紙の本
ぞくぞくした
2020/10/31 23:06
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆかの - この投稿者のレビュー一覧を見る
ペドファイルを抱えて生きるって生半可なものではない、こわかったしおぞましかった。
まっとうに生きたいなら、一生我慢しなければいけない。欲望をそのままに生きたら犯罪者になる。
でも、だからといって幼い者を傷つけたりしていいわけではないし、まして自分が同情されたからって相手に八つ当たりしていいわけじゃないし。
…うまくまとまりませんが、いわゆる普通と呼ばれる状態で生きている人はとても幸せなんだろうなぁと思った。
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ぺドフィリア、小児性愛者という言葉は知っていた。
知ってはいたが、本当の意味では理解できていなかった。
ぺドフィリア=犯罪者ではなく、ぺドフィリアの人たちは制御できている人が多いことを知った。
実際に幼い子供に卑劣な行為を行う輩はチャイルド・マレスターと呼ぶらしい。(wikipediaで読んだ)
混同することによって、苦しみながら何とか制御している人たちにとって差別的な目を向けてしまう。
そのことで追い詰めてしまう可能性があるかもしれないと思った。
伸さんも制御できていた
しかし海外で買春をしたことによりその制御が緩んでしまったのではないかと思う。
久瀬氏は伸さんにそういった行為をされ、そういうことでしか性的興奮を得られなくなってしまったのかと思ったが違ったのかな?
制御できていることも年を重ねるにつれてタガが外れることもあるのかと思うと、冒頭に出てきた薬物治療が発展し、苦しむ人が減ればよいなと思った。
自分のなかの偏見に気付くことが出来た。
苦しい一冊だったが、色々考えることが出来たのはとてもよかった。
自分がいかに恵まれているかを再確認した。
好きになってはいけない、欲情してはいけないのは既婚者のみであることの幸せ。
生きていくのは難しい。
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小児性愛をテーマにした連作短編集。
欲望に駆られた時、踏みとどまろうとする人、限界の先を超えてしまった人達を描いた作品です。
木原さんはBL小説を多く描かれていて、「美しいこと」は読んだことあるのですが、恋する気持ちの微妙な心理描写を丁寧に描いていて、良かった印象でした。
この作品では、〇〇したいに駆られる心理描写を丁寧に描いていました。BLはどっちかというとファンタジーっぽい雰囲気を醸し出していますが、こちらはより現実的で、男臭ささが滲み出る文章でした。ディープな内容でしたが、欲望に悩む人達の微妙な心の動きが秀逸でした。
知っている人が〇〇だったと知った瞬間、果たして自分は正常な自分でいられるのか。難しい問題だなと思いました。
小児性愛ということで、なかなか共感しづらい部分があり、気分を害するところもあるかと思いますので、読むときはご注意を。
なかなか相手を理解することは難しいですが、先入観なしで、人と向き合いたいとは思っています。昔は〇〇だったから、今は〇〇かも・・・と決め付けるのではなく、今のままの状態と向き合い、「これから」を意識できるよう努めればなと思いました。
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以前に読んだ事のある作者の作品で興味があって読み始めた。第一章はこの作者らしい作品であった。
でも第二章はかなりやられた。ゾクッとする怖さがあった。
この二章は特別だが全体として作品のバランスが良く出来ている言う感がある。
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四つの話は繋がっていてどれも読後感悪し
ずーんと沈んだ気持ちになるので、気持ちが元気な時に読んで良かった
「エピローグ」の、すれ違いにも気づかないまますれ違うそれぞれに胸が痛んだ
久瀬は永遠に幸せになれないのかなあ
著者の作品は初めてだったが他のも読んでみたい
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表紙にひかれて購入。非さん。
どこを見ているのかわからない瞳。
傷があるようには見えないのに、何枚も貼られた絆創膏。
ネックレス?と、思いきや鎖では…。
登場人物は、ずっと迷路の中。答えはない。
「人が堕ちることが自由になること」と感じる登場人物のある意味無敵な考え方が怖い。
怖くない、世の中の目を気にしないが、人を悪い意味で強くし、行動を起こさせる。
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ペドファイル。。。
初めて聞いた。。。
小児性愛者も自ら望んでそんな性癖になったのではない。お寿司やケーキが好きなのと同じで子供が好きなのかぁ。。。なるほど。
子供相手だと成長して大人になってしまえば対象ではなくなってしまうし、相手の同意という点でも難しいよね。
なんか考えさせられたなぁ。
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BL系で不動の人気を誇る著者の作品です。
小児性愛にどっぷり嵌った対照的な二人の男性を描いた話。
妄想して耐える小児性愛者と一線を超えてしまった小児性愛者。前者エリートサラリーマン、後者ホームレス。どちらが幸せ?欲望のまま生きた後者?
