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たまたまいつも行く本屋で見かけ、落球をテーマにした本は初めて見たので興味を持って購入。
落球というワードに興味を持って読んだだけだが、内容はかなり心に残るものであった。特に、ミスをした人の周りの人の存在・行動がとても大切だと感じる。長嶋監督や尾藤監督のエピソードと、阪神の金田監督・金本監督の差は何なんだろうか。本書のエピソードだけで言うと、金田・金本両監督みたいにはならないように気を付けようと感じた。
あとは3選手ともミスした後にただ凹むだけではなく、自分のミスは自分で取り返す気持ちを持っていて、やっぱりそれが大事だと感じた。
何か落ち込むことがあった時に思い出したい1冊。
「人生にエラーはつきものだ。大事なのはそのあとどう生きるか。」と考えて、ミスを受け入れ向き合うことで、ミスから立ち直れる人間になれるのではないかと思う。
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野球は筋書きのないドラマ。時に試合の流れを変えるエラーもある。世紀の落球の当事者3名の取材の先に見える人生。
「人生にエラーはつきものだ。大事なことはそのあとをどう生きるかだ」ビル・バックナー(1986年ワールドシリーズ第6戦でサヨナラエラーしたレッドソックスの1塁手)
本書の主役は3名。いずれも野球マニアには知られたエラー。
GG佐藤は西武ライオンズの外野手。2008年の北京五輪、二度の落球により日本はメダルを逃す。
加藤直樹は星稜高校の一塁手。1979年夏、箕島高校との伝説の一戦は延長16回星稜1点リードで2アウト。捕球すれば試合終了のフライを加藤は転倒し捕球できない。このプレーの後、この打者が同点ホームラン。結局試合は延長18回箕島のサヨナラ。
そして阪神の外野手池田純一。1973年、ON を擁し8連覇中の巨人を追うタイガース。池田の転倒したプレーによる逆転負け。投手が江夏だったなので江夏の評伝に必ず出てくるプレー。引退後球界を離れても心無い阪神ファンからのバッシングは続く。傷心の池田がテレビで見たのが冒頭のバックナーのプレー。池田は後にバックナーに会いに渡米する。
エラーを受け入れるまでの葛藤。エラーがあったからの出会いと人の優しさなど。一つのプレーを掘り下げた取材と筆力は素晴らしい。はからずも読者も含めた人生賛歌となっている。
星稜と箕島の交流はその後も続く。箕島の尾藤監督が加藤に送った色紙の言葉。
「岩もあり木の根もあり ファーストフライもあれど さらさらと たださらさらと 水は流れる」
野球を愛する全ての人に捧げる感動作です。
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北京五輪、夏の甲子園、伝統の阪神巨人戦。たった1つのプレーで人生を狂わされた男たち。彼らは誹謗中傷の嵐からいかに立ち直ったか
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誰が名付けたかプロ野球の世界には「世紀
の落球」と言われる記憶に残るプレーがあ
ります。
この本でも取り上げられている北京五輪3
位決定戦での、GG佐藤選手の落球です。
他にも未だにTVで使われていますほどの、
試合の流れを変えてしまったエラーはたく
さん有ります。
そのエラーした本人は、その後等なった
のか。自分の運命さえも変えてしまったの
でしょうか。
よく言われることですが、失敗は人生に
つきものです。その失敗を受け入れて人生
の糧として成長できるかが、その人のその
後の人生を決定付けます。
言葉では簡単ですが、実際の当事者は辛い
思いをし続け悩み抜きます。
だからこそ全てを受け入れて立ち上がる姿
には勇気を与えてくれます。
「もう一度チャレンジしてみよう」と奮い
立たせてくれる一冊です。
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高校野球が好きで、数年前まで必ず夏には甲子園詣ででよろしくいそいそと出かけていた。それも地元校の出ない試合を選んで。タイガース戦なら外野観戦はお断りなのに、高校野球に限ってはむしろ銀傘はNG。炎天下の外野席で観るのを無上の楽しみにしていた。贔屓の高校が無いだけに舌打ちすることもない。好プレーには惜しみない拍手をし、白熱した試合なら『しょうもないエラーや四球を出すなよ!』と心中で檄を飛ばした。
言うまでもなく春も夏も甲子園大会は郷土の代表が集まる大会。ゆえには世間の関心は高い。また野球は集団スポーツだけにミスやエラーをすれば否が応でも目立つ。それが試合の雌雄を決するエラーともなると、まさしく『末代まで語られる』騒ぎとなる。
本書は、プロ野球・甲子園・五輪…で『世紀の落球』をし『戦犯扱い』を受けた3選手を取り上げる。その問題となるプレーを克明に再現、『エラー後』に襲ったバッシングともがき苦しみ、絶望の淵からの再生…を3つのフェーズで辿ったドキュメント。
①1973年8月5日【阪神・巨人戦】
9回表。阪神2-1とリード。2アウト1・3塁。打者 黒江は江夏の球を一振。打球はライナーで、センター池田の正面へ。万事休すと思いきや池田は芝生に足を取られあお向けに転倒。球は転々とセンター最深部。二人のランナーは悠々ホームイン。阪神は勝利目前にして痛恨の負けを喫する。
② 1979年8月16日【甲子園大会 星陵・箕島戦】
延長16回裏。星稜3-2でリード。2アウトランナー無し。箕島の打者の打球はファースト加藤の後方のファウルゾーンへ。捕球寸前に転倒。命拾いした打者は直後に同点ホームランを放つ。息を吹き返した箕島はサヨナラ勝ちを収める。
③2008年8月23日【北京五輪 日本・米国戦】
3回表終了し、日本が4-1とリード。3回裏レフトGG佐藤が先頭打者の打球を落球。これを契機にピンチを迎え、同点3ランを浴び、その後加点もされ、日本は4-8で米国に敗れ、メダルを逃す。ちなみに佐藤は準決勝の韓国戦でも2エラーをし、韓国に敗れている。
ペナントレースの岐路となる試合、全国高校野球大会の注目のカード、勝てば金星となる試合、五輪のメダル獲得がかかった試合…で、痛恨のエラーをした3選手。一様に彼らは周囲の 人たちやマスコミから激しく執拗に叩かれ傷つく。中には自殺まで考えた選手もいる。それでもどん底から立ち直り、その後の人生へと踏み出した。また、自己の痛切な体験を時に自虐的なユーモアも交え、社会に伝え、多くの人を励ましてもいる。
3選手の『落球』は紛れもないエラーではある。ただ本人の不注意がもたらしたボーンヘッドではない。元々守備力が劣っていたわけでなく、そこに想定外の要素が重なり起こった。彼らは自身に降りかかった不運を恨むこともなく言い訳をして逃げてもいない。むしろ自身を責め、その後の試合で活躍もした。そう、真正面から現実を受け止め生き抜いた。
3人の中で唯一池田氏は鬼籍に入られている。引退後経営する洋品店が軌道に乗り出した頃、病魔に襲われ急逝。享年59。その池田氏が立ち直りのきっかけを掴んだのは1986年のワール��シリーズ。あとアウト1つで覇者になる目前、ファーストゴロをトンネル。戦犯扱いを受けたボストンレッドソックスのビルバックナー。彼が語ったのは、『これがわたしの人生です。このエラーを自分の人生の糧にしたい』。これを聞き、感動のあまりぼろぼろと涙を流した。
ボーンヘッドとエラーは似て非なるもの。前者は怠慢がもたらし、防げたミス。池田氏が立ち直るきっかけを得るまで13年という長い時間を要した。本来ならエラーの内容を見極めた上で、かばい、フォローすべき監督に痛罵された。以来、夜中に何度も江夏を訪ね詫びたという。
リーダーの資質として、ボーンヘッドには叱り、積極的なエラーには寛大に対応する力を求められるが、これをリーダー論の範疇に留めるのではなく、社会全体で、個人に置換し、共有すべき重要な視点…だと痛感した一冊。
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西武のG・G佐藤が北京オリンピックでやってしまった落球、箕島と星稜の試合で延長にファーストの選手がやってしまった落球、そして巨人V9の最終年に甲子園で阪神池田がやってしまった落球をピックアップしたドキュメンタリー。三つともその試合の結果を左右したことに間違いはないが、後々かそれぞれの選手がその後必死に挽回しようと活躍したことには触れられず
エラーばかりを追いかけ回される。でもそれぞれの選手が、その後いずれも克服して第二の人生を、それも皆野球から離れることなく送られていることにホッとした。
草野球でもやっていればそれこそ無数にそんなエラーはあるのに、オリンピックだ、甲子園だ、そして伝統の阪神巨人という舞台になるとなぜか「世紀の大落球」みたいなことになるのだろうか。
その3人の他にも鳥谷だったり、屋敷だったり、ソトだったりの話もあって、金本、長嶋、ラミレスという監督が、エラーしてしまった選手を守り庇ってくれたのかそうでなかったのかで、その後が違ったものになったという話を読んで、エラーとボーンヘッドは違うという江夏の話も含めて、自分が上司の立場にいる間、親として育てるという立場にいる間は、対応を間違えてしまってはいけないなと気付かせられる想いがした。
鳥谷の金本監督はこれを読んでどう思うのだろう。箕島の故尾藤監督の対応は感動したなあ。屋敷の長嶋もソトのラミレスも。その3人のように自分もできたら良いなと重ねて思った。
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いま、WBCやってるんで。
国際試合と言えばGG佐藤。
条件反射で出てくる。
でも、実際はそのあと大活躍されたのですね。
勝手にそのあと不振になったと思ってました。
いやー、なかなか味わい深い本でした。
「試練は呼びかけ」
イイ言葉を頂きました。
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失敗を怖れなくていいという風潮が、この国に浸透した時、この国はもっと大きな力を得ることになるでしょうね。