられたように思う。
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セーヌ川を挟んでノートルダム大聖堂の向かいにある、誰にでも会え、本が読め、美人だって見られる小さな書店、作家を目指す若者の溜り場での日々、読み進む内に書店の中にワープする。
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シェイクスピア&カンパニー書店に集う人々の
様子を綴った回顧録です。
シェイクスピア&カンパニー書店は
パリのセーヌ左岸にあり、
書籍の販売だけでなく、
英語文学専門の図書室も併設している歴史のある本屋さん。
この店の経営者ジョージ・ホイットマンのモットーは、
〝見知らぬ人に冷たくするな、変装した天使かもしれないから〟
というもので、
住む場所もない無一文の作家の卵に
ただで寝る場所を提供しています。
寝る場所といっても店内のあちこちに
簡易ベッドが置いてあるだけ。
店内はいたるところ天井まで本が山積みの状態で、
本好きにとってはたまらない環境かと思いきや、
常に人が行き来するし、
シャワーだってありません。
体臭が気になりだしたら近所のカフェへ行き、
人がいないのを見計らって、
トイレでさささっと体を拭うんだそうです。
彼ら、彼女らのほとんどは、
毎日1冊本を読むことを義務づけられ、
数時間店の手伝いをすることで
なんとか食いつないでいるその日暮らしの状況です。
著者自身、
もとはカナダの新聞社に勤める記者でしたが、
事情があって着の身着のまま、
パリに逃れてきたひとです。
わずかな貯えはすぐに底をつき、
異国の地で頼る人もなく、途方に暮れて
シェイクスピア&カンパニー書店に転がり込んだ人物です。
ここで暮らした数ヶ月の想い出を本にしたわけですが、
ノンフィクションなのに、
青春群像劇のような味わいがあります。
店主のジョージ・ホイットマンも
放浪者にして夢想家です。
アメリカのニュージャージー州に生まれ、
世界各地を渡り歩いたのち、
1940年代にパリに流れ着き、
非現実的な夢の実現のため書店を開いたそうです。
彼は自分の店を
「書店に見せかけた社会主義者のユートピア」と
表現することもありました。
98歳で亡くなられたそうですが、
この本に書かれた当時は86歳。
それでもまるで青春時代を生きているようです。
整理整頓が苦手で、我がままで、気分屋。
金銭には無頓着なのに、それでいて非常に厳しい倹約家。
そうかと思えば、年齢を顧みず20代の若い娘に本気で恋をするような、
とんでもなくお茶目で魅力的な老人です。
かつてモンマルトルの洗濯船に若い画家が集まったように、
パリにはボヘミアンを受け入れる文化的基盤があるのでしょうね。
べそかきアルルカンの詩的日常
http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
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店内やキッチンの、清潔とは言えない描写がどうしても受け入れ難かったけど、読み進むうちにのめり込みました。
今のシェイクスピア&カンパニーはHPもInstagramもおしゃれ!
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海外文学に明るくないので、本好きには応えられない、、という謳い文句にそれほど反応できず、心躍るということはなかったのですが、それ以上にパリで日々を生きる若者たちの生き生きとした生活ぶりに魅了されました。カフェの雰囲気なんて、パリで見た通り!かつて訪れた時は携帯見てる人はほとんどいなくて、テーブルにいる人と会話や議論している姿ばかり目に飛び込んできました。実にアグレッシブでパワフルでした。本書の描写からこれからしたいこと、将来のビジョン、夢を一晩中語る、そんな幸せなことがあるだろうか、、としみじみ感じました。今みんな自分について語ることもってるのかな、、と自身を顧みつつ感じてしまいました。ルイヴィトンのくだりはもはや失笑。バブル期あたりの雰囲気を思い出しました。
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現代版ラ・ボエーム、若き旅人、詩人たちが本屋の片隅から見つめるパリの喧噪。
仲間との語らい、恋愛、行き交う人々・・・、人生をやり直したくなる良書。
書店の話かと思いきや傷心のバックパッカー達の話であった。
ここに泊まる為には、オーナーのジョージに自伝を提出する必要がある。警察の嫌がらせへの対抗措置として始まったしきたりが、今では40年にわたるギンズバーグら放浪アーティストたちの記録になっている。更に宿泊者は毎日1冊の本を読まなくてはならない。
右の扉は書店の扉だが、左の扉は古書館に通じる。店の半分を占めるこの古書館には1万冊以上の稀少本があり、なんと売り物ではない。そして、オーナーのジョージは、娘に「不思議の国のアリス」や「クマのプーさん」の初版本を読み聞かせる。
