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開発経済学の研究者として2019年にノーベル経済学書を受賞したアビジット・V・バナジーとエステル・デュフロ夫妻が自身が長年研究してきた社会格差、人種差別(と個人の移ろいやすい嗜好性の問題)、移民、環境破壊、自由貿易などのテーマを一般人向けに平易にまとめた一冊。
テーマは数あれど通底しているのは、「一見、絶望ばかりに見える問題に対して、経済学が解決できる部分は確実にあり、希望を捨ててはいけない」という点である。真摯な研究者として、経済学を一つのツールとして、確実な課題解決に結びつけるための実践がまとめられており、ランダム化試験などの統計的手法をフルに活用しながら、本当に問題解決につながる政策を決定し、政治に反映させていくというプロセスの重要性を学べる良書。
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開発経済学の研究者として2019年にノーベル経済学賞を受賞した二人の著作で、ビル・ゲイツが「2020年夏に読むべき本5冊」に挙げていた本。章ごとのテーマとしては、移民、人々の好み、自由貿易、経済成長、気温、不平等、政府について書かれている。
経済についてはあまり知識がないまま読んだけど、「なるほど」というところの方が多かった。
この本から得たことは、希望と尊厳。自分に向けては、希望を持ち続けること。他人に向けては、尊厳を傷つけず、敬意を払うこと。
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ビルゲイツの「今夏必読の5冊」に選ばれた本書。
世界の諸問題を、客観的な調査や実験に基づいて、いかに解決するかを記したものである。
とりあえずこれを読んで思ったことは「あっ、自分って現実を勘違いしていたんだな」という事。アッと驚く事実をこれだけ丁寧に、かつ説得力のある文章でわからせる著者の能力は素晴らしい。
最後は壮大な解答が提示されているところが少し歯痒いが、とりあえず読んでみることをお勧めする。
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書名にひかれて手に取りました。
経済学は苦手なので読めるか心配でしたが、読み進められました。(読めると理解できるは別問題)
色々かんがえ、色々気づかされました。読むべき、との言葉にそうだなと思いました。
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社会の重大な問題を、どう解決するかについて述べた本です。
重大な問題として取り上げられたのは、移民、自由貿易、経済成長、気温、不平等、政府について。
「経済学者の言っていることが信用されていない」という前提で、では、それはなぜなのかというと、悪い経済学がまかり通っているからということと、経済学者が根拠の説明が足りないということを理由に挙げています。
新聞やテレビなどでニュースを見聞きした時、自分自身で問題意識を持って、自分事に当てはめ、今後、どうなっていくのか、それに対して自分はどうしたら良いのかを考えられるようにしたいものです。
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貧困者、弱者を含めた社会問題を解決するには、そのような人々を差別したり切り捨てたりせず、人間の尊厳を保つよう社会システムを構築する政治が必要。
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著者は二人のノーベル経済学賞受賞者。
原題は「Good Economics for Hard Times」とありますが、コロナ禍の今にあって、ちょうど米大統領選が佳境のころから読み始めたので、本書で取り上げられているテーマと、日々目にするニュースやSNSの投稿などとシンクロすることも多く、政治と経済の今についての理解を深めるには良書であったと思います。
経済成長
移民
自由貿易
地球温暖化
社会保障
格差
お金だけで解決しないことや、さまざまなトレードオフが生じること、マクロな経済モデルの想定通りには行動しない人や企業、そうした複雑系の中で、良い方向に向かうための本質とは何かを二人の経済学者が力説されています。
全体を読み通した上で、最後の最後にノーベル経済学賞受賞した経済学者が語る一文(最終章の最後の一文)がとても印象的でした。
”経済学は、経済学者にまかせておくには重要すぎるのである。”
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■著者が扱っているメインテーマ
よりよい世界にするために経済学にできることは?
■筆者が最も伝えたかったメッセージ
一部の裕福層の成長を優先するのではなく、
それ以外の層への生活の質向上にシフトすべき。
■学んだことは何か
市場を放任すると不平等が解消されることはなく、
貧富の差は拡大するばかり。成長ではなく、世界にとって地球にとっての平等な社会のために、富から貧への再分配のしくみと他人と地球をおもいやる対人力が大切になてくる。
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移民や貿易、経済成長などの問題について、経済学的な見方や様々な事例の紹介、解決策などについて述べている本。
人や資本はいつも最適な場所に移動できるわけではない。そのせいで、不利益を被る人の尊厳を守るようなアプローチが必要だ。このような人の怒りが昨今のポピュリズムに繋がる。
エビデンスもなく社会的に受けいれられている物事が多い!
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経済政策について議論している。
経済学的に考えることが好きなら面白いと思う。
希望は人間を前に進ませる材料。
抱えている問題でその人を定義することは、外的な条件をその人の本質とみなすこと
希望を失い、疎外されたと感じる人が増えるのは社会にとって危険なこと
尊厳を大事にする
貿易には負け組がいる。
負け組への支援が必要ということを繰り返している
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原題: Good Economics for Hard Times.
