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2020年6月1日読了。
トム・ハンクス主演の「グレイハウンド」原作。
1955年出版だが、今回新装版が出た。
アメリカ海軍中佐、駆逐艦艦長のクラウスは最初の任務で37隻の輸送船を駆逐艦キーリングとコルベット艦(駆逐艦より小型の艦艇)3艦の計4艦艇で大西洋横断の護衛をする。
それを狙うはドイツ海軍のUボート、狼群(ウルフパック)と呼ばれ集団で輸送船を襲う。
果たして、無事にイギリスに着くことはできるのか?
映画の公開が伸びて残念。
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新訳。
書店で手に入る喜び。そして面白い。
前よりも少しくだけて、たぶん読みやすくなった。ただ、言葉、文章は刷り込みが甚だしいので、違和感はある。
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とてつもなく面白い。ヨーロッパ への物資輸送の護送船団を守る駆逐艦の艦長の海洋冒険小説。
無防備な羊である輸送船を守る駆逐艦と、狼の様な狡猾なUボートとの死闘描く。
緊張感が半端ない。主人公と同じ不眠不休を読者に擬似体験させてくれる名作。
戦記ではあまり語られない地味で退屈なはずの護衛任務に、スポットを当てた本作は素晴らしい。
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第二次世界大戦中、アメリカからイギリスに向かう
輸送船三十七隻と護衛艦四隻。
航空支援を得られない北大西洋中央部での航海となる、
水曜の朝から金曜の朝までの間の、
護衛艦隊の指揮官となったアメリカ駆逐艦の艦長の
初陣を描いた作品。
ロマンなど感じさせないほどに即物的に描かれた情景描写、
キリスト教信仰に関する語句が中心ともいえる艦長の心情描写、
この対比が特徴的な作品です。
眠ることはおろか休息すらまともに得られない二日間。
疲労の中でも瞬時に判断を下さなければならない緊張感。
そして判断を下すことの重圧。
これらを感じることができました。
なお、かなり硬めの手触りの作品のため、
いまの日本人には受けないだろうとは思います。
映画化されていなければ、新訳はおろか、
1980年に文庫に入った旧訳の重版すら
行われなかっただろうなという気がします。
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第二次大戦中の北大西洋での駆逐艦とUボートとの戦いは、いろいろな物語が生み出されている。
映画「眼下の敵」では米駆逐艦艦長をロバート・ミッチャム、Uボート艦長をクルト・ユンゲルスが演じて、日曜洋画劇場などでおなじみのタイトルであった。
この本も半世紀以上前の作品であるが、2020年6月トム・ハンクス主演の映画公開に伴い再び日の目を見た。映画は日本ではコロナの影響もあり?Netflixでの上映になってしまったのが残念。
物語は、三人称ではあるがほぼクラウス艦長の視点と思考の一点で時系列に進む。それはまるで艦長の公開日誌をもとにしたドキュメンタリーのように映像化される。
輸送船の護衛という任務と敵を撃破するという軍人としての使命、護衛艦隊の指揮官としてや艦長としての部下の扱いなどで葛藤する、主人公クラウス中佐の様子(トム・ハンクスの仏頂面)がとてもリアルに描かれている。
作者セシル・スコット・フォレスターには私の古い思い入れがある。
数十年前、フジ出版社から刊行された『決断―ビスマルク号最後の9日間』(作者C.S.フォリスター?)がとても好きで、このあと「ティルピッツ」や「シャルンホルスト」などのドイツ海軍の読み物を漁った覚えがある。今でもその本は私の実家の本棚に黄色に変色しても残っている。
読みだしから最後まで、緊張感の続く読書でした。
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これぞ究極のお仕事小説。敵の潜水艦の攻撃を躱し撃退する戦闘シーンもさることながら、多国籍・官民寄せ集めの部隊(艦隊)を率いる中間管理職の苦悩がこれでもかと実感できる。熱々のコーヒーとたまごサンドをお供に是非。
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『潜水艦モノに外れなし』というのは、映画に関する有名な格言(?)です。
この作品は、潜水艦を狩って・狩られる駆逐艦側からの視点ですが、『潜水艦モノ』と言ってもいいかもしれません。外れていません。
なんで映画の『潜水艦モノ』は外れないのか?と思ったのですが、潜水艦の場合、視野がないので相手を音で“見て”狩る必要があるのですが、それが物語に緊張感を与えるので、見る人を魅了するのかと思います。
この作品も、潜水艦の気配は感じるものの、目で見ることはできず、音で“見て”いるので、逆の立場ではありますが、制限のある中での狩って・狩られるところが、物語に緊迫感を与え、読んでいる人を魅了するのかなぁと思いました。
面白かったです。
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帆船小説といえば必ず題名が上がる「ホーンブロワー」シリーズの作者であるセシル・スコット・フォレスターが第二次世界大戦の海戦を描いた作品。
第二次世界大戦の大西洋は、ドイツUボートが跳梁跋扈する恐るべき海域であった。
Uボート同士が連携して獲物を駆り立てるウルフパック(群狼)戦術により膨大な数の輸送船が撃沈され、英国の命運は風前の灯火であった。
物語は、まさにこの大西洋での厳しい戦いを扱っている。
37隻の輸送船団を護衛する僅か2隻の駆逐艦と2隻のコルベット艦が、Uボートの昼夜のない攻撃から船団を守り抜く三日間の死闘(まさに字義通り死闘という言葉がふさわしい)を描いている。
前頁が緊迫感に満ちており、どこから攻撃を仕掛けてくるかわからないUボートの恐怖感や、絶望感と極度の疲労の中においても勇敢に任務遂行をする男たちの戦いが、迫真の描写力で綴られる。
主人公である駆逐艦キーリング艦長ジョージ・クラウスの人物造形も興味深い、牧師の父を持ち、敬虔なキリスト教徒として育つ中で身に着けた厳しい義務と名誉に関する考え方や、いっぽうで私生活ではうまくいっていないなど。
作品世界に深みを与えるのは、登場人物の背景の複雑さとそこからくる独特の人生哲学だと思った。