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いずれも苦悩や痛みを抱えている教員を主人公とした四編の短編集。
どれも読んでいて楽しい話ではないが、それぞれが小さな光を見出す場面で終わるのが救いか。
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淡々としているというか、明るい感情がなく物語が進んでいくという感じ。
『渡船場で』には、親が子を思う気持ちにぐっときた。この出会いを機に、航平は家族、妻のことを改めて大事に思えて良かったと思う。
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「五年後に」「渡船場で」「眠るひと」「教室の匂いのなかで」
4話収録の短編集。
表題作は、第40回小説推理新人賞受賞作品。
全話の主人公が中学校の教師という設定は中学教師を11年間務めた著者ならでは。
「五年後に言うてくれたら嬉しいのに」
男性教師が女子生徒からの告白に答えたその一言。
その「何気なく」出た言葉に怯える教師・安崎華。
その一言に込められた意味合いは受け止める側で大きな落差があって、その言葉に囚われ続ける華の行動は理解し難い悪意となり心がざわめく。
イジメをテーマにした最終話は感情の機微の繊細な描写が秀逸。
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短編集だった。
中学の教室の異質な空気を思い出した。
あからさまにいじめたりはしないけれど、その場の空気を悪いように変えてしまうリーダ的な生徒がいることも。それに逆らえるわけでもなく、ただ気付かないふりをするしかない周りの生徒。
『周りと比べてどうこうっていうのは、本来のたのしいって感覚を奪ってしまうんや。』
『標的になる人間を特定すると、「キモイ」というつまらないカタカナ交じりの三文字で相手を罵る。それがときには、「クサい」や「ダサい」になったりする。
そしてその根底には、自分たちとはどこか違って「得体が知れない」のだという感覚があるのだ。もしくは何をやってもいい相手。自分よりもずっと価値のない、何をやってもいいモノ。まるで物扱いだ。』
バイトをして、接客をしていて思った。
ハーゲンダッツを大量に買う人も、安価な水を大量に買いにくる人もみんなみんな一生懸命毎日生きている。
たとえ自分から見て受け入れられない人がいても、得体がしれないからと言って理解できないと突き放すのではなくて、その人を知ることから始めてみようと思った。
ただし、相手が暴力的だとかモラハラだとかの場合は逃げなければ(~ ̄▽ ̄)~
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短編集。どれも主人公が中学校の教師。
表題作の「五年後に」を読んで、なんかしっくりこない、というかあまり好きじゃないかも。と思ってしまった。他の作品もそんな感じ。出てくる教師のことが好きになれないのが、原因かも。
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目次
1.5年後に
2.波止場で
3.眠るひと
4.教室の匂いのなかで
--------------------|
教師歴10の著書が、自身中学時代と教師の経験から、学んだ思いを文章に表現した中々感慨深い小説⁉️
中学教師の華に一人の女子生徒が言う。
男性教師に告白したが、返ってきた言葉は「五年後に言うてくれたら嬉しいのに」だったと。
それは、のちに華の夫が命を落とすきっかけとなった言葉でもあった。
人間のささやかな悪意、不器用さ、弱さなどを、元中学教師である著者が教師を主人公に描く。
第40回小説推理新人賞受賞作家のデビュー短編集。
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「眠るひと」を読んで、泣いた。
反抗期を迎えて以降、母とは顔を合わせば喧嘩ばかりで、結婚するまでまともに会話をしたことがなかった。やっと普通に話せるようになった今でも、誕生日プレゼントを買う時は父にあげるものはすぐに思いつくのに、母へは何を渡せばいいかわからない。何なら喜んでもらえるのかが分からないのだ。私は母を全然知らないのだなと思って寂しくなる。少し前、実家が車を買い替えたという話を離れた地に住む祖母経由で聞いたので、もしかしたら母も私と同じで何を話せばよいのか分からないのかもしれない。
私は家を出てから、親の老いのスピードがたまらなく怖いと感じるようになった。それはきっと、単純に時の流れるスピードに驚く気持ちもあるけれど、それよりも自分が親としっかりと会話をしてこなかったことへの焦りが大きいような気がしている。私は母を知らないまま、母は私に多くを語らないまま別れを迎えてしまったら…と考えると、まだ先のことだとしても辛い。とてつもない後悔を背負うことになるだろうというのは容易に想像がつく。
最近はお互い読書が好きだということでよく本の話をする。突然私が話を振るようになったので母の返事は少しぎこちないけれど、共通の話題ができたのは嬉しい。親だって子の手本としての役割を持つだけの存在じゃなくて、日々色んなことを感じて・考えている。もっと母と仲良くなりたい。母娘としてだけでなく、多くのことを共有できるような相手として。
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中学教師の華に一人の女子生徒が言う。
男性教師に告白したが、返ってきた言葉は「五年後に言うてくれたら嬉しいのに」だったと。
それは、のちに華の夫が命を落とすきっかけとなった言葉でもあった。
人間のささやかな悪意、不器用さ、弱さなどを、元中学教師である著者が教師を主人公に描く。
第40回小説推理新人賞受賞作家のデビュー短編集。
4つの短編集が入ったお話。それぞれが、大阪の中学の先生が主人公。難しい年頃の生徒たちと毎日やりあっているの本当に大変だなって思った。
表題の「五年後に」は、正直何がおもしろいのか分からなかった。教育実習で行った先の先輩教師といい感じになって、「5年後に」って言われたけど待てなくて、彼女から略奪して結婚した。しかし、幸せを感じてた頃に、女子中学生が夫に本気になって、ある意味無理心中された。この夫が、本当に最低だと思った。このクソ夫に囚われずに、2人は前に進んで欲しい。
表題の話がクソすぎて、あまり読む気がなかったけど、「眠る人」は少し泣きそうになった。実の親と子って素直になれないよなぁと。だけど、お母さんに素敵な親友がいて良かったと思った。
本当は星2だったけど、「眠る人」が良かったから星3にした。学校の先生って大変だってわかっていたけど、やっぱり大変なんだなと思った。
2023.9.21 読了