紙の本
作品によって好みが分かれそうな中華SFアンソロジー
2020/12/05 00:29
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投稿者:コピーマスター - この投稿者のレビュー一覧を見る
これはケン・リュウのアンソロジーのように「中華SFのいい話集めました」という趣向のものではなく、中華SFの新旧世代の作家をまんべんなく、さらに各作家にとっての代表作とされる作品や特徴の出ている作品を集めるという趣向のアンソロジーのようだ。そのゆえに、内容はどこか切ない人情噺から冷酷無比なハードなもの、偽史ものまで幅広い。つまり読者にとっては好みの問題としてアタリもハズレもあろうということを覚悟の上にかかる必要がある。確かにあとがきでの作家解説も含め、この作家はこういう作品を書くのかという見本帳的な知見は得られるし、好きな作家を見つけるガイドとしても役立つだろうから有意義ではあろう。個人的には人情噺が好きなので、全体を振り返ってみて気に入ったのは、『プラチナの結婚指輪』(凌晨)、『ものがたるロボット』(飛ダオ)、『鯨座を見た人』(糖匪)の3作。SFの道具仕立てが秀逸な『沈黙の音節』(昼温)、『七重のSHELL』(王晋康)は読む価値ありと思った。もし時間がなければこの5作をぜひ読んでいただきたい。
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中華SF傑作選『時のきざはし』読了。三体作者・劉慈欣以外の17人の中華SF作家から一編ずつ採ったアンソロジー。発表年代も直近のものに絞らず幅広い。率直に言って全体としてはケン・リュウ編の2冊に比べると一枚落ちる感はあるけど短いけどエンタメ性の高い作品が多くSFの入口にはもってこいかと。中でも陸秋槎「ハインリヒ・バナールの文学的肖像」と梁清散「済南の大凧」がめちゃくちゃ刺さった。前者はナチスドイツ下のSF作家の架空伝記。後者は清末の無名科学者の死亡事故の謎に迫る科学史SF。こういう人文系テイストのSFはいいよね。日本だと小川哲とか。日中に限らず全世界的に流行ってくれ。
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SFには詳しくないけど、面白かった。いろんなタイプの作品が収められているので、これもSFなのかと驚きつつ読めた。
SFは世界共通語になり得るし、時代文学でもあることが感じられる一冊だ。残念だったのは、この本が厚すぎること。通勤のお供にはならなかった。
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タイトルに偽りなく、素晴らしい内容の現代中華SF傑作選だ。17人の作家による17篇は読み応え抜群である。表題作の「時のきざはし」は時間SFとして素晴らしいし、劉慈欣を除く中国SF四大天王の王晋康「七重のSHELL」、韓松「地下鉄の驚くべき変容」、何夕「異域」も文句無く面白い。中堅では江波「太陽に別れを告げる日」、女性作家としては昼温「沈黙の音節」と凌晨「プラチナの結婚指輪」が良かった。
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江波「太陽に別れを告げる日」、昼温「沈黙の音節」がよかった。ほかに印象にのこったのは、王晋康「七重のShell」や、凌晨「プラチナの結婚指輪」、韓松「地下鉄の驚くべき変容」、潘海天「餓塔」、靚霊「落言」など。
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多種多様な短編SFが収録されていて読み応えがありました。
個人的には梁清散「済南の大凧」、吴霜「人骨笛」、勝野「時のきざはし」が良かったです。
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なかなかの作品が揃った佳作集
冒頭の宇宙飛行士試験や時空変動世界のモンスター等ワクワクが続き、とてもテンポよくスタート。
でも、そこから後は少したるんだかなぁ。コロナ後遺症というかまた治りきってないからかな。
伊藤計劃ばりの切れ味鋭い作品にキラっときたけど、表題作含めて、その他は惰性になっちゃった。再読しないといけないな。