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妊娠、出産、子育てを母親のものだけと思っている人が多いのは何故だろう。
そんな事を考えた。
誰もが母から生まれてくるのに。
周囲は冷たい。
何処にも、こんなおっぱい先生がいてくれたら、どれだけの人が救われるだろう。
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子どもを産んでからの一年間は本当に怒涛の毎日だったなぁ、としみじみ。
赤ちゃんなんて泣いてるか寝てるかのどちらかで、おっぱいをあげてオムツを替えておけばそれでいい、くらいの認識だったのに、なにがなにが。
2時間おきに泣く、おっぱいをあげてオムツを替えて、げっぷをさせて寝かせる…やれやれ、と思ったらもうまたすぐに次のおっぱいの時間…それは夜中も続く、いつ寝られるんだろう、いつになったらこのおっぱい地獄から抜け出せるのだろう、まさに真っ暗なトンネルに迷い込んだような日々。
そのおっぱいも何の問題もなくさくっとぱくっと飲んでくれる子もいれば、うまく飲めずに泣きわめいたり、嫌がって暴れたり、足りずにすぐおなかを空かせたり、逆におっぱいが余って乳腺炎になったり…
お母さんにはひとりひとりにそれぞれのおっぱい談があるんじゃないだろうか。
みどり助産院にやってくるお母さんたちもそれぞれにおっぱいへの不安や悩みを抱えている。
律子先生のキャラは赤ちゃんを産んだばかりのお母さんに対する姿勢は毅然としてそっけなく、べたべたとした優しさがない。少し意外なその態度こそが、不安の塊と化したお母さんたちにとって救いになるんだろう。
生まれたばかりの、一人では生き延びることのできない赤ちゃん。その命を守ること。そのために、一生懸命になること、だけど、頑張りすぎないこと。きちんと誰かに頼ること。もしかすると誰も教えてくれないかもしれないそんな当たり前の大切なことがここにはあふれている。
赤ちゃんを産み育てる女性だけじゃなく、男性にこそ読んで欲しい一冊だ。
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「カンボ」って知ってますか?この言葉に悩まされたお母さん、きっといっぱいいることだろうと思います。「何のこと?」って思ってるお父さん、こちらもきっといっぱいいることでしょう。第一話はその「カンボ」に悩まされるお母さんの物語。経験された方はご存知かと思いますが、どうやら世の中には「子供は母乳で育てるのが良い」という風潮があって、それがどうしてか「子供は母乳だけで育てなければならない」に変換されてしまうようで、そしてその「粉ミルクなどを使わず母乳だけで育てる」ことを“完全母乳”=「カンボ」と呼ぶようです。お母さんになればみんな母乳は出るもの、そう思ってしまうものですが、どうしてか出ないという方もいらっしゃれば、子供がなかなか飲んでくれないという方もあるようで、そんな悩みを抱えたお母さんがあることをきっかけに「おっぱい先生」の存在を知り、彼女が開く助産院に助けを求めるのでした。
第二話では、突然母乳が出なくなってしまったお母さんの話。ところがこれが出なくなってしまった理由がまた微笑ましい。当人は必死で悩んで大変だったんでしょうけれど、赤ちゃんも日々成長しているのだなと感じさせてくれます。
一方、この二篇に登場する父親と言ったらまあなんというか、赤ちゃんのことはお母さんにお任せするばかりで何もしないしできないし、彼女の苦労も全く知らないで呑気なわけです。仕事に一生懸命なのはわかります。でも子供は何もしなくても育つわけではありませんし、お母さんだって大変です。ここで男性読者は「これじゃいかんなあ」と自らを省みることになるのです。私もなりました。
そして第三話、朝から夜まで必死で働くシングルマザーのお話。今度は逆に、母乳が出過ぎてそれはそれで困ってしまうわけです。シングルマザーという境遇であるがゆえに、この子のために働かなくてはいけない、だけど本当にそれだけでしょうか?子供を産み、育てること、働きながらそれを続けることについて考えさせられます。
そしていつまでも母乳を与え続けるというわけにはいきません、やがてやってくる「卒乳」の時。それが最後の第四話。子供に母乳を与えないようにすることによってそもそも出ないようにする、という施術の裏側で、とある騒動が助産院に訪れます。その騒動を通して「おっぱい先生」とその助産院で働く助手のさおりさんの過去が明らかになります。子供たちがおっぱいからの卒業をするように、彼女たちもいろんなことからの卒業をしてここまで来たのであり、それを背負ってこの先の未来に向かって歩いて行くのです。
読んだ女性書店員さんから「男も読め」とおすすめいただいたので読んだのですが、子供が欲しい人も、子供がいる人も、今まさに子供がお腹の中にいる人も、そしてやっぱり、男性も読むことをおすすめします。おっぱいは「エロい」ものではなく母の象徴であり、それを持つ女性は敬うべきものだと認識を改めるのです。
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「おっぱい先生」律子の元に通う、おっぱいに関する悩みを抱えるお母さんたちを描く短編集。おっぱい先生がなんとなーく勝手にイメージするような、パッと見温かみのあるタイプではないところがステキ。
文体もすごく読みやすくて、おっぱい先生の世界にスルッと入っていけた。
独身で、子どもを産んだこともない人間からすると、「お母さん」って本当にすごいなと思っているけど、この本を読むと、それを改めて感じた。育児に悩みつつも、でもきちんとその幸せも描いていて、そのバランスがとてもいいと思う。
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おっぱいの大切さをつくづくと感じました。
独身男性に勧めたい!
