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香港のデモが起きた時から気になっていた本です。香港を多角的に見て語られており、さまざまな比較対象から問題を映し出しています。
香港民主派には、従来の民主派に加えて本土派(香港の独立や自治権確保を目標とするグループ)があるということが印象的でした。なかなかニュースでは語られない部分であり勉強になりました。
香港の方々には自分たちが香港人であるというアイデンティティが刻まれつつあります。果たして今後中国との関係はどのようになっていくのか、非常に興味深いところです。
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2019年の抗議デモから国家安全法が強制導入された現在を中心に、雨傘運動に関わった3人のインタビューや香港映画と香港史、日本・台湾・大陸それぞれの香港との関係をまとめていて内容の濃い一冊。
街並みや食や文化にはこの街が築いてきた歴史があり、香港政府の独断と大陸の介入によりそれが理不尽に変えられようとしているが、大きな力に必死で抗っている人々がいて、どんなに踏み潰されても諦めずに立ち向かっている。政治的な問題と切り離して見たいとは思ってしまうことはあるが、そうも言ってられないのが現在の状況である。香港のことは香港人が決めることだと思うが、映画『男たちの挽歌』の英題のように、「より良き明日」が香港と香港人たちにあってほしい。香港加油。
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香港が辿ってきた時代を足下の視点から整理することを試みている。2019年以降の香港の動きは、きわめてはやくそして激動であって、ここまでの展開を実際に予想した人がどれくらいいたであろうか。その歴史的背景を考えた時、世界は香港をどのように捉えればいいのか、そういったことを考える材料になる。一国二制度が形骸化していく現状を踏まえると、これまで香港が香港らしくあった姿をこれから期待することは難しいだろう。
ただ、本書にはやや勇み足的なところも感じる。中国大陸からの視点も入れた分析があれば、さらに深い議論になるのではないか。
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香港が成立するまでのお話…というよりは、香港が「何を持って」香港であるのか、という事を、対日本、対台湾、対英国、そして対中国といった様々な側面から切り込んでいる。
近年香港で起きていることに興味があり、まだほとんど香港のことを知らない、そんな人に、オススメです。
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「パリは燃えているか」ならぬ、「香港は泣いているのか」とでも問いたくなるような騒乱に見舞われた近年の香港。西欧と中国の共存社会が急速に変わりつつあるように見えるそんな香港を解説する本。
2014年の雨傘運動から2019年の逃亡犯条例改正に始まる大規模なデモ。そこには単なる中国による締めつけと片付けられない歴史と香港人のメンタリティがあるらしい。
アヘン戦争による香港の誕生史から、ブルース・リーやジャッキー・チェンに代表される映画界、ヤオハンやナショナル炊飯器を通じた日本との関係。
そこは中国でも西欧でもない、国家とも言い難いような場所であり、香港人が住む地である。その今の香港を理解するために良くまとめられた一冊。
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【278冊目】元朝日新聞記者の著者による香港の歴史と現状の解説書。事情により通読するのに時間がかかってしまったので前半部分をあまり覚えていないのだけど、香港初心者にとっては読みやすかった。
前半には、香港民主化の女神と呼ばれる周庭さん含む、民主化活動家への直接インタビューがあり、これが興味深かった。活動家にもそれぞれアプローチの違いがあり、さらにそうした違いが時と共に変化していく様も重要な描写。きっと後から歴史を振り返ったときに、彼らの活動は一色の絵筆でしか描かれないだろうが、実際には様々な色の重ね塗りであることが分かる。
後半がより強く印象に残っているのだけど、大陸における香港の立ち位置が今とは全然違ったという事実は若い世代は勉強の必要がありそう。
特に第八章、中国にとっての香港で振り返る歴史のいくつかは、今後大陸と香港の関係を考える上で役立ちそうなのでフレーズメモにまとめておく。
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香港の情勢を歴史とインタビューから丁寧に考察した良書。特に現在の中国人の中では香港は植民地化根性が抜きてってないから中国人としてのアイデンティティが確立していないという傾向が強まっているのに驚いた。一昔前は中国人にとっての香港は香港文化、映画に代表される憧れのまちでもあったのに。