紙の本
貧乏ではなく、貧困さがリアル
2021/03/02 23:23
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ijagejx - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミステリーとしても読み応えがあり、2周目も読みたくなる本ですが…
それよりも、貧困とは何か、ネグレクトの怖さ、虐待される子供がいかに簡単にスルーされるかといったところがリアルで、トリックよりもそちらがズシリと心にきました。
以前TVで見た、電気を止められてるのにスマホゲームに夢中の子供達がいて、500mlのペットボトルで飲み物を買っていた大家族を思い出しました。
何でスマホを持たせてる?水道水か水出しの麦茶を飲めよ、せめて2Lのお茶でしょ?と疑問だったけど、この本を読んで、あの家は優先順位が狂っていたんだなと納得。
そもそもの発想がないって恐ろしいです。
本編とはズレますが、こういったところに綿密な取材をされたんだなとの感想を持ちました。
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見事に騙された!切なくて読むの辛かったけど、それでも読む手が止まりませんでした。虐待された子は繰り返すってのが如実に物語ってたのが切ない。きさらには幸せになって欲しかったけど、まさかの展開で…翔太の正体も意外だったので、尚更騙されました。せめて娘だけは幸せになって欲しいです。
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【児童虐待がテーマの社会派&本格ミステリー】風俗店オーナー殺人事件の美貌の容疑者が仕組んだ〈アリバイトリック〉。捜査の鍵を握るのは母親から虐待されている娘の証言だった。
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2020.7.9読了。
どこの家庭でも起こりうる問題「児童虐待」「貧困」という重苦しいテーマ。
読み進めるのは辛いが、ページをめくる手が止まらず読みごたえがありました。
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きさらが虐待されるシーンのリアルさに鳥肌が立ち何度か本を閉じて深呼吸をしなくてはならないほど。
小学5年生の少女が親を殺そうと計画する。そこまで追い込まれた境遇に吐き気がする。
『希望が死んだ夜に』が児童の貧困問題、今回は児童虐待。天祢さん、どこまでこの世界の生きにくさを描き続けていくんだ…
虐待の怖さは、虐待されている子ども本人がその「虐待」を否定すること。
「自分は虐待されているわけではない、これは自分のためを思って親がしてくれていることなんだ」と親をかばったり、「自分が悪い子だから仕方ないんだ、自分はひどい事をされても仕方ない子どもだから」と自分を否定したり。
そして命にかかわるようなひどい事をされていてもなお、子どもは親のことを信じ、親に愛される自分を求めている、ということ。
外から見れば信じがたい。そんなひどい事をされているのになぜ親をかばうのか、なぜ助けを求めないのか、なぜ逃げ出さないのか、なぜ抵抗しないのか、と。
もし、それができるのなら、問題はないだろう。そこから新しく生きなおすこともできる。でも、できないからこそ、何度も何度も目を覆いたくなるようなひどい事件が繰り返されるのだろう。
ヒトは、思うよりも、優しくない。
虐待の連鎖。どちらの「事件」の方が救いだったのだろう。答えのない問いが漂い続けている。
躾と称した身体への暴力や、浴びせかける罵詈雑言、部屋から聞こえてくる怒声や絶え間ない泣き声、そういうわかりやすい児童虐待とは別の、外からは見えにくい長期にわたって続くネグレクトという虐待。洋服や靴が小さすぎること、朝、顔を洗ったり歯を磨いたりという基本的生活習慣を身に着けていないこと、いつもおなかをすかせていること、やたらと大人になついたりべたべたと身体接触したがること。
それに気付くこと、そして気付いたときに手を差し伸べること、その一歩が、踏み出せない。
彼ら、彼女らからのSOS。見て見ぬふりをする大人たち。
自分とは関係ないから、かかわりたくないから、躾の一環かも知れないから、そういう言い訳で目をそらしている間に、何が起こるか。
虐待を受け続けた子どもたちの未来。いくつかの道が見える。
その、どれが一番幸せなのか。どれが一番不幸なのか。天祢涼は答えを出さない。
「助けて」と伸ばされた手に、どう応えるのか。私たちは試されている。
(真壁と仲田、二人の刑事コンビに、今回新たに加わった宝生巡査部長。三人三様の個性が事件とどうかかわっていくのか、どうやって真実に近づいていくのか。
いやぁ、天祢さんにやられましたね。宝生巡査部長の描き方、ニクい。そして、「え?」という驚き二連発。
「ちょっと、何言ってんのかわかんない」混乱の渦の中での終盤ノンストップ加減たるや、もう、もう、もう、「あぁあああ、そういうことだったのか」というラストまで一気、とにかく一気)
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『希望が死んだ夜に』の続編。虐待にも色々あって、無関心はある意味で一番恐いなと感じた。場面が切り替わる時、誰の視点かが書かれていて分かりやすいと思ったのだけど、これがミスリードを誘う罠なのかもしれない。真相が分かった途端、時系列が分からなくなったのでもう一度じっくり読みたい。
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おもしろかった。よくあると言えばよくある、ミスリードを誘う手法。でも、達者でした。ほかの作品も読んでみたい。
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ある殺人事件が発生し、その最重要人物にはアリバイが。その時間には、家で娘といたと言う。虐待されている娘を刑事たちはどう説得していくのか。アリバイは崩されるのか。