子供が生まれた時に岩波書店「最新育児百科」松田道雄著を読んで女房と悪戦苦闘の育児をした事が思い出しました。
母乳の大切さをしみじみと感じました。
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助産院のお話。おっぱい先生に助けを求めてくる人が何かを掴んで帰っていく所にホッとする。出産後お母さんは育児で本当に大変だけど、この本読んで気持ちが穏やかになった。女性だけではなく男性にも読んでもらいたいなぁと思いました。
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書棚で目を引いた題名につられて読んだ。
我が身も地元のおっぱい先生に心身共に助けられて授乳期を過ごしたため、その記憶が蘇り、泣けた。
作中に出てくるような、カンボに熱心な人、産後初期に問題発生した人、断乳時期の人しか関わらないのはとてももったいない存在だと感じているので、この本を色々な世代が読むことで母乳マッサージが世の中に浸透していったらよい。そうしたら幸せな母親がもっと増えるはず。
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おっぱいを飲んでくれない、おっぱいが出ない、
おっぱいが痛い、授乳、断乳……
もし、あなたの胸にしこりや痛みがあるのなら、
「みどり助産院」へいらして下さい。
おっぱい先生が、言葉のマッサージでほぐしてくれます。
初めての育児での不安に、優しく寄り添ってくれる作品です。男性にも是非手にとっていただきたいです。
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100冊ビブリオバトル@オンライン第8ゲームで紹介された本です。オンライン開催。チャンプ本。
2020.08.22〜23
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「助産師」さんのお仕事小説であり、4人の母親たちの救済の物語でもある短編集。
良かった~。
これは出産を控えている人の参考にもなるし、今、授乳で「おっぱい」に悩みを抱えてるママたちの助けや励みになると思います。
私にも子どもがいるので、赤ちゃんだった頃を思い出して優しい幸せな気持ちになりました。
赤ちゃんって、そこにいるだけで周りを幸せにする存在だと思う♪
…とは言っても、母乳が充分に出ない、赤ちゃんが飲んでくれない、胸が張って痛い…などおっぱいの悩みは尽きない!
産休明けの家事育児、仕事に追われいっぱいいっぱいのママ。1日中誰とも話さず、狭い世界で孤独に頑張るママ。「完全母乳育児」という“おっぱいの呪い”に苦しめられたり、自分がダメな母親に思えて苦しんだり、ぐるぐると暗い思考に陥っちゃいがち…。
私も他者の言葉に傷ついたことがあるし、自分を不甲斐なく感じたこともあった。遠い記憶を色々思い出した…。
ちなみに私は乳腺炎経験者。助産師さんに救われた一人です!
懐かしく思い出しながら読むも良し。
今後の出産、断乳に備えて読むも良し。
奥さんの不安や大変さを知るために読むも良し。
赤ちゃん独特の甘い優しい幸せな匂い、可愛いしぐさを思い出して自然と顔がほころぶ。
助けは求めてもいい。いや、求めた方がいい!
「お母さん、一人で何でもかんでも抱え込んで頑張り過ぎないで!」、って言いたい。
読めて良かったです。
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図書館でタイトル借り。
タイトルを見た時におっぱい先生じゃないけど、上の子を出産した時におっぱいのことでお世話になった方を思い出した。
上の子を出産した時、上の子は1週間位NICUで保育器の中にいた。
だから自分で搾乳するしかなくて。でも出なくて。一滴を絞り出すのが本当に大変で悲しくて。
でもその時たまたま私には実習中の看護学生が担当に付いていてね。
その指導教官の先生が超ベテランの助産師さんだったの。
その先生がちゃんと母乳の出るおっぱいにしてくれたんだよね。
あの時看護学生の担当になることを引き受けてなければ私のおっぱいは出なかったかもしれない。
おっぱいは誰でも簡単に出る訳ではない。
あの時たまたま出会えて本当に良かったなぁって思う。
でも産後3ヶ月で仕事復帰しなくちゃいけなかったから、おっぱいガチガチも乳腺炎も色々経験した。
子どもは哺乳瓶断固拒否したから、子どもを預けた母は搾乳した母乳を小さなスプーンでひと匙ひと匙飲ませてくれた。
だからどの話も他人事に思えなくてね。
その時その時は必死で大変だったけど、今となってはいい思い出。
お母さんのおっぱいに対する想いや苦労もよく描かれているから、これからお父さんになる人が読んでもいい本なんじゃないかな。