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人を自分の領域に取り込み、メイコ流の恐怖の世界に落とし、精神を破壊できる特異な右目を持つ少女メイコ。彼女の特技(?)を生かし、父親は裏家業から依頼された「人を排除する仕事の請負」で生計を立て、街から街へ流れている。メイコが来た街に、アスマ少年含め、小学生の子供たちが、社会には入れない特殊な生まれのメイコを(学校にも行ってないので何も知らない。遊びも、何もかも)遊び仲間として仲間に入れる。メイコは同じ年ごろの子供たちがやっている事を知って行く。遊びは、メイコの世界では処刑スタイルに昇華され、その辺りはブラックユーモアに満ちている。
『鬼、死ね』もそうだったが、作者は「普通の人間ではない」と社会から排除されたり、迫害されたり、闇に潜んで生きている者が、それでも生きていく様を描いている。あからさまに排除される「要素」があったとして、それが「排除」の本当の理由だろうか、と問いかけている気がする。
メイコは普通の子供のようには生きられないから、と「金儲け」の手段として使っていた父親が、メイコを子供として愛してなかったか、と言うとそうではないと思うが、父親の死を前にして、メイコは「涙」をこぼさなかった。きっと、メイコ自身、父がこのような死を遂げるのは「個人の問題」と解っており、メイコは自分の心の中に(精神世界)自分しか入れない、ときっぱり言い放つ事が出来たんだろう。