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ベストセラーとは、その時代を残酷なまでにうつし出すものだな、と思った。著者の言う古典になる前の中古典。時間的にまだそこまで遠くないというだけに、おぼろげながらでも、その時代と切り離して考えることができないのだ。昭和って、俺子どもだったけど、覚えてることあるものなぁ。
遠藤周作の『わたしが・棄てた・女』とか、井上ひさしの『青葉繁れる』とか、その他の作品も、昭和の青春ものって、女性蔑視が激しく、しかもそこでとられる行動が、女性を下にみているという認識がない。それだけにたちが悪く、かつ今からみると阿呆にみえる。そのあたり、斎藤氏の筆致は相当に手厳しい。意外なことに俺の高校時代、「フランス書院かよ」と友だちとゲラゲラ笑いながら読んだ「ノルウェーの森」についてはポルノ的な描写は多いとしつつも、女性蔑視とはしてなかった。
『桃尻娘』『窓際のトットちゃん」『兎の眼」など、タイトルだけは知ってるし、持ってる本もあるけど、読んでない。いずれ読んでみないといけないな、と思えたね。
レビュー本として、実際に手に取ってみようと思える本もあり、文章が面白いだけでなく、実用的な本でもあったな。
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本書で取り上げられた著作で読んだことのあるのは、高野悦子「ニ十歳の原点」・片岡義男「スローなブギにしてくれ」・森村誠一「悪魔の飽食」・村上春樹「ノルウェイの森」・吉本ばなな「キッチン」。その他読んだ事は無いが、名前は知っている著作は多かった。
以下、引用
●中古典とは中途半端に古いベストセラー(中略)小説、エッセイ、ノンフィクション、評論など、本の種類は雑多である。ただ、48冊を年代順にたどっていくと、繰り返し登場してくる「お決まりのジャンル」がいくつかあることに気がつくはずだ。
●若者たちの生態を映す青春小説
●「自立の時代」の女性エッセイ
●反省モードから生まれた社会派ノンフィクション
●懲りずに湧いてくる日本人論
●中古典をいまも読む価値はある?(中略)中古典の時代と現在は、地続きのようで、隔たりも大きい。特に異なるのは経済状況だ。バブル崩壊後、日本経済は長い低迷の時代に入り、デフレ不況が続いて雇用が悪化。「一億総中流社会」は「格差社会」にとって代わった。冷戦が終結し、世界情勢も東アジア情勢も変わった国内政治も二転三転し、2012年末には改憲を悲願とする第二次安倍晋三政権が発足。長期政権の下で政治への信頼は低下し、民主主義の危機まで叫ばれている。20世紀に比べれば人権意識が上がった反面、負の歴史を封印する動きが加速し、インターネットの普及で、出版界も苦境に立たされている。
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60年代からのベストセラーを読み直し.
「されどわれらが日々」「二十歳の原点」「ルンルン買っておうちに帰ろう」「なんとなくクリスタル」など懐かしの本が並ぶ.私は無神経なのですぐ男性視点でいろいろなことを語ってしまうので,著者の女性視点が新鮮.「青葉繁れる」なんていうのはもうこの時代に生きられない小説なんだな.
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[図書館]
読了:2022/9/19
昔ほど抱腹絶倒って感じじゃなくなっちゃった…原発とか政治色が強くなってきたからかなぁ…
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NDC 019
「「ベストセラー」以上「古典」未満 読書界の懐メロ=中古典を一刀両断!
一世を風靡した本には、古典に昇格するものもあれば、忘れ去られてしまうものもある──人気文芸評論家が、ひと昔前のベストセラー48点を俎上にのせ、現在の視点から判定する。」
住井すゑ『橋のない川』 水平社運動に向かった少年たちの物語
丸山眞男『日本の思想』 憲法が破壊される時代への警告
中根千枝『タテ社会の人間関係』 どこが名著かわからない
庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』 東大受験生の明るい屈折
土居健郎『「甘え」の構造』 幼児的依存を体現した書
山崎朋子『サンダカン八番娼館』 ルポライターとからゆきさん
小松左京『日本沈没』 天変地異の大盤振る舞い
鎌田慧『自動車絶望工場』 大企業を敵に回した果敢なルポ
片岡義男『スローなブギにしてくれ』 疾走するハードボイルド
山口百恵『蒼い時』 伝説のアイドルの「闘い」の書
浅田彰『構造と力』 ポストモダンって何だったの?
ホイチョイ・プロダクション『見栄講座』 うわべで勝負の最強レジャーガイド
渡辺淳一『ひとひらの雪』 不倫にのめった中年男の夢と無恥
村上春樹『ノルウェイの森』 過剰な「性愛と死」があなたを癒す
etc……