ミステリーだけでなく、児童虐待の問題も取り入れていて、社会派としても楽しめるのではと思いました。
物語の構成は、様々な人の視点をつなぎ合わせながら進行していきます。時折、犯人の視点も登場するので、犯人は途中でわかります。どのように刑事は犯人に迫っていくのか、色んな方法を使っていく様子が楽しめるかと思います。
一方、娘の視点では、虐待される描写が痛々しく、苦しい気持ちでした。虐待される心理や虐待する心理は、なかなか第三者から見たら、理解しにくい部分もありますが、現状はこういった気持ちなんだなと考えさせられました。
それぞれの心理描写が、丁寧に描かれていて、目を覆いたくなりましたが、良い意味で不快にさせてくれました。
そして、警察が犯人へと刻々と近づいた時の一言が、一瞬時が止まり、「え?」と訳がわからなくなりました。
その後、読み進めていくうちに「なるほど」と徐々にわかってきました。正直期待していなかった分、衝撃度が大きかったです。さらに衝撃の真実も明らかになって、二度驚きました。ミステリーファンは、もしかしたらこの仕掛けに気付くかもしれませんが、とても面白かったです。
自分が困難な状況に立たされていたとしても、必ず周りが見ているということを感じました。自分の視野だけだとどうしても狭めてしまい、自暴自棄になりますが、自分自身で閉じ込めず、周りに手を差し伸べることも大切であることを身につまされました。
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ネグレクト。虐待。貧困の連鎖。
非常に重いテーマですが、ストーリーが停滞せずに、次々と真実がわかっていくので、非常に読みやすかったです。
朝、顔を洗うこと。
子どもがみんな、誕生日やクリスマスにプレゼントをもらうこと。
え?そうなの?と反応してしまい、クラスメイトに笑われるシーンでは、読んでいて心がいたくなりました。
子どもって残酷です。。
自分の周りの世界が、世の中のすべてになってしまう子どもたち。
一方、虐待に気づいていながら、逃げる大人。
傷ついている子どもの心を自分の意のままに操ろうとする大人。
ただ、そんな大人を糾弾できるかといえば、同じような一面は誰しもがあることで、責めることもできない…
なんともいえない気持ちになりました。
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事前知識がほとんど無く読み始めたのが良かったのかもしれません。
途中、何が何だか分からなくなり混乱し、読み返したりしましたが、どうやら私は作者の思惑にまんまとハマったようです。
虐待・ネグレクトされる子どもの視点から描かれていて、読み進めるのが辛かったです。
読みごたえのある本でした。
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面白かった。
と同時に、ショッキングな内容だった。虐待の連鎖と、虐待されていると、朝顔を洗う、歯を磨くといった日常生活の基本的なことすら身につかないこともあるのかと、改めて思った。
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一気読み。おもしろかった。
途中、『殺人鬼フジコの衝動』とかぶる部分があって、一気にしんどくなった。真壁と仲田のシリーズは、貧困と虐待がテーマなのかな。切り込みが鋭くて、誰が悪いとかそういうことじゃなくて。虐待された子は虐待を繰り返す、と世間一般では言われている。確かに環境要因が絡むから傾向は強くなるのかもしれない。でも、その負の連鎖を断ち切っていきたい、と願い行動する人たち。そして、自分にも置き換えて想像すること、思いを馳せることがどれだけパワーになるか。また教えてもらいました。
伏線も見事に回収されるんだけど、名前とか日付けとか、ちょっとズルくない?と思う描写はまあまああった。それを踏まえてもおもしろいけど!
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子供の虐待をテーマに描かれたミステリ。虐待されながらも親への愛情を捨てきれない子供、子供を愛さないわけではないけれど虐待してしまう親、双方の悲しみが胸に重くのしかかる作品です。
とある殺人事件の容疑者になった母親。そのアリバイを証言する娘。だけれど母親が犯人なのは間違いのない倒叙ミステリで、そのアリバイをいかに崩すか、というのがポイントのようですが。そこからさらに虐待の事実を自覚し、母の殺害計画を考え始める娘、という緊迫感溢れる展開にぐっと引きつけられました。これ、いったいどうなっちゃうの。
なんとも痛々しい物語……ミステリとしての仕掛けにもやられましたが。それ以上に悲しみがあとを引きました。だけどこれって、ひどく特別な人に起こることではなく、誰にでもありえたのかもしれないというのがさらにやりきれません。
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「希望が死んだ夜に」が好きすぎてこの作品も読んだ。
とても読み易くサクサク読み進められる。
前作の内容を少し引っ張ってきてるのも嬉しかった。
事件の内容については、終盤「え??どういうこと??」とシンプルに混乱した。
その後、理解できた後に読む最後の椎名きさらのセリフがとても刺さる。
前作同様、ミステリーで社会問題を取り上げてる為とても考えさせられるし、仲田さんの人間性にとても惹かれる。
個人的には前作を越えることはなかったけど、このシリーズは好きで今後も読んでいきたい。
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虐待されている本人が 虐待だと気が付かない本人の考え方や、そういう子の様子がリアルに書かれていた。
しっかりとミスリードしてしまい、後半はやや混乱…!
一気読みできる面白さでした。