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知人様の御本です。
Web版も拝読していましたが、紙媒体は更に面白さを増しています。
望み、期待するのは人間の性。
己の欲望のために行動するのもまた、人間。
他人の望みを、己の望みのために利用しても。
己の望みのために、自分ではない誰かを利用しても。
己の望みが叶うのであれば────根底に流れるのは、どこまでも純粋で、透明無垢な願い。
少女が作り上げた、ヴンダーカンマー。
絡みゆく人間模様を、あなたも覗いてみませんか。
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タイトルに惹かれて購入。表紙絵も陰鬱な感じでとても好み。
「ヴンダーカンマー」とは「驚異の部屋」とも呼ばれる様々な珍品を集めた博物陳列室のことだそうだ。なんとも心惹かれる単語である。
作中では「自分のヴンダーカンマーを作りたい」と言う女子高校生が登場する。その女子生徒を死を皮切りに、彼女を取り巻く者達の心の奥底に隠し続けていた「闇」がドロドロと姿を現していく。
正直、内容はかなりえげつない。
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最恐小説大賞受賞作。えげつないホラーでありながら、どこかしら悲しみを感じさせられるイヤミスでもあります。
「郷土資料研究会」を立ち上げ、自分の目に適った生徒を集めていた一人の少女。そしてある日、何者かに殺されてしまった彼女。彼女は何のために、その生徒たちを集めていたのか。そして彼女を殺したのは誰なのか。各登場人物の物語が順番に綴られ、すべての意図が明らかになっていくのだけれど。
これは予想以上に酷かった! 筆致は軽妙で読みやすいのだけれど、どこまでも悪辣で醜悪な立場に置かれた登場人物たちの物語があまりに痛い。それをあんな風に利用するというのも卑劣。なのだけれど、彼ら彼女らを繋ぐものが何なのかがわかった時、その残酷さに戦慄させられます。結局のところ、諸悪の根源であるあの人以外はみんな被害者だったと言えるのかもしれません。そして、彼女のささやかともいえる望みが切なくてたまりませんでした。