タイトルの訳がちょっと微妙。
Hard Timesを絶望と訳すのはちょっと。
アイキャッチを狙ってかな。
どこかで誰かが勧めていて興味が湧いたので。
素晴らしい本でした。
是非いろんな人に読んでいただきたい。
著者のアビジット・V・バナジーとエステル・デュフロは存じませんでしたが、非常にバランスが取れている方々とお見受けします。
アビジット・V・バナジーは2019年のノーベル経済学賞を受賞した経済学者、エステル・デュフロはアビジットの配偶者らしい。
現代の世界が抱える問題について、経済学者の視点から考察した本。
不平等や不信が加速させる世界の二極化について、私達はどうあるべきか、考えさせる一冊。問題は何か、解決が可能なのか、あるいは、明るい未来に向かうために社会はどうするべきか。
極端に楽観的でも悲観的でもなく、常に一定の温度感なのがいい。
経済学とはあるが、経済を超えた現代社会分析でもあると思う。
アビジットは、自身が貧困問題が深刻なインド出身だからか、貧困問題を主に研究しているようで、本書もそのあたりがメイン。
また現在アメリカに住んでいるので当然だが、アメリカ経済を例に取り上げているケースが多い。
多くの賢明な人のご多分にもれず、明確な解決策を提示するわけではない。なので、何かクリアな解答がほしい人はがっかりするかもしれない。
しかしながら、一つひとつのケースを積み上げた分析は説得力があり、世界は複雑で様々な要因が絡み合っていることがわかる。世の中がいかに思い込みで溢れていて、いかに経済学者を含む人々にわかっていないことが多いか。
その上で、私達にはまだまだできることがあると希望を提示する。
そして最後に、この社会を良くするヒントは尊厳だと説く。この発想は実はアビジットがアジア出身という事実によるのではないだろうか。施しを与えるという行為は、一見良い行いに見えるが、実は根底に差別がある。自分は施しを与える立場、相手は可哀想な人、という。この視点は欧米人には決定的に欠けている、と私は個人的経験から思う(もちろん全ての人がとは言わない。教育と経験による?)。アビジットももしかしたらそういった経験をしているのかもしれない。
この本が述べるように、昨今は世界が分裂に向かって進んでいるように見える。
それでも、世の中にはこういった人間性に優れた賢い人がたくさんいるんだな、と思うと、希望が持てる。
そのためにも多くの人がこの本を読んでほしい。
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この本はノーベル経済学賞を受賞された経済学者が発行している本である。そのためその方の視点において全世界の社会的な問題を勉強していくことができる。全世界の社会の抱えている経済的な格差の問題やその国の政治を取り仕切っている政府との関連性、経済の成長の終焉など様々な教養を深めると言う部分においても勉強になる本である。記載内容の範囲が広範に渡っているため専門的なことを学びたいと言う方には向いていないかもしれない。移民問題や貿易と経済成長、不平等、環境といったものと経済との関連から重要度の高い問題に関することを普遍的に記載している。
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ごく最近の経済学研究の成果には、目を見張るような有益なものが実に多い。
だが不幸なことに、経済学者の発言に注意深く耳を傾けるほど彼らを信用している人はあまりいない。(12ページ)
経済学者が信用されない原因
1 悪い経済学が大手を振ってまかり通っている
2 アカデミックな経済学者は断定を避ける、結論にいたった過程を説明する時間を惜しむ
移民が増える=受入国の賃金水準を下げるとは限らない
魅力的なインセンティブを示されても慣れ親しんだ土地を離れたがらない場合の方が多い
自由貿易が必ずしもいいとは限らない
アメリカのような大国では貿易による利益の割合は低い
小国や途上国は市場開放だけでは利益は得られない
貿易利益の再分配は難しい
貿易により新たな仕事が増えるが、貿易により仕事を失う者も多い
差別や偏見と闘う最も効率的な方法は、おそらく差別そのものに直接取り組むことではない。ほかの政策課題に目を向けるほうが有意義だと市民に考えさせることだ。
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文章が難しくて頭に入ってこなかった&進まなかった。本の問題というよりも読み手の問題だけど。
ただし、和訳書特有の読みづらさはあると思う。
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専門家の意見をどれくらい信用するか、というインターネット調査があり、1位は看護師で84%、最下位は政治家で5%だった。では経済学者はどれくらい信用されているだろう?
下から2番目、25%である。
経済に関係する政策には経済学者が必ず関与しているが、その結果としての社会の現状に、多くの人が不満を抱いているのだろう。
こういう社会では、分かりやすい政治家に人気が集まる。経済学者でも、分かりやすい経済施策で人気を集める人もいる。彼らの政策、市民に支持される政策は、往々にして良心的な経済学者の意見とは異なるものである。
人々から信用されていないかも知れないが、世の中には良い経済学もある。それはとても抑制的で、ベストな答えを与えてくれないが、誤った考え、偏見を正してくれる。例えば、移民を受け入れると失業が増えたり給与水準が下がったりするか?関税障壁をなくすと経済は成長するか?格差への影響は?
本書は、今の社会に重要な問題について、多くの経済学者の研究に基づき分かっていること、いないことを論じたものである。興味深いのは、経済学とは経済成長が善悪の基準と思っていたが、本書では人の幸せが究極目標として、施策の良し悪しを論じている点だ。後半からは特に、格差、所得の再配分、社会政策について、人に寄り添った論説が続く。
印象に残った一部を引用する。ある貧困撲滅団体のリーダーの言葉で「ここに来るまでの人生では、みんな施しをされてきた。誰も彼らには、君たちも社会に貢献してくれとは頼まなかったんだ」
一貫して言えるのは、幸せには尊厳が必要という極めて当たり前のことなのだが、実際に行われる政策で、どれだけこの観点が欠けているか…自分自身も、いつの間にか上から目線になっていないか、反省してみた。