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2回のDARPAチャレンジとアーバンチャレンジは自動運転の幕開けだった。
本書は、GMの研究開発部門のトップを務め、のちにgoogleの自動運転車部門ウェイモの顧問による、現在も続く自動運転車開発史である。
さて、ここ数年で自動運転の新たな展開が出てこないのは2017年、18年にテスラ、ウーバーが起こした事故によるものが大きい。
そのせいで今現在の自動運転の開発状況が一般書籍で探れないのが不満だ。
中盤で気になる記述を見つけた。
2008年10月、DARPAチャレンジに出場した面々が集まって語るシーンで
「センサーなどのインフラを道路側に設置し、車と通信させるという考え方もあった。(略)だが、自動運転の専門家は、こうした方法には否定的だった」
の一言で、地上側設備についての言及は今後一切出てこない。
ここで、何故この判断が出てきたのかはインフラの設備費の課題だが、ここで地上側設備による自動運転車の制御をサポートできるのではと思っている。
ここで鉄道信号制御の百年以上にわたる枯れた技術が使えないかと個人的に考えている。
自動運転車でルート検索の制御で、ルートを鉄道の線路図のように置き換えることで、鉄道信号のように地上設備が判断し、その進路情報を自動運転車に送信できないか。
列車衝突しないことを目的に百年以上追求してきた分、鉄道には一日の長があるように思う。
反面、自動運転車は全てをゼロから制御方法を考えてるから導入が遅いのではないか。
ルート検索からの進路情報を地上に任せて、自車周りの突発的な制御は車上がやるように、制御を分散させればいいのではと個人的に考えている。
という内容で次の社内論文を考えてるけど、実際の自動運転の制御がどういう方向性を持っているのか掴めないから、意味があるのかわからない。
本書は自動運転開発の経緯の追体験を、実際に開発に携わったトップの視点から語られるから面白かった。
DARPAチャレンジの後にリーマンショックが無ければ、自動運転車開発の中心はGMだったかもしれない。