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医療とは何か?
病気を治すだけが医療なのか?
物語と共に考えさせられる本です。
このように記述すると、堅苦しく読みにくいように見えますが、そこは上橋先生!
テンポのよいストーリーで、どんどん読み進められます!!
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2021.1.2読了。医療小説だ!医療小説読んだ事ないけど、これは間違いなく医療小説だ!そう思った。津雅那の五十代が「若い」と表されてるのはいかにも医学分野らしいと感じた。ヤキモチ焼くホッサルは後から改めて読み返してみると可愛く見える。逆にミラル側のそれは切ないものがある。ミラルの方がその件に関してはもとから覚悟してるからかな。花部への道で馬じゃなくロバでの移動は作者の経験や調査からきてるのかな。そういや山津波の怖さを私は知らないな。山は土砂崩れ、川は洪水のイメージがあったけど両方あったらそりゃ両方合わさった災害が来るよな。真那は災難だし可哀想だな。信じていたものの根底が覆されるしホッサルの乎来那ノ大樹に対する怒りの八つ当たり先にされるし土毒に当たるし。彼氏(ホッサル)と彼女の父親(ラハル)のシーンはどっちに寄ってもドッキドキだな。「良い言い訳が見つかると〜言い訳を鉄壁の理屈に祭り上げちまう」ハッとするような耳が痛いような。心を突かれた言葉だと思った。
ホッサルは男性らしい女々しさがあって、逆にミラルには女性らしい男らしさがあるから2人のバランスがいい。思想とか考え方とか視点の面でもそれぞれらしいなと思う。ホッサルが色々諦めたくない反面、ミラルは俯瞰的な視点から受け入れられてしまうあたりもらしいと思う。ホッサルが梨穂宇の縁談を受ける気ないのは意外だった。腹括らずにまだ別の道探るのか〜。
「香酢魚」の次の章題が「発症」なんだもん。魚食べた人絶対なんか発症してるじゃん…。比羅宇侯が他に惑わされず、自分の疑問を疑問として保つことができるという部分を読んで幼い頃の前天皇様が大人に囲まれた中震えながら何かを問うたみたいな話を思い出した。上に立つ人は勿論、象徴に成る人にはそういう資質が必須なのではないかと思う。まさかミラルが安房那侯の養女になるとは。これは思いもよらなかった。決して楽な道ではないだろうけど、それでも思い浮かんだのは風になびかないほどの短髪に書物を小脇に抱え輝かしい光に向かう彼女の後ろ姿だった。シンデレラガール…。身分の差も一っ飛びというよりむしろ飛び越えてる?上橋さんの描く女性はいつもかっこいいなぁ!二つの医術を統合する必要はない。医術に限らずあらゆるものがそうであると思う。両方を双方で保ったまま交流した方が発見や活性化があると思う。読んで改めて気づいた事だけどこの考えは忘れずにいたい。解説で今までに〜冷酷な現実を知るとは思わなかった。とあったが本当にその通りでまさに真実は小説より奇なりだ。「鹿の王」は人から人ではないものの感染症の話だ。アニメ映画化の話を楽しみにしていたけどこのご時世で頓挫していないだろうか…?帯に書いてあるから大丈夫かな?表紙絵はミラルとホッサルかな。静かだけど深そうな水面に浮かぶ船に2人が乗ってて緩やかに流されてるように見える。逃げられない状況、見えないところに潜む陰謀、色々暗示してるように見える素敵な表紙だと思う。そして水底をいつも「すいてい」と読んでしまう。
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『鹿の王』シリーズのその後。皇帝継承権を巡る争いを軸に「医療はどうあるべきか?」を鋭く問う作品。個人的にはミラルが不幸にならなくて良かった。
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前作で主人公の一人だった医師のホッサルを主人公にした続編。
今回も医療の問題と共に国の行く末に関わる陰謀が絡んでなかなか骨太な物語になっていて読み応えがあった。
ただホッサルはまあ医療に掛ける意志も強さもあるのだけど、物語を引っ張っていくタイプではないなあ。
キャラとしてはミラルさんが良いね。
女性としてではなく一人の人間として立っている感じがすごくステキだ。