「ユリシーズの初版本、広々とした寝室と、セーヌとノートルダムを見晴らす眺め、そして無尽蔵のすばらしい本さえあれば、部屋にいながらしにしてパリで最高の休暇が楽しめるんだ。」
こんな一節に出会い、深夜に遠い目(笑) 、入るべきは左の扉だったとは。
「自費出版専門の出版社で本を出すのは金でセックスを買うようなものだが、ある意味ではそれ以上に恥ずべきことだ。」
なんて意味深な台詞もある。
なんと、アイルランドでは詩人は所得税免除との記載があって調べてみると本当であった。
税務署員の審査がとてつもなく大変そうだけど。
Artists' Exemption / Irish Tax and Customs
https://www.revenue.ie/en/personal-tax-credits-reliefs-and-exemptions/income-and-employment/artists-exemption/index.aspx
<その他の書籍紹介>
https://jtaniguchi.com/tag/%e6%9b%b8%e7%b1%8d%e7%b4%b9%e4%bb%8b/
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パリに実在する反体制的な本屋「シェイクスピア・アンド・カンパニー」に寝起きした元新聞記者の回想。人生のほんの一時を過ごした奇跡のような日々を読者の胸にも懐かしく愛おしく描き出してくれる。
世界を放浪した経歴を持つ共産主義者で変わり者の店主が同じく変わり者の客たちを書店の店内に泊める。迷える訪問者を歓迎するために灯火を掲げ続けた「灯火係の僧」のように。
宿泊に際し、ふつうのホテルでパスポートの提示が求められるように、ここでは自伝を提出しなければいけない。バックパッカー、芸術家の卵、本物の詩人や小説家など、数万人が滞在した伝説の書店である。その行き当たりばったりの経営、不衛生な生活空間、行きずり人間関係、そして店主の人となりが本書で露わになる。
逃げるようにパリに来た著者は無一文で書店に転がり込み、店主やほかの住人と交流を深めていく。ボヘミアンを気取るも生活に不安を覚え始めるような著者は小市民的に凡庸である。文章も上手くなければ、観察眼が鋭いわけでもない。ただ、ありのままを懸命に書こうとする誠実さがある。この店の魅力も不都合なところも、自分の過去も醜い感情もごまかさず書いた。
同僚や学友など、今後も良好な関係を続けるのが前提で、身元がはっきりした者同士の出会いだと、自分に求められる役割を察し、それを演じ続けてしまう。書店に集う流れ者同士の気楽さは誰にも聞かせたことのない打ち明け話をするにふさわしい。住人たちは普段とは違う自分を見せ、不思議な一体感を育み、それぞれが別の方向に一歩を踏み出していく。書店買収の危機を乗り越えるといった筋立ても相まって、奇人変人の群れが雑然と生活するノンフィクションにも関わらず、読後感は切なくも爽やかだった。
ロレンス・ダレルもこの店に来て朗読会なのどやっていたらしい。ダレルについては、彼の弟のジェラルド・ダレルの著書でその傍若無人の偏屈文士ぶりを知っていたので、この店にぴったりの客だと思い、笑ってしまった。
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図書館で。
面白いけどこれ、他人事だから面白いって言える体験だろうな、としみじみ思いました。自分は無理。3週間風呂入らないとか、無理。こういうのって、抜け出せた人だから「あの時の体験は他に代えがたい」とか言えるのであって、職も金も地位もないジリ貧状態がずっと続いていたら、正直つらいだろうな、と思います。実際、その場から逃げるすべを持たない人は追い出される可能性にビクビクしていたし。会社という枠に囚われたくない、自由で居たいなんて言う夢見がちな若者は是非読んだら良いんじゃないかな、とも思いました。自由には自己責任がもれなく付いてくるという事を知れるので。お金が無くて海外で体を壊したら本当に悲惨だな…。とはいえ、フランスの福祉はしっかりしているんだなって読んでいて思いました。日本は外国籍の人でも誰でもが利用できる公共の無料食堂も、浴場も自分の知る限り無いものなぁ。(あったらすみません)
とはいえ経営者の精神はそれはそれで素晴らしいと思います。人のためにやっているというより、自分の信念のために行っているという感じが。なかなか出来る事じゃないよなぁ~。とはいえ、個人的にはあの本屋を譲られても正直大変だろうな、という感想しか出てこないな…
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わぁ、読み応えあったなぁ。
作者がシェークスピア&カンパニーに寝起きしていたときの思い出を、その時々書店にいた人々の前後のエピソードともども紹介しているものだから、全てひとり語り。セリフがない分、内容がぎっちりだったんだな。
そして、そんなに昔じゃないパリの片隅のお話が、なんとも魅力的でページを開くたびにノートルダムの見えるセーヌ川沿いの通りと書店とを出入りしている気分になった。
今まで何度もパリに行っていたのに、こんなに魅力的なところを素通りしていたなんて。悔しい気さえする。
次はきっと行くよ。南京虫に注意して。
若さと情熱と漠然とした自信。これらが渾然一体となって醸し出す空気はどんなものだったんだろう。
とてもじゃないけど、太刀打ちできる代物ではなさそうだ。
ジョージの意志が受け継がれつつも、現代に沿った運営になってきているとのこと。少しはハードル、いや、この場合は敷居が低くなったかしら。
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人間の美しさ、おかしさ、理不尽さをパリの街中心に描かれた物語。もともとカナダのメディアの社会部記者だった筆者の視点がいいスパイスになっています。
映画を「読む」感覚。とても不思議な体験でした。
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世界一有名な本屋のある季節。
文無しを受け入れ、パンとスープと寝床を提供する。
ちょっと偏屈な老店主と、片付けが追いつかない環境にさえ慣れてしまえば、そこは文学の楽園。
行ってみたい。
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パリにある有名書店、シェイクスピア&カンパニーに訪れたカナダ人ジャーナリストの備忘録。
歴史ある書店というイメージだったけれど、行くあてがない若者のシェルターの役割も果たしていることをこの本で知った。店主も、そこに住む人たちも変わり者というか、凡人には理解し難い会話が多い。
ジョージは倹約家すぎて、もうちょっと緩くしようよ、と心の中で思ってしまった笑笑
それでも愛される人柄は伝わってくる、パリに行くことができたら行ってみたいなあ
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ノンフィクション。終盤は引き込まれるように読んだ。こんな本屋さんが海外にはあるのかと衝撃を受けた。店主ジョージさんの伝記でもあり、主人公の旅の記録でもある。ジョージさんの気前がよいのかよくないのかわからない人間性が面白い。日本ではちと難しいかもしれないけど、面白い本屋さんのお話でした。
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古き良き時代の話…かと思えば21世紀に入ってからの話だった。なんとなくパリに憧れてシェイクスピア&カンパニーの存在は知っていたが、その内情までは知らなかった。ホームレス文豪たちのきたないけどきれい…やっぱきたないかもな生き方が実にワンダフルだった(表現ムズい)。
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パリの伝説の英語書籍を扱う書店をめぐるドキュメンタリーだそうだ。
筆者はカナダの新聞で犯罪担当の記者だったそうだ。
アルコールにも溺れ、取材で関わったその筋の人に狙われ、一九九九年の年末に、パリに逃れる。
そこで偶然転がり込んだのが、シェイクスピア&カンパニーという書店だった。
それはシルヴィア・ビーチの開いた初代のとは異なり、二代目である。
五十年代末に、ジョージ・ホイットマンによって開かれ、やがてシルヴィアの遺した本を買い取り、同じ店の名前を継ぐ。
「与えられるものは与え、必要なものは取れ」
「見知らぬ人に冷たくするな 変装した天使かもしれないから」
共産主義のユートピアを夢見るジョージは、こうしたモットーにより、文学を志す若者(なんと四万人以上)に宿と食事を無償で提供してきた。
では博愛主義者かというと、そうでもない。
かなり理不尽でわがままなこともいう。
アメリカで生まれ、中国で育ち、その後中南米を始め世界中を放浪してパリに落ち着いたという経歴だけでもただものではない。
そして、八十を過ぎても魅力があって、なんと二十歳の女性と婚約までしてしまう。
当時、店にはいたるところに寝床があり、カオスのよう。
古いせいもあり、キッチンやトイレの不潔さに恐れをなして逃げ出した物書きもいたという。
筆者がこの店で暮らし始めた後も、次々といろいろな人物が転がり込んでくる。
先住者やニューカマーたちと、ジョージの「寵愛」を勝ち取るかという生々しい戦いも描かれる。
ハンサムで女たらしのカートや、アルコールに体を蝕まれ行き場を失いかけた初老の詩人のサイモン、芸術家のナディアなど、様々な人が交錯する。
自分の生活と比べ、なんという振れ幅の大きい生活がこの世にはあることか。
自分がこの環境に放り込まれたら…やっていけない気がするけれど、人生の豊かさとは何かと問いかけられている気がしてならない。