同好のサイトでは非BLとして紹介されていました。著者の性別ってどっちなんでしょうか。
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ある意味タブーとされている「小児性愛」について触れた本。いいとか悪いとかの二元論で語れる話じゃないなと思った。エピローグで、小児性愛を抱える久瀬の表層だけを捉えてその従兄弟が「羨ましい」と言っていたけれど、「羨ましい」なんて感情は結局主観でしかなくて、「普通」っていうのも主観でしかなくて、みんながみんな何かしらを抱えて生きているんだろうな、と思った。
朝井リョウの「正欲」を去年読んだけれど、この本のテーマに惹かれた人はハマると思う。
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普通の人が意識しなくてもいいことを一生頑張らなければいけないなんて生き地獄だよなと思う。
木原先生の本は毎回現実味があってほんとに面白い。
エピローグ最後おもしろすぎてわらった。
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初めて★の数から悩んだ。★4にしたが果たして4なのか。気持ち的には5をつけたいが、5で良いのか。
面白かったと簡単な感想では片付けられないしんどさがあった。おすすめも簡単にはできない。はっきり言ってどこにも救いがない。でも、少しでも興味をもって、しんどさに耐えられる人。あるいは、自己コントロールができている人。読んでみてもらいたい。
解説や帯にもあった、読書というのは危険な行為だということを今の時代に思い出させてくれる数少ない作家でー。とある。
本当にその通り。心の準備ができてからじっくり読む必要のある作品だった。
ちなみにエピローグが良い。あのエピローグがあるのと無いのでは、読み終わった時の気持ちが全く変わってくると思う。
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Cemetery 墓場ですか。
★は、どうしようか、まだ悩んでる。
小児性愛者の鎮痛な心情を 抉ってくるんです。
「子供に欲情する人間になりたいと願ったことはない。」と、神さえ怨みながら、自分の性嗜好を隠して、正しい社会人として生活する美しい男。
彼は、自分の欲情を抑えながらも、本能は変えられない。
そして、自分の性嗜好に気が付かないまま、小学校教師になり、勤め認められながら、過ちを犯しホームレスとなった元教師。一度犯した過ちは、抑制がなくなり、罪を重ねた。
神のイタズラか遺伝子の錯誤か、自らは望まない抑えられない欲望は、絶望感があります。
木原さん異端児すぎる。ハッピーエンドは何処へ。
あまりに解決策がなくて、痛みがあるけど、★4で。
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胃のあたりがギュン…と重くなりっぱなしだった。自分を正当化して堕ちていくのと、ただただ苦しく自分を律していくのと。二者択一それしかないということなんだろうか…。(絶望)
読み終わっても色々な感情が入り混じり、ちょっと吐きそう。
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面白かった‥というのは憚られるけど、小児性愛という性癖に葛藤する苦悩が生々しくて引き込まれた。
文章もスッと入ってきて読みやすい。
誰にも救いがないし報われない。
明確な答えもなくて読後感は重いけど、こういう作品好きです。
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個人的な見解としては、ライターの大輝に一番近いかなぁと思った。他者のセクシャリティにはほぼ興味がないし、性犯罪者のみに殊更の嫌悪感を抱くわけでもないから。
とはいえ、森下のように自身の罪を正当化して、終いには自由と解放を感じるようでは擁護のしようもなく、断罪されて然るべき、孤独に逝っても当然だろうとは思ってしまう。
一方で、自身の性的嗜好に苦悩し続け、過ちを犯さぬよう努め続ける久瀬の姿は非常に生々しく、このように苦しんでいる方々が少なくはないだろうことに気付かされ、ハッとした。
他者のセクシャリティに興味がないことは、自らにおける差別意識が極端に薄いことでもあると自負していたが…。殊、小児性愛については無意識的な嫌悪と差別意識があったことに気付かされ、その性的嗜好に苦しみながら社会生活を営んでいる人々を無視し、場合によっては抹殺されるべきと考えていた自分の愚かさに辟易してしまった。
小児性愛に限らず、世間一般ではマイノリティとされる性的嗜好や障がい、ホームレスや生活保護受給者、あるいは社会に馴染めない人々。こうした人々に対して理解があるつもりだったが、やはりたかが凡人の身としては、このような読書体験で気付かされなければ無意識的な差別意識を持ったままだっただろう。
もちろん、自分の中の有害な意識が無くなるとは露ほども思わないが、知らないよりは少しでも知っていた方がよいと思う。
そういう意味で、本書は多くの人に読んでほしい、考えてほしい一冊。
エピローグの、宏一から久瀬への羨望と嫉妬。思うは自由だが、仮に久瀬が「いいよなぁ」と面と向かって言われたら、どれほどの苦しみになるだろう。
無知、余裕のなさから来る安易な決めつけは、相手をいとも簡単に傷つけ、壊す恐れがあると、全ての人間は把握しておかなければならないと思う。
読者に対する"とどめ"のようなエピローグ、この存在意義は非常に大きいものだろう。
最後に、本書はとても重い題材でありながら、流れるような文体で読みやすい。読書初心者の方でも比較的取っ付きやすいと思うので、ぜひ多くの方に読んでほしい。
僕は、この本に出会えて良かったと心から感じている。