こう言う尊敬できる人は僕のタイプだ^^
彼女が二つの医療を両方学び、二つの医療の家を結ぶ架け橋になるのだろうなあ。
そんな続編がまた読めたらいいなと思ってしまう。
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上橋さんの本を読んでいると、文字から絵が浮き上がってくる。繊細な情景描写にリアル感を感じる。医術の本当に大事なことがスッと入ってくる。それぞれのキャラクターに愛着が湧くし、それぞれが身近な感情を持っていることにも気づける。ラストは怒涛の伏線回収に時間を忘れて読んでしまう。これからも上橋さんの作品を読んでいきたい。
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「鹿の王」のその後の話。オタワル医術と清心教医術、どちらが正しいかと問われれば現代日本の価値観では前者なんだろうけど、宗教や文化、死生観が違えばただ治すだけが患者の心に寄り添った方法ではない。そこに政治や覇権争いなんかの思惑が暗躍して、ぶつかってたはずが対話を通じて少しづつ理解していくのは感動的でした。真の黒幕は誰なのか、何を考えてるのかをミステリとして見ても一級です。
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またこの世界に浸れる時間は
とてもわくわくしました
医療に携わる者として
はっとするような言葉が所々にありました
病んだ人を救うためにできることなど、
ごくごくわずかしかないことを
身に沁みて知っている。
ただただ見守るしかない虚しさを知っている。
とてもとても心に沁みました
ふふっと笑みが漏れる最後でした
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鹿の王のスピンオフ作品。久しぶりにあの世界の中に誘われた。今回はオタワルの医師であるホッサルとミラルの話で、偶然にも昨年コロナの緊急事態宣言後の発売とあり、あとがきにもそのことがちらりと。
伝染病の話ではないが、医術に対する考え方・捉え方を、考えさせられる話であった。何が正しい、というジャッジは難しい。しかし人の命を救うことに可能性をつぶしてしまうことは、いくら信仰とはいえ考えてしまう。命と信仰、永遠の問題なのかもしれない。
ホッサルとミラル、いつかこの二人が夫婦として、再び物語の中で出会えることを楽しみにしたい。 そしてヴァンやユナのその後にもお目にかかりたいと切に願う。
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鹿の王が良かったので、購入後しばらくとっておいたのだが、鹿の王のシリーズの続編は読みたいような(キャラクターが死ぬのではないかとハラハラするので)読みたくないような。
前作のヴァンらは登場せずホッサル視点の物語だが、本作も命の物語なので、序盤から「死の迎え方」の描写があり重い。
リウマチや血友病の病名を変えたものが出てきたり、還元論(オタワル医術)と全体論(清心教医術)の比較のように我々の世界とつながる部分も多い。
オタワルは(ローマと中世ヨーロッパの関係のように)科学技術が進んで合理的、近代的な考え方で思想面ではツオル帝国を優越しているように見えるが、ホッサルとミラルの婚姻が許されない身分制度が残るように全てが正しいわけではない。これも我々の世界の歴史そのものだ。
終盤のキーとなる土毒は症状からボツリヌス菌だろうか。
あとがきや解説の部分を読むことで実在の病気や細菌を元にしていたこと、鹿の王の黒狼熱は伝染病にしたくなかったこととなどともに、文庫版の発刊前後の新型コロナウィルスによる社会情勢の変化とそれに対する著者の前向きな気持ちが書かれている。
文庫版に寄せたコメントは、初回の外出自粛の前に書かれたものであるのに1年後(著者の予想より1年遅れた)のデルタ株での惨状を予見しているのは門外漢であるのにすごいと思った。
文系の研究者は数学や理科にアレルギーがあるバカが多い(逆は少ないはず)が、本当に優れている人は"理系"であることを問題にせず、優れた感性を理系分野の問題に対しても発揮する(ドキリとするような真理に切り込んだ質問や発言をすることがある)と、私は経験的に知っている。この著者もそんな一人だろうと本書を読んで思う。
タイトルは前作の「鹿の王」と一緒でミスリード。
前作で鹿の王の意味が明かされた時は「ヴァンの境遇が"鹿の王"とピッタリであり、終盤に仲間の盾となって死ぬ場面が来るんだ」と思ったものだ。
本書の中盤で「水底の架け橋」が出てくるときには「ホッサルは政略結婚をしてミラルとは心の中でつながりを持ち続けるしかないのか」と切ない気持ちになったが、上橋作品はそんな悲恋は許さない。
ミラルとホッサルが正面突破で正々堂々と結ばれることが出来るような優れた展開が用意された。全くの予想外の展開であった(終盤を読む前は、ホッサルが家を捨てる→オタワル医術を見捨てることになるので不可。政略結婚しミラルを愛人に→そんなに不誠実なことはしないだろう。ではどうする??と悩んだ)。
また、上橋作品は処女作から一貫して「優しい、後味の爽やかな作品」だと思っていたが、本作、特に終盤を読んで印象が一変した。
守人シリーズを読み切っていないので私の印象が間違っているのかもしれないが、
本書の終盤の由吏侯やリムエッル、津雅那、安房那侯らの政治的な駆け引き・策謀は非常に老獪で緻密、上橋作品では感じたことの無い高レベルのイヤラシさを感じた。良質なミステリーを読んでいるときのような、グルりと足場が入れ替わる感覚と、それに伴う背筋の冷や汗をノーガードでもろに喰らってしまった。
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ホッサルとミラルに焦点を置いた話。オタワルの医療が今後どうなるのか、清心教との確執など陰謀に巻き込まれながら少しでも命を助けようと奔走します。
2人の関係がどうなってしまうのかハラハラしましたが、さすがミラルもオタワルの人間ですね。身分も得たし、心置きなく今後一緒になれるのではないでしょうか。まだまだお互い道を極めるので忙しそうですが(笑)
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鹿の王より面白かったかも!
中盤からの勢いは読むのを止めることができなかった。ホッサルとミラルの恋の行方も良かった。
強いて言うなら、人の名前が覚えにくい…。慣れれば楽しめるが。
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「鹿の王」の続編。恋物語を紡ぎながら、政局にからむ人間模様、医学、宗教、死生観、文化の違い、様々な事柄が織り上げられていく。テンポよく読めるとても面白い一冊。
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「鹿の王」の続編を超期待をもって読みました。ホッサルの心優しさとミラルのたくましさ?がちょうど良い関係ですね。完結してしまうのなら、残念です。
心残りは、ヴァンはどうなったのでしょう?
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「鹿の王」主人公の一人、ホッサルを中心に描いた「鹿の王」のその後の物語。
医術師であるホッサルが、自分と考えを異にする医術発祥の地へ向かいある興味深い事実へとたどり着く。「医」とは何か。医療の発展に伴って長生きすることができるようになったが、それと同時に様々な病にかかり苦しむ時間も増えてきたのも事実。そうした苦しみから逃れるために「あえて何もしない」という考えがあるのも事実。苦しみを伴うが病と闘うことばかり考えていたが、実は病と闘わず苦しみから解放させるのも病気との向き合い方なのかもしれない。
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『鹿の王』を読んで、随分時間が経ってしまったから、背景など忘れてしまっていたけど、十分楽しめた。
医療のやり方は違うけど、人の命を助ける志は同じ。医療に政治が絡んでくると、救える命が救えなかったり、敢えて命を脅かすことになったり…
ホッサルが医者として本気で人を救いたいという想いが、ヒシヒシと伝わってきて、今のコロナ禍で頑張ってくれている医療関係者の方々の姿と照らし合わせずにはいられない。
文庫版あとがきの上橋さんの言葉に、勇気づけられ、奮い立たせられた。