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思わぬ拾いものでした。軽い気持ちで読み始めたけど、めくるページの手が止まらなくなりました。
氏は初版本の蒐集家であり研究者であり愛好家であり、文豪に関するツイートを発信しています。初版本などを読み込んだ氏ならではのエピソードや考察があり、興味深く読めた。
昨今の文豪ブーム、刀剣ブーム、歴史ブームに幾度も嬉しさを述べられてます。ほんとに敷居を低く裾野を広げてくれてよかったなあと思います。近代文学の書架は、以前は棚が乱れることは無かったから。
端末で見ていたらイイネをクリックしただろうなと思ったツイート
・芥川龍之介は海軍機関学校の教官時代「小説は人生にとって必要ですか?」と学生から質問され「それなら君に聞くが、小説と戦争とどっちが人生にとって必要です?」と切り返し「戦争が人生にとって必要だと思うなら、これほど愚劣な人生観はない」と断じました。場所柄を弁えない勇気ある発言ですね
…P 85
←芥川龍之介は細っこい文学青年のイメージだったので、海軍の教官だったこと、その生徒に対しその学校で“戦争は人生に必要でない”と断じた胆力にびっくりした。
・ツイートに添えられた室生犀星の詩
室生犀星『本』
本を読むならいまだ
新しい頁をきりはなつとき
紙の花粉は匂ひよく立つ
そとの賑やかな深緑まで
ペエジにとぢこめられてゐるやうだ
本は美しい親愛をもつて私を取り囲んでゐるやうだ
…P 135
←本へのあたたかい親しみを感じる詩だ。頁を裂いて読みすすめる楽しみを自分が知らないのが残念だ。
・ツイートに添えた志賀直哉への武者小路実篤の手紙
「直哉兄 この世に生きて君とあい 君と一緒に仕事した 君も僕も独立人 自分の書きたい事を書いて来た 何年たつても君は君僕は僕 よき友達持つて正直にものを言う 実にたのしい二人は友達」
…P151
実篤85歳、直哉87歳でのやり取り
←おふたりの姿を、『がまくんとかえるくん』で脳内再生した。志賀直哉が武者小路実篤にお手紙を所望したのだ。いいなあって、胸がぬくもった。
いま読んでいる本は第3刷。初版だけど初刷で読めなかったのが残念。
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ツイッターでご活躍されている初版道さんの本、しかもお手頃と聞き、即ネット注文で予約買いしておいて、今更ながら読み終えるという体たらく。申し訳ないです。。。
だいぶ前からフォローしているので、見かけたことのあるツイートもあり、いつどこから読んでも楽しい1冊。文スト・文アルあたりから知った方も、そうでない方も楽しめると思いたいです。
初版本ってすごい高そうってイメージが前はあって、文学館に展示されているのを、なめるように(?!)見ることもしばしばあったのですが、全部が全部そんなことないんだよっていうのが分かると、ちょっと敷居が低くなる。今年の冬にあったさいたま文学館の太宰の企画展の初版本は、なめるように見させていただきましたwありがとうございます。
ところで、p.117の「稀有の才能」は「稀有の文才」の誤植ですよね?
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「本の雑誌}11月号で北村薫さんが紹介していて初めて知った。こんな面白いツイートをしてる人がいるのか。北村さんはネットをやらないそうで、本の形になってありがたいと書いていたが、本書ではツイートを作家別にまとめた上、解説も追加されているので、ネットで見るよりずっと楽しいと思う。著者の所蔵する貴重な初版本や文豪の手紙が、カラーページで紹介されているのも嬉しい。
文豪たちのエピソードは、ほとんど他で読んだことのないものばかりで、へぇ~と感心しっぱなし。出典をはっきりさせた専門家の知識知見に圧倒される。何よりいいのは、文豪たちへの愛にあふれていることだ。さほど好きでもなかった芥川龍之介をまた読んでみたくなったりした。
北村さんは、有名な漱石の「月が綺麗ですね」についてのツイート(「都市伝説」とバッサリ)を取り上げていたが、私のお気に入りをいくつか。
・「坂口安吾は太宰治の本質を実によく見抜いていました。『自ら孤独をいたはることは文学ではない』『太宰は文豪としてのカンと、やはり戯作者だという点・・・彼は戯作者稟質を持つ、僕はそこを買っている』『彼の小説には、初期のものから始めて、自分が良家の出であることが、書かれすぎてゐる』」
解説によると、ツイートの最初の文の前にはこうあるそうだ。「文学とは、告白のせつない愛撫に溺れないこと、その告白を書かないこと、その告白を抑へつけ、さうして逞しく出発するところから漸くはじまるのであらう。作家は誰しも孤独である」。 著者は「安吾は的確に太宰文学の特徴を理解している」としながらも、「その一方で、告白を書き、逞しく出発できなかったことが、太宰の小説が今でも愛読される一因であるのもまた事実でしょう」と書いている。確かに。
・「文豪のいないツイート」とまとめられたものの一つ。
「今は昔、授業で『蔵書家が必ずしも読書家とは限らない。まして人格者である保証は全くない』と自説を述べたら、ある学生が学期末の授業評価でこの言葉を引用しつつ、『自己分析が正確な点は高く評価できる』とコメントを書いていました。実に鋭い洞察力です」
これって先生も学生も「授業評価」のくだらなさを茶化してるんだよね。
・「他人に理解されないと思い悩む時があったら、『我といふ 人の心は たゞひとり われより外に 知る人はなし』という歌を思い出してください。自分を知るのは自分だけ。理解されないのではなく、他人には理解できないものなのだと。少しは気が楽になるかもしれません。歌の作者は谷崎潤一郎です。」
谷崎の歌、というところにしみじみ重みがあるなあ。
最後に蛇足ながら。北村薫さんは「調べると、いいね7157という、とんでもない回がある」と書いているが、なんのなんの、17.2万いいねというダントツの回がある。これは太宰治についてのツイートで、なるほど太宰人気は不滅だ。
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初版道さんのツイートが面白く、書籍として手元に欲しいと思い購入。
やはり、文章はデジタルよりアナログ。
手に取ってページをめくるという動作が、なんとも言えず好き。
フォローする前のも載っていて嬉しい。
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以前から初版道さんのツイートを拝見させていただいていたので、此方の本を購入。
私自身、好きな作家の作品を読むだけでなく、その人がどんな人なのか、どんな人生を歩んでどんな交友関係があるのかといった話を知りたかったので、とても読みやすく、クスッと微笑んでしまう話など沢山ありとても面白かったです。
基本的に以前ツイートされたものの総集編みたいなものなので、本は勿論、初版道さんのTwitterもオススメです。
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私の生きなかった時代に
どうしても触れられないものがあって、それをまずは認めること、そして知ること、考えること
すごく、すごく楽しかった。無知な私だから。まだまだすきなあなたを知れる。
関係性とか、どんな思いだったかとか、たった数行の言葉さえ、愛おしいよな。これからもおしえてほしい。
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近代文学の研究者である著者が
140字以内でつぶやいた雑学…かな。
太宰治に関するツイートが
いちばんおもしろかったなぁ〜。
いろいろな作家の手書き原稿を見ると
たしかに彼らが生きて書いたという
実感がわいてくる。
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著者の文豪に関するツイートをまとめ、補足や解説も加わっている。ちょっとした一文から文豪たちの興味深い一面が見えたりして面白かった。
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出会うことのできなかった文豪たちの一端に触れることができる良著。
好きな作家のところだけつまみ読みしてもいいし、通読しても構わない。
ツイッターに上がっていたとは本当につぶやきとして消えて行ってしまうのかと惜しんだ言葉の、エピソードの数々がまとまって本になってくれたことに